グルメ
2018/9/17 21:00

【街中華の名店】築地「中華 ふぢの」はとことん自家製にこだわる味の開拓者だ

 

創業者の孫が独自の味を目指して“築”いた新境“地”

独創性の高い料理が「中華 ふぢの」の真骨頂だが、それ以外にも珍しい特徴がある。たとえば、たばこ屋というもうひとつの顔。これは約20年前に販売の免許を得て取り扱うようにしたという。その理由は、それまでたばこを販売していた隣のコンビニが閉店することになったから。

↑アイドルタイムでもたばこだけは売っており、直接買いに来るお客も後を絶たない。事実上、近隣の愛煙家のオアシスとなっている。なお、隣のコンビニは「サンチェーン」から「am/pm」へと看板が変わり、やがて閉店したのだとか

 

店名の由来を聞くと、そこには場内市場の「ふぢの」にも関係する深い歴史があった。「ふぢの」は築地市場の誕生と同じ、1935年にいまの地で産声を上げた。創業者は「中華 ふぢの」の森 則次店主の祖母にあたり、姓が伊藤だっため「藤」を「ふぢ」と記して、そこに「の」をつけて店名にしたという。

↑「中華 ふぢの」店主の森 則次さん。御年63歳であるが、若々しい!

 

一方で森さんは、独自の道を切り開くべく若くして都内の中華料理店で修業。やがて1979年に「中華 ふぢの」の前身となる和風のラーメン店をいまの場所に創業させるが、店名は祖母へのオマージュで「ふぢの」を採用することに。当時は出前もやっていたというが、オープン10年後の1989年に業態を街中華へ変更し、いまに至るのだ。

↑手前がカウンターで、奥がテーブル席となっている。ちなみに同店が入っているビルは森さんが建てたもので、しかも業態転換とともに立て替えたものだ

 

なお、場内の「ふぢの」は祖母の後継者が創業家にいなかったところを知人が受け継ぎ、現在の形になっているとか。いまでも両店には親交があり、製麺所は同じところだというが、森さんが独自でレシピを磨いていることもあり、味わいは異なる。

↑つまみで人気の「シューマイ(3個)」390円。もちろん自家製で、しっかりとせいろで蒸している。酒で人気なのは、限られた店でないと飲めない「キリン ブラウマイスター」の生(小グラス370円~)

 

市場近辺には名店が多いが、朝が早いという特性のため早じまいするところも多い。そこでいうと、「中華 ふぢの」は夜も営業していてメニューも酒も豊富。前記のビールは毎月20~25日限定で中グラス320円~になると、サービスもうれしい。築地は場内や場外市場以外にも、素晴らしい街中華があるのだ。

 

 

撮影/我妻慶一

 

【SHOP DATA】

中華 ふぢの

住所:東京都中央区築地3-3-9

アクセス:東京メトロ日比谷線「築地駅」3番出口徒歩1分、東京メトロ有楽町線「新富町駅」4番出口徒歩1分

営業時間:11:30~14:00(L.O.14:00)/16:00~23:00(L.O.22:00)

定休日:土曜、日曜、祝日

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