日本人にはおなじみの“抹茶”ですが、いま世界的に“MATCHA”が注目されているのをご存知でしょうか? その盛り上がりのひとつとして、カプセル式のカフェシステム「ネスカフェ ドルチェ グスト」では、新フレーバーの「宇治抹茶」を発売。それに伴い、記念イベント「宇治抹茶屋」が京都の大覚寺で開催されました。ここでは、同イベントから見えてきた抹茶にまつわる日本市場の可能性を探っていきたいと思います。
抹茶はブームであっても飲み物としては発展途上だった
昨今では、抹茶を含む日本茶は海外において話題沸騰中。世界的な健康志向の高まりに乗じて日本食もブームになっており、緑茶を中心に需要が増え続けているとか。そして日本に対する興味・関心を高めるクールジャパン戦略の動きもあり、抹茶の輸出量も拡大が見込まれています。
また、抹茶だけにフォーカスしてもその勢いはノリに乗っています。スイーツなどの加工用としての需要もあり、抹茶の原料となる「てん茶」は2014年に過去最高の輸出量をマーク。しかも平均価格は25年前に比べると半額にまで下がっており、手が出しやすいことも追い風になっています。
これらの背景には、まず缶やペットボトル入り緑茶の登場が根底にあります。そして近年では、シアトル系カフェでの抹茶ラテ人気などが大きな影響が、昨今の世界的ブームにつながっているといえるでしょう。
ただ、これだけの熱気ながら日本伝統の飲み物としての「抹茶」の国内飲用率は、わずか約1%にすぎません。そこで、より飲料としての抹茶を消費拡大させるために「京都×ネスレ 宇治抹茶プロジェクト」が立ち上がり、今回のイベント「宇治抹茶屋」が開催されました。
宇治抹茶を世界的ブランドにするための取り組みは始まったばかり!
プロジェクトの骨子となっているのは、ネスレ日本と京都府による「宇治抹茶の振興に関する連携協定」の締結です。これはいわば鬼に金棒的な最強タッグ。なぜなら、「ネスレ キットカット ミニ オトナの甘さ 抹茶」は訪日観光客に大人気の爆買い商品であり、一方の京都は抹茶の産地であるとともに世界屈指の人気観光都市だからです。
多角的に抹茶を知り尽くしたネスレが、本来の抹茶に着目したのが「ネスカフェ ドルチェ グスト」の宇治抹茶。抹茶がブームとはいえ、正式な淹れ方で飲むとなると作法がわからず茶器もそろえづらいと、ハードルが高いですよね。それを手軽に実現してくれるのがドルチェグストなのです。
これならコーヒーと同じ操作で、簡単に本格的な一杯を楽しむことができます。味で特筆すべきなのが、茶せんで点てたようなきめ細かな泡とフレッシュな抹茶の香り。やわらかな口当たりながら爽やかな苦みがあり、上品で心地よい気分に浸れます。
特に京都が美しい紅葉シーズンに、景色を楽しみながら抹茶を味わうという贅沢すぎるこのイベント。しかも伝統的な京菓子がセットで、器は伝統工芸の清水焼という豪華さながら価格は無料という、すばらしい内容でした。
もちろん行列ができるほどの盛況で、来場者は「こんな素敵なサービス、ありえない!」と大興奮。雄大な自然が囲む美しい景観もマッチして、至福のひとときでした。なお「京都×ネスレ 宇治抹茶プロジェクト」は始まったばかりで、今後も宇治抹茶を世界的なブランドにするための取り組みを推進していくそうです。
先述したように、まだまだ伸びしろがある抹茶市場。世界的なMATCHAブームとともに、どこまで盛り上がりを見せるのか、大いに期待したいと思います。