「HTC 10」から1年ぶりに登場したAndroidスマートフォン「HTC U11」。国内キャリアではソフトバンクとauが取り扱い、ソフトバンクは発売中、auも7月中旬に発売します。今回、ソフトバンク版を2週間ほどお借りして試すことができましたので、その使用感についてレポートしていきたいと思います。
ほどよい重量感と持ちやすい形に好印象
U11は、5.5インチQuad HD(2560×1440ピクセル)の大型ディスプレイを採用しているので、持つとそれなりに大きい端末です。しかし、重さは170グラムと、同じ画面サイズで188グラムのiPhone 7 Plusよりも軽く、背面が緩やかにカーブしていて手になじみ、持っていて気持ちいいスマホです。
今回使ったカラーは「アイス ホワイト」でしたが、見る角度によってはブルーやピンクっぽい色が混じり、さまざまな表情を見せてくれました。ほかのアメイジング シルバーやブリリアント ブラックも同様に微妙な色合いを楽しめそうです。
また、前モデルのHTC10はグローバルモデルをそのまま日本に持ってきた形だったので、防水やおサイフケータイが省かれ、HTC端末が好きでたまらない熱烈なファンが購入していたように思います。一方、U11は防水とおサイフケータイに対応。日本でも人気となったHTC J butterflyのように、幅広い人が使えるスマホに戻りました。
「握る」ことで機能を呼び出す「エッジセンス」の新しさ
U11で新たに搭載され、注目されている機能が、本体を握るという自然な動作で機能を立ち上げる「エッジセンス」です。エッジセンスには、短く握る、長く握る2通りの握り方があり、初期状態では短く握った場合にはカメラが、長く握った場合には音声アシスタントの「Googleアシスタント」が起動するようになっています。これらに好みのアプリを割り当てることも可能です。
エッジセンスは片手で機能を呼び出し、操作できるのが便利。短く握ってカメラを起動し、そのまま再び握るとシャッターが切れます。また、Facebookをよく使うなら、それを割り当てておけば、電車の中でも片手で握るだけでFacebookを起動できるといった具合です。
普通に持ったままキュッと握ると起動するので、持ち替えて別のボタンを押すよりも手間はありませんが、握る力加減が慣れるまでは把握しにくく感じました。力加減を調整したり、握って離すタイミングを練習したりできるメニューがあるので、自分で試して調整する方がいいでしょう。また、カメラには光学式と電子式の手ブレ補正機能が搭載されていますが、強く握ってシャッターを切ると、ブレそうで心配になります。調整して程よい強さを見極めたいところです。
スマホで最高評価のカメラ機能
発売前から評判だったのがカメラ。U11のカメラは、グローバルなカメラ評価機関「DxOMark」で最高評価「90スコア」を出していて、高く評価されています。メインカメラは1200万画素で、一般的なスマホよりも大きな画像素子(1.4μmピクセル)を使用。光学式と電子手ブレ補正システムのほか、画素すべてが位相差AFセンサーとしても利用される高速な「Uウルトラスピード・オートフォーカス」を搭載し、薄暗い場所でも、特にモード設定を行わなくてもきれいな写真を撮れるとされています。
いくつか写真を撮ってみたので参考にしてもらいたいのですが、個人的な印象では、ライカのレンズを搭載したファーウェイの「P10」ほどドラマチックな雰囲気はありませんが、鮮やかな色合いできれいに撮れると感じました。ずっとオートで撮っていたのですが、ピント合わせで困ったことはなく、遠景から植物の接写、薄暗い場所で食べ物に寄った写真まで、非常にきれいに撮れて満足できるカメラでした。ここまで撮れると、普通のコンデジは本当に不要になりそうです。
【作例】※画像をクリックすると拡大表示します
オートでも十分きれいに撮れますが、ホワイトバランスや露出を調整できるマニュアルモードの「プロ」もあります。
インカメラはメインカメラより画素数が多い1600万画素。こちらも大きいセンサーで暗い場所でもきれいな写真が撮れます。メインカメラと同様に、1度シャッターを切ると複数枚の写真が記録され、明るさや色を調整する「HDRブースト」機能で撮影されるので、どんな場所でも調度いい塩梅で撮れます。これだけの機能を備えていると、もはやメインとサブという区分けはできません。中高年のお見苦しい顔をお見せしたくないという意識が働いて自撮り写真を残すのを忘れてしまったのですが、自分としては美しく撮れていたと感じています。
