サステナブルな取り組みが活性化されたり、グローバル化の波が一層大きくなったり。クラフトビールシーンの最前線で起きている、代表的な5つのトピックを紹介する。
※こちらは「GetNavi」 2023年9月号に掲載された記事を再編集したものです。
【Wave 01】国産ホップがアツい!
“ビールの魂”とも言われるホップは、生産者の減少などで日本産は危機的状況だったが、クラフトビールを愛する人々の力によって近年新たな息吹が! 有名銘柄を中心に紹介しよう。
世界を驚かせた日本生まれのホップの凛とした香りが力強く広がる
サッポロビール
サッポロ SORACHI 1984
実売価格272円
■北海道空知郡上富良野町産(※1)
同社が開発し、世界を驚かせたホップ「ソラチエース」100%で造ったビール。その一部に日本産ホップを使っている。ドライホッピング製法で引き出したヒノキやレモングラスを思わせる凛とした香りと、ふくよかに広がる味わいの余韻を楽しめる。
※1:一部に使用
国産ホップの繊細な面を生かし苦味を抑えたやさしいビール
サッポロビール
サッポロ ココロクラフト流れ星 ゴールデンエール
実売価格279円
■北海道空知郡上富良野町産
“夜空を眺めながら、一息つきたい”そんなココロに寄り添うビールブランドの第1弾商品。国産ホップ「ふらのほのか」の爽やかな香りと、苦味を抑えた軽やかな味が特徴だ。セブン&アイホールディングス限定で販売中。
上品で穏やかな香りが豊潤なおいしさをより昇華
キリンビール
キリン スプリングバレー 豊潤<496>
実売価格273円
■岩手県遠野市産(※2)
同社の叡智を結集した「スプリングバレー」ブランドの代表銘柄。ホップを5種類使用しており、そのうちのひとつが日本産の「IBUKI」だ。上品かつ穏やかな香りが特徴で、好バランスな味わいに寄与している。
※2:「IBUKI」のみ
関西が誇るホップ産地発の清々しい香りの一本
ASOBI BEER
ASOBI
2610円(6本)〜
■京都府与謝野町産
関西屈指のホップの産地・京都府与謝野のホップ活用と、天橋立の環境課題解決を目指し、2020年に設立されたブルワリーの第1弾銘柄。オレンジや若草を彷彿とさせる清々しい香りと、苦味に調和する麦芽の豊かな甘味を味わえる。
【Wave 02】アジアンブルワリーが続々上陸!
韓国や台湾をはじめアジアのカルチャートレンドは、音楽やドラマ、料理だけでなくクラフトビールにまで! 台風のごとく次々と上陸するなかで、熱狂の渦を生んでいる実力派をピックアップ。
【香港】多彩なビアスタイルをウリに日本に上陸し飲食店もオープン
carbon brews
カーボンブリューズ
2021年に日本上陸。ビールらしい味わいの定番からマニアックなビアスタイルまで多彩な銘柄が揃い、2022年には世界第1号店となるタップルーム「carbon brews tokyo」を東京都赤坂にオープンした。
【韓国】研究開発所から生み出されるクリエイティブな味がモットー
KABREW
カブリュー
2000年の設立以来、韓国のクラフトビールシーンを牽引してきた実力派。研究開発所を併設し、進化を重ねるクリエイティブなビール造りが身上だ。2022年の冬に日本に上陸し、一部スーパーマーケットで発売中。
【シンガポール】新星ながら国際的な評価も高いシンガポール屈指のブルワリー
BREWLANDER
ブリューランダー
2017年の創業後、2019年にアジアのビールアワードで金賞に輝き、いまやシンガポールを代表するブルワリーに。2023年から日本での販売を開始。良質な原材料によるクリアな味が魅力だ。
【台湾】台湾と世界の食文化を融合させ独創的なビールを醸し出す
TAIHU BREWING
