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2016/4/5 12:36

【レビュー】日本酒の唎酒師が広島のカップ酒を味見したらコレが一番旨かった!

先日、とある取材で広島を訪れました。広島は、明治時代に「軟水醸造法」を生み出し、その後の酒造の発展に大きく貢献した銘醸地。日本酒の唎酒師でもある筆者は、ここでどんなお酒が造られているのか、前から気になっていたんです。どうせなら、色々な蔵元の酒を味わいたい。味見に適した安くて小容量のお酒はないものか……と思案していたら、ありました。カップ酒です! というわけで今回は、広島のカップ酒を買い集め、その味を確かめてみました。

 

今回の試したのは以下の6種類です。

①白牡丹 広島上撰ライトカップ 金紋 白牡丹

②軟水仕込み 醉心 SAKE-CUP

③カープびいき うまいじゃろ

④千福 上撰カップ

⑤誠鏡 吟醸 幻

⑥賀茂鶴 本醸造上等酒

こちらを試してみて、私が判定した味わいの濃さを5段階(もっとも味が濃いものが5、もっとも味が淡いものが1)、香りの強さを5段階(もっとも香り高いものが5、もっとも香りが少ないものを1)で表示。加えて、個人的な好みを「好き度」として5段階で示しました。燗で真価を発揮するお酒もあるので、燗の味もすべて試すことにします。

 

【その1】

しっかりした甘みがあってアツアツの燗がウマい!

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広島市

白牡丹(はくぼたん) 広島上撰ライトカップ 金紋 白牡丹

215円

容量:200mℓ

原材料:米、米麹、醸造アルコール

アルコール度:15度以上16度未満

まずはこちら。1675年(延宝三年)創業の老舗が醸す白牡丹です。昔ながらのお酒らしい香りがしますね。あっさりしていますが、甘味がしっかりあって、やや辛口。後味に多少の苦みは感じますが、不快な引っかかりはありません。ただ、少々ノドにもたつくでしょうか。燗にしてみると、旨みがふくらむ印象。ノドにグっとくる感じがいいですね。真冬におでんや鍋をつつきながら、アツアツで飲むと旨そうです!

sirobotan2

味の濃さ 4

香りの強さ 3

好き度 4

燗 ◎

 

【その2】

口当たりが柔らかで酸味が立つ

suisin

三原市

醉心山根本店

軟水仕込み 醉心(すいしん) SAKE-CUP

180円

容量:180mℓ

原材料:米、米麹、醸造アルコール

アルコール度:15度

蔵元は1860年(万延元年)創業。「インターナショナル・サケ・チャレンジ」や「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2015」などで受賞歴があります。画家の横山大観が最も愛飲した銘柄でもあるそうです。広島はミネラルが少ない軟水が多く、その性質を反映して柔らかい口当たりのお酒が多いですが、本品もかなりのライトボディで酸味が立つタイプ。香りは少なめです。もう少しキレがあったほうが良かったかも。燗にすると酸味が立ってより辛口に感じました。

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味の濃さ 2

香りの強さ 2

好き度 3

燗 ○

 

【その3】

カープのゲーム観戦に最適なあっさり味

umaijyaro

廿日市市

中国醸造

カープびいき うまいじゃろ

170円

容量:

原材料:米、米麹、醸造アルコール、糖類、酸味料

アルコール度:14度以上15度未満

わかりやすくカープ愛にあふれた蔵元。カープハイボール、カープ梅酒、カープチューハイなども販売しています。その蔵元による日本酒「カープびいき うまいじゃろ」は飲み口あっさり。後味もあっさり。するする飲めるので、カープのゲームに集中しながら飲むには最適かもしれません。燗にすると、飲み口のインパクトが増すのが特徴。後味は少し残りますが、キレは悪くありません。けれど、なんだかすごく酔いが回る印象なんですよね。経験上、調子に乗って飲むと次の日が辛そうな味です。

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味の濃さ 3

香りの強さ 3

好き度 3.5

燗 ◎

 

【その4】

柔らかな飲み口で冷やより燗がオススメ

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呉市

三宅本店

千福(せんぷく) 上撰カップ

240円

容量:200mℓ

原材料:米、米麹、醸造アルコール、

アルコール度:15.5度

「ちいさい秋みつけた」「リンゴの唄」などの作詞で知られるサトウハチローゆかりの蔵による酒。刺激の少ない柔らかな味わいです。これも軟水の影響なのでしょうか。少々後味が残るので、もう少しキレがあればと。冷やよりも燗のほうが旨いかもしれません。

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味の濃さ 2

香りの強さ 2

好き度 3

燗 ○

 

【その5】

今回紹介したなかでもっともオシャレでフルーティ

maborosi

竹原市

中尾醸造

誠鏡(せいきょう) 吟醸 幻

350円

容量:180mℓ

原材料:米、米麹、醸造アルコール、

アルコール度:16度

かつて皇室新年御用酒を醸した名門。本品は厳密にはカップ酒ではないですが、あまり見ない吟醸の缶入りということで紹介してみました。その味わいは、今回のなかでいちばんオシャレ。メロンのような香りにわずかな柑橘系の香りが混じった吟醸香があります。生に似たフレッシュ感もいいですね。熱燗にするとやや後味がモタつきます。ぬる燗も悪くはないですが、冷やの良いところが消えるので、燗にする必要はないでしょう。

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味の濃さ 3

香りの強さ 5

好み 4

燗 △

 

【その6】

安定感のあるウマさに横綱の貫禄を感じる!

P1370746

広島市

賀茂鶴酒造

賀茂鶴 本醸造上等酒

270円

容量:180mℓ

原材料:米、米麹、醸造アルコール、

アルコール度:15度以上16度未満

精米歩合:66%

広島を代表する蔵元。大吟醸酒造りの先駆けで、全国新酒鑑評会では数々の賞を受賞。オバマ大統領も寿司の名店「すきやばし次郎」でこの蔵の大吟醸を味わったそうです。本品は樽香にも似たバナナのような香りをまといながら、バランス良くスキのない味わい。どちらかというと辛口で、キレは秀逸です。安定感のある旨さに、横綱のような貫禄を感じますね。燗につけてもバナナ香は健在ですが、熱くし過ぎると、やや平板な印象になります。燗にするなら熱燗手前まででしょう。

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味の濃さ 3

香りの強さ 4

好き度 5

燗 ○

 

 

個人的に一番旨かったのは賀茂鶴でしたが、270円と少々お高めなのも事実。コスパで選ぶならカープびいきや白牡丹でもいいですし、女性にすすめるなら誠鏡もいいでしょう。6種類のカップ酒を試してみましたが、どれも個性があって面白かったです。広島県民の方は晩酌に、県外の人は、新幹線のお供やお土産にいかがでしょうか。

 

【URL】

白牡丹酒造 http://www.hakubotan.co.jp/index1.htm

醉心山根本店 http://www.suishinsake.co.jp/

中国醸造 https://www.chugoku-jozo.co.jp/

三宅本店(千の福net) http://www.sempuku.co.jp/

中尾醸造 http://www.maboroshi.co.jp/

賀茂鶴酒造 http://www.kamotsuru.jp/