デジタル
2019/7/18 7:00

【西田宗千佳連載】「低価格ゾーン」を確保し、「Macのコンパニオン」になるiPad

Vol.80-4

iPadOSの中身は、見た目以上に大きく変化している。いや、正確にいえば、iPadOSだけでなく、iOSも12と13では、かなり大きな変更が行われている。ウェブ経由のファイルのダウンロードやUSBメモリへの対応などは、iPadOS 13だけでなくiOS 13でも実現されており、iPadOS 13の特徴と思われていることの多くが、実はiOS 13の特徴でもある。

 

これらの進化の代償として、iOS 13およびiPadOS 13は、iOS 12に比べて対象機種が限られている。具体的には、iPhone 5sやiPhone 6、iPad mini4などでは「13」系OSが動かず、動作対象外となった。

 

3月に「iPad mini」の新型が、7月に「iPod touch」の新型が、共に4年ぶりにいきなり発表されて、ファンを驚かせた。だが、これもいま考えると納得できる。iOS 13/iPadOS 13は、2015年発売のiPad mini4でも、iPod touchでも動作しないからだ。これらの機種は人気があり、これからも必要なものである。ならば、新OSが動くスペックでリニューアルするのは自然なことだ。特にiPadについては、これで全モデルがApple Pencil対応になり、アップルが「iPadに必要なベースライン」と考えている機能がわかりやすくなった。

 

そこでもうひとつ重要なことがある。

 

macOSの次バージョンにあたる「macOS Catalina」には、iPadOS 13と組み合わせることで、iPadをMacのサブディスプレイにできる「Sidecar」という機能が追加された。これまで同様の機能を使用するにはサードパーティ製のアプリやハードウェアを導入する必要があったが、それが無料で利用可能になり、ハードルが下がっている。Sidecarを使うと、iPadがサブディスプレイになるだけでなく、Apple Pencilと組み合わせて、iPadを「Mac用のペンタブレット」として使えるようにもなる。

 

このことは、MacとiPadを組み合わせて使う、大きなモチベーションになる。MacとiPadをひとつにするのではなく、Macをより良くするコンパニオンにiPadをすることで、「両方買ってもらう」ことを目指すのだ。自社ソフトで自社ハードを組み合わせる、というのはアップルの得意技だが、iPadOSにおいて、その作戦はみごとにハマった感がある。過去のペン入力非対応のiPadで満足していたユーザーに買い替えを促す起爆剤のひとつになるだろう。

 

●次回Vol.81-1は「ゲットナビ」9月号(7月24日発売)に掲載されます。

 

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