教育市場を見据えての発表
さて、今回のスペシャルイベントはアメリカ・イリノイ州シカゴにある高校の講堂で開催されました。背景にあるテーマは「教育」。実は、前述の「iPad」のアップデートは、同社の教育への取り組みのアップデートへ直結するんです。
例えば、iPadが新しいチップセットを搭載したことで、処理の重いARアプリもスムーズに使えるようになります。画面上に立体的な情報が表示されるので、視覚的な理解を深めることにつながります。
具体的には、美術館や博物館の展示をディスプレイ越しに再現したり、カエルの成長過程を学びつつ解剖を擬似的に体験したりするアプリのデモなどが行われました。また、教科書の表紙自体がARのマーカーとなっていて、カメラを向けると関連した立体映像が表示されるという展示もありました。
もう一つ注目しておきたいのが、新たに対応したApple Pencilを使って、「iWork」アプリへ書き込みが行えるようになること。作成したスライドや資料に手書きのイラストや注釈が加えられるわけです。同機能はアプリのアップデートにより実現します。
体系的な学習はプログラミングだけでなくクリエイティブにも広がる
iPadを利用する「学び」には、能動的に取り組まなくてはいけない課題が多く用意されています。例えば、同社では以前より「Everyone Can Code」という体系的な学習プログラムを用意していました。「Swift」というAppleの用いるプログラミング言語について、コーディングの基礎から順を追って学べるカリキュラムです。
例えば、「Swift Playgrounds」アプリを使って、プログラミングの概念を体系的に学べます。キーボードで直接コードを入力するわけではないので、実践的な書き方を覚えられるわけではありませんが、ゲーム感覚で子どもに「プログラムとはなんぞや」という部分を概念的に理解させるには非常に有効です。最終的には、ロボットやドローンを操作することにつながり、コーディングの実用性を理解させることにつながります。
今回のスペシャルイベントでは、こうした学習プログラムとして新たに「Everyone Can Create」掲げられました。こちらは「Clips」を用いて動画作品を製作したり、「GarageBand」を使って作曲を行ったりするものです。写真やスケッチも含まれます。まさにiPadが強みとする領域ですね。
会場では、テーマを工夫してほかの学習と結びつけることがアピールされました。例えば、何かを覚えさせるための替え歌を使ったり、韻を踏んだ詩をテーマにした動画を作成したりするといった具合です。