瀬戸田町はレモン栽培には最適な気候
例によって、松井は基本中の基本から質問していく。
「瀬戸田って、どうしてレモン作りが盛んなんですか?」
「やっぱり一番は気候ですね。レモンって、寒すぎると冬を越せないんです。降水量の少なさと日当たりの良さもポイントですね」(原田会長)
環境について詳しく述べると、瀬戸田町の年平均気温は15.5℃と温暖で、年間降水量は1058.8mmと少なめ。また、島の大部分が水はけのいい花崗岩(かこうがん)で、なおかつ土地の約半分が急斜面となっていて日当たりも良好だ。さらに、瀬戸内は北の中国山地と南の四国山地に守られた位置にあり、台風が上陸しても、その勢いが弱まりやすい。
「台風のような荒れた天候になりづらいことがレモン栽培には重要。というのも、レモンの木にはトゲがあって、強い風が吹くと自らのトゲで葉や実に傷をつけてしまう。そうなると、傷口から『かいよう病』(茶色い斑点ができる病気。レモンはかかりやすい)に感染してしまうんですよ」(原田会長)
これを聞いた松井、「へえ、自分のトゲで自らを傷つけてしまうなんて。強すぎる自意識を抱え、自らを責めていた、あのころのオレのようだ」。…と、勝手に同情するとともに、気候、地形の面から瀬戸田はレモンの栽培に理想的な地であることを理解した。