タイフーブリューイング
台湾の食文化をベースに海外の素材を調和させ、既成概念を打ち破るビール造りがテーマ。サングリアを手本にしたり日本の梅酒や桜を使ったり、氷割りを推奨する銘柄もあるなど自由な発想が光る。
【Wave 03】ビールで食品ロスを削減
SDGs推進の流れはクラフトビール業界にも。最近は特に廃棄予定の食材をアップサイクルする事例が顕著だ。専門的に行うブルワリーをはじめ、注目の3ブランドを紹介する。
もしもの災害用備蓄米を活用しドライでトロピカルな味わいに
Beer the First
ホワイト サム ライス
748円
アップサイクル専門ブルワリーの商品。本来使用する麦芽の20%を、廃棄間際の災害用備蓄食品のひとつ、アルファ米で代用している。ラガー酵母を使いホップの香りを高めたコールドIPA。
【編集部がお試し!】驚きをくれるユニークなビール
「薬草感のある香りが斬新!! ライトな苦味とキレでドライながらも艶のある甘い余韻が漂う、相反する要素を持った個性派。タレ味の焼き鳥や甘めのしょうゆラーメンなど甘香ばしい料理に合わせたい」(編集部)
廃棄豆抽出のコーヒーが香るコク深くフルーティな味わい
アサヒユウアス
蔵前BLACK
700円
アサヒグループの企業が手掛ける「UPCYCLE B」プロジェクトの一本。黒ビールを醸造したあとに廃棄コーヒー豆から抽出したコーヒーを加え、アルコール度数4.5%に仕上げている。
【編集部がお試し!】コーヒーの魅力が凝縮!
「口を近づけたときに感じる香りと余韻が、予想していた以上にちゃんとコーヒーでビックリ! 苦味と香ばしさがありながらも酸味が効いているので重さはなく、スッと飲めますが、飲み応えは十分」
名ブルワリーとタッグを組み、ジャー開発時のごはんをビールに
象印マホービン
ハレと穂
660円
炊飯ジャー開発時の炊飯試験のごはんを原料に、国内ブルワリーの雄「伊勢角屋麦酒」がビールを醸造。白ぶどう果汁を加えた爽やかな味わいで、和食の繊細な味付けにもよく合う。
【編集部がお試し!】和食のおいしさを底上げする味わい
「口に入れたときの炭酸感が心地良い、軽やかさが魅力。苦味が控えめで、ほのかに甘味がありながらも後味はさっぱり。寿司や刺身などの繊細な料理はもちろん、トンカツや天ぷらなどの揚げ物にもマッチ」
【Wave 04】アメリカではパイント缶ビールが主流に
クラフトビール先進国のアメリカでは近年、12オンス缶(355ml)よりパイント缶(473ml)が主流に。日本でもアメリカの輸入ビールを扱うショップで、取り扱いが増えている。たっぷり飲みたい人にオススメだ。
パイント缶にこだわり続ける西海岸ブルワリーの人気IPA
Pizza Port Brewing
スワミズIPA
942円
パイント缶の先駆的ブルワリーの看板銘柄。カラッとした苦味の米国西海岸系IPAで、ホップの爽やかなシトラス香と、モルトのビスケットのようなほのかな甘味が心地良い。
【Wave 05】魔法の粉“ファンタズムパウダー”がじわじわキテる!
最近米国で注目されているのが、ソーヴィニヨンブランというワイン向けのぶどうの皮を粉にした「ファンタズムパウダー」。香気成分を増幅させる作用があり、使用銘柄も増加中で、日本にも上陸し始めている。
5種のホップと“魔法の粉”でジューシーな果実味が鮮烈に
Topa Topa
TRIP THE LIGHT PHANTASTIC
1335円
ジューシーなIPAを目指し、ホップを5種使用。ファンタズムパウダーで、トロピカルフルーツやぶどうを思わせるフルーティな香りと味わいを強化している。
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