6月10日、市販酒を対象とした世界最大規模の日本酒コンペ「SAKE COMPETITION(サケコンペティション) 2019」の表彰式が開催されました。同コンペは2012年からスタートし、今年で8回目。事実上の「世界一の日本酒を決める大会」として知られています。当サイトでは、どんな銘柄が受賞したのかを伝える速報記事を掲載しましたが、今回は、各受賞蔵元の胸の内などを深掘りしてレポート。インタビューを中心に、いま一番おいしい日本酒の話をお届けします!
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味のみで審査される「世界一の日本酒を決めるコンペ」
同コンペの総出品数は年々更新されており、今回も昨年(1772点)を上回る1919点が出品されました。審査部門は純米酒、純米吟醸、純米大吟醸、吟醸、Super Premium、スパークリング、海外出品酒の7部門。その審査の特徴は、技術指導者、有識者、蔵元からなる審査員が、銘柄を隠した完全ブラインドで審査すること。味だけで優劣を決めるガチの勝負で、忖度はもちろん知名度なども一切関係なし。つまりは、無名の蔵が大金星を手にするジャイアントキリングも起こり得ます。ただし、今年は比較的目立った波乱はなく、むしろ超名門の蔵が実力を見せた印象。
主催者のひとりである「はせがわ酒店」の長谷川社長が「昨年は全国的に原材料となる酒米の出来が悪く(※今年の新酒は昨年収穫した酒米で造る)、作り手はとても難しかったのでは。そのぶん蔵の実力がはっきりと出た」とコメントしたことからも、センスだけでなく経験も左右したといえるでしょう。
純米吟醸部門1位の「飛露喜」、蔵元は「勝つのは難しいと思っていた」
事実、出品数が578点と最多だった純米吟醸部門のTOP3は、「飛露喜 純米吟醸」「磯自慢 純米吟醸」「作 純米吟醸」と、どれも知名度バツグンのビッグネーム。なお磯自慢酒造は80~90年代の吟醸酒ブームを盛り上げたカリスマ中のカリスマであり、「飛露喜」の廣木酒造は福島・会津の日本酒ムーブメントの立役者。そんな「飛露喜」の蔵元杜氏である、廣木(ひろき)健司さんに受賞への思いを聞きました。
同コンペの審査員も務めている廣木さんによると、今回の自社の純米吟醸は、自己採点における評価は低かっただけに、「1位は驚いた」とのこと。
「ここ4~5年のうちの純米吟醸酒は、香りや甘みが強いタイプではなくて比較的におとなしく、目立った個性はないんです。自分としては純米酒(今年は9位)に力を入れていて、もちろん純米吟醸も大切ですけど、勝つのは難しいと思っていました。それで今回、先に発表された純米酒部門で9位に入賞し、ある程度の評価をいただけて内心ほっとしていたんです。そうしたら直後の純米吟醸部門で1位というサプライズ。副賞で何をもらったか忘れるくらい驚いて…思わず頭が真っ白になりましたね」(廣木さん)