また、女性として嬉しかったのが、肌の補正が違和感なくされていること。ファインダーで確認しながら撮れるのも便利です。最近のスマホで美肌モードは当たり前になりつつありますが、U11の補正は自然で程よい感じです。
高い基本性能でストレス知らず
U11を使っていて改めて感じたのが、動作がスムーズな点です。今夏のハイスペックスマホはQualcommのSnapdragon 835を採用しており、どの端末も気持ちよく使えると感じていますが、U11も負けず劣らず動作が素早い。試用期間中、複数のアプリを起動し続け、カメラを起動しっぱなしにして連続で撮影し、端末が温かくなることもありましたが、反応が鈍くなることなく、常にストレスなく使うことができました。
速さで感心させられるのが指紋センサーです。スマホではすっかりおなじみの機能ですが、端末によっては読み取り精度が低かったり、ロック解除にワンクッション感じたりすることがあります。けれどU11は指を置いた瞬間に画面ロックが解除され、すぐに目的のアプリを使うことができます。画面ロック解除は1日に何度も行うので、それにつまずくと、かなりイライラさせられるもの。U11の指紋センサーはデータを守りつつ、瞬時にロックを解除し、使いたい機能をすぐ使えるのでイラつくことがありませんでした。
もう1つ速かったのが充電スピードです。バッテリー容量は3000mAhですが、Quick Charge 3.0に対応しているので充電スピードはかなり速いです。朝、バッテリー残量が十数%まで減っていることに気づいても、30分も充電していると70%程になっているという感覚。また、バッテリー持ちも優秀。2週間はU11をメイン端末としてフルに使いましたが、サブにしている他の端末の残量が心もとなくなっても、U11はまだまだ大丈夫ということがよくありました。ノーマルな使い方だったら2日間は普通に使えるでしょう。U11はパワフルに動くのに省電力だと感じました。
音楽機能がバージョンアップ
HTC端末は従来から音楽機能にも注力してきましたが、U11ではバージョンアップして、より簡単に良い音で聴くことができるようになっています。昨年の「HTC10」に引き続き、今回もハイレゾイヤホンを同梱しています。
ノイズキャンセレーションで雑音を防ぎ、「HTC Uソニック・ハイレゾ」で使う人の耳に合わせて自動で音域と音量を最適化します。HTC Uソニック・ハイレゾはHTC10でもあった機能ですが、自動で行われるようになって手軽に利用できるようになりました。
ノイズキャンセル機能は適度に効き、聴くべき音までカットしたりはしません。電車のアナウンスも聞こえます。また、HTC Uソニック・ハイレゾのメニューでは、調整した音としない音を聴き比べることができるのですが、調整を行うと膜が1枚はがれたようにクリアな音になります。ワンタップで調整できるので面倒もなく、同梱のイヤホンを使うなら、ぜひ利用すべき機能です。
次の行動を促してくれる「HTC センス・コンパニオン」
いま、巷で注目されているAI。U11にはGoogleアシスタント、「HTC センス・コンパニオン」、Amazonの「アレクサ」という3つのAIが搭載されます(アレクサはバージョンアップで対応予定)。今回、期間が短かったのでHTC センス・コンパニオンの実力を発揮するには使用期間が短すぎたのだと思いますが、Google Nowとの区別が少し難しいと感じました。
カレンダーの予定を把握して、予定を知らせてくれたり、バッテリーチャージャーを持つようにすすめてくれたりしますが、予定の通知はGoogle Nowもしてくるので、両方使うと通知が多くなりすぎて煩わしさを感じます。どちらか相性のいい方だけを利用した方がよさそうです。
高性能なカメラ機能とエッジセンスが目立つモデルでしたが、基本性能や音質も高く、いつでも気持ちよく使えました。カメラを筆頭にあらゆる部分で最高レベルに達しているU11は、誰にでもおすすめできる高性能スマホとなっています。