中国・上海で6月11日から13日まで開催された「CES ASIA 2019」のレポート、第一回、第二回とお伝えしてきましたが、今回で最終回。今回は、私をしびれさせた「おしゃれかわいい」モノを中心に、中国でのデザインやビジュアルのトレンドを見ていきたいと思います。
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みなさんはスマートウォッチを使っているでしょうか。私はApple Watchの初代をずっと愛用しています。スマートウォッチの良いところはたくさんありますが、私はフェイス(時計の盤面)を自由に変えられて、ベルトの交換も簡単なため、飽きずに使える点が気に入っています。ファッションやTPOにも柔軟に対応できますし。とはいえ、時計全体のデザインはオシャレでいてほしいですよね。
センスの良いスマートウォッチといえば、ファッションブランドとの提携も行っているFOSSILです。CES ASIAでは大きなブースを出して、MICHAEL KORS、DIESEL ON、SKAGENなどのスマートウォッチを展示していました。
日本では2018年12月に発売開始になった、FOSSIL 「Sport Smartwatch」も展示されていました。Sport Smartwatchは、最新チップQualcomm Snapdragon Wear 3100 Platformを搭載するモデルです。41mm径37g、43mm径44gの2サイズがあり、ワンタッチでベルトの交換もできます。バッテリーは1回の充電で約1日とのこと。5気圧防水機能もあり、スポーツ向けに作られています。
中国で販売されているモデルも「Wear OS by Google」が搭載されていますが、中国版になっており、オリジナルのアプリが入っています。スタッフの人に聞いたところ、「WeChat Pay」と「Alipay」の決済に対応しているとのこと。スマートウォッチだけを付けてジョギングに出かけても、ドリンクなどを購入することができるということですね。
スマートウォッチのキッズ用もたくさん展示されていました。abardeenのスマートウォッチは、デュアルカメラ、ビデオ通話、百科事典カメラ(カメラに映されたモノを解析して説明を表示)、GPSなど、キッズ用とは思えないほど機能がたっぷり。さらにAliPayでの支払いにも対応しています。子どもだけで出かけていて急にお金が必要になったときでも、このウォッチがあれば大丈夫なのです。支払いの制限もできるとのことなので安心ですね。キッズ用がここまで進んでいることには正直驚きました。
また、私が展示会場を見ていて気になったことは、音楽関連のガジェットが多いこと。通訳の方によると、中国には音楽が好きな人が多く、DJも流行っているそうです。中国版TikTok「Douyin」にもDJをする様子がたくさんアップされているそうです。そのせいか、レコードプレーヤーがあちこちに。ちょっとレトロなデザインもかわいいですよね。
さらに癒やされたい人はこちらに注目。ジャパンディスプレイの「XVG-01」は、映像に連動した香りを嗅ぐことができる”Multi Sensory Device”です。レコードプレーヤーの形をしていますが、円形の部分はディスプレイになっており、流れる波や揺れる花の映像などを表示することができます。交換式の香りは3種類。壁掛けにもできるそうなので、ボーッと映像を眺めながら音楽と香りを楽しむと一気にリラックスできそうです。ブースにも良い香りが漂っていて、取材で疲れていた私の心もリフレッシュしました。こちらの製品は2019年7月~9月にクラウドファンディングを予定しているとのことです。
続いて、ジャパンディスプレイの製品をもうひとつ。ミュージックディスプレイ「LPX-01」です。写真ではわかりにくいのですが、6インチ高精細液晶の中に写るキャラクターが立体的に見えるのです。両サイドに備えられたスピーカーの詳細は不明ですが、サウンドとキャラクターの動きにより、まさに「見つめたくなるミュージック」というコンセプトが実現されていました。ダンスをするキャラクターは今後好みに合わせて変更できるようにするそうです。映像コンテンツはWebから継続配信する予定とのこと。2019年にクラウドファンディングを実施予定です。
音楽繋がりで、かわいいBluetoothスピーカーも紹介しましょう。Divoomのスピーカーは懐かしいドット絵をディスプレイに表示します。ブラウン管テレビやパソコンを模したようなデザインもレトロ感たっぷりでかわいいですね。ディスプレイに表示させる画像はアプリから作成することができるそうです。また、キュートなデザインのBluetoothスピーカーもありました。小さなトランクのようなスピーカーはスマホと一緒に持ち歩きたくなりますね。
さて、私がCES ASIAで感じたことのもうひとつが、女性がたくさんいたことです。展示を見る若い女性の姿、説明をしてくれるスタッフ、プレスにも女性がいっぱい。他のIT系展示会に行ってもほとんどが男性なのですが、中国は女性が活躍しているのか、時代が変わってきているのか、とにかくデジタルが一般的な生活に溶け込んできている気がして嬉しくなりました。
その傾向は展示にもありました。LOFREEはキーボードやマウスなどのパソコン周辺機器を展示していましたが、そのひとつひとつが生活雑貨のようにデザインされています。トータルコーディネートされていた展示では、インテリアショップを見ているかのよう。こちらもちょっとレトロ感がありますね。
さらに目を引いたのは、ピンク色のおうちのようなブースを構えていた「mosum」。インスタ映えしそうなガジェットがファッション小物のショップのように並べられていました。このキャンディのようなものが何かわかりますか? 中には、スマホ用のケーブルが梱包されているのです。女性へのプレゼントにケーブルを贈る日がやってくるなんて! そして、ハンディ扇風機もありますね。日本でも昨年から女子高生を中心に流行していましたが、今年の夏は老若男女みんなが使いそうなアイテムです。
デザインで目を引くガジェットを紹介してきましたが、全体を振り返るとレトロ感漂うデザインや女性をターゲットにしている周辺機器が多かったと感じました。前述したように、もうガジェットは男性、女性両方にしっかりとアピールできるジャンルになったのですね。スマホが普及したことによりITへの苦手意識が払拭されたことや、幼い頃からデジタルに触れてきた世代が成長してきたこともあるのでしょう。
次回のCES ASIAは2020年6月に上海で予定されています。そして、CES ASIAの本家とも言えるCESは、2020年1月にラスベガスで開催されます。あと半年、一年でデジタルの世界はどう変わるのでしょうか。どちらの展示会も今から楽しみですね。
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