デジタル
2019/12/10 21:30

5Gで激動する通信&モビリティ業界。追いかけるべき4つの「5Gのイマ」

2020年春ごろから本格的な提供が始まる次世代通信規格「5G(ファイブジー)」。現状、どのような施策が行われているのでしょうか。3大キャリアの取り組みや、「東京モーターショー」で見た技術展示など、「5Gのイマ」をお伝えします。

 

【5Gのイマ その1】大手各社が5Gプレサービス&実証実験を続々実施!

キャリア各社は5Gの実証実験やプレサービスを精力的に実施。一般ユーザーが5G環境を体験できる機会も増えています。

 

NTTドコモ……5G伝送の活用でVTuber×リアルが共演するステージを実現!

5G伝送を使ってVTuberとリアルなタレント、来場者がVR空間のライブシステム内で共演するイベントを東京国際映画祭で開催。実証実験として、救急医療分野で初の5G活用の試みも実施している。

 

↑VTuberのVR空間上での映像・音声・モーションデータを5Gで伝送。離れた場所で臨場感のあるステージを楽しめました

 

↑救急指定病院と救急車、ドクターカーを5Gで繋ぐ実験。高精細な診断用映像を伝送しました

 

KDDI……ドローンレースの高画質映像を屋外からリアルタイムで配信

ドローンレース・カンファレンス「DTRC2019」で、5Gを使った高画質な映像配信や4Kリアルタイム中継を行う5Gプレサービスを提供。実証実験は、ドローンによる山岳登山者見守りなどを行いました。

 

↑レース決勝を高画質な映像でライブ配信。5Gでは、これまで難しかった屋外からの高精細な映像アップロードが可能になります

 

↑4Kカメラや拡声器を搭載した5Gドローンによる実証実験。自律飛行で遭難現場や遭難者の状況などを把握

 

ソフトバンク……VR空間でフジロックのライブ映像を視聴できるサービスを実施

フジロック会場内で、5G経由でライブ映像を視聴できるサービスを提供。実証実験では、同時多接続の特徴を生かして橋桁や橋脚に「加速度センサー」を多数設置。5Gでデータを収集しました。

 

↑VRヘッドセットを備えたブースを設置。公式YouTubeチャンネルがライブ配信する映像を5Gネットワーク経由で視聴できました

 

↑橋桁や橋脚の異常を遠隔地からリアルタイムに検知する実験。災害発生時の活用が期待されます

 

【5Gのイマ その2】東京モーターショーにも5G関連の展示多数!

自動車関連の大規模展示会「東京モーターショー」でも、5G時代を想定した技術に関する展示が多数行われました。

 

自動運転車……5G時代を想定した自動運転シェアカー

アルプスアルパインは、5G環境でのシェアカーとしての利用を想定した自動運転車のコックピットを展示。スマホをキーとして使い、クラウド経由でユーザーの認証や車両のロック解除を行う技術などが紹介されました。

 

↑車内にカメラを搭載。自動運転中のユーザーの姿勢から行動を検出し、照明を自動調整します。また、降車時に忘れ物を検知する機能のデモも実施されました

 

↑快適さが重視された運転席。ユーザーの好みや予定に合わせたルートが提案される「レコメンドエンジン」も紹介されました

 

災害復旧……子ども向け職業体験には災害復旧作業のブースも

モーターショーの会場内で開催されたキッザニア監修の子ども向け職業体験では、KDDIが5G環境を想定した災害復旧の体験ブースを設置。遠隔操作で災害現場のがれきを撤去する仕事の体験が行われました。

 

↑5G時代を理解する仕事体験として災害現場を模型で再現。遠隔操作室から重機をコントロールし、道路を塞いでいるがれきを撤去するミッションが与えられました

 

↑遠隔操作室のディスプレイには、現場の状況が映し出されます。映像を頼りにレバーを操作して車両をコントロールします

 

ガラスアンテナ……窓ガラスに取り付ける超小型の5Gアンテナ

NTTドコモは、AGC、エリクソン・ジャパンと共同開発した「車載用5Gガラスアンテナ」を展示。5G通信に対応した小型のアンテナで、車両ガラスに取り付けることで高速走行中も安定した5G通信を可能にします。

 

↑車両ガラスに複数のアンテナを分散設置することで、様々な方向からの電波を強い強度で受信可能に。移動中の通信環境を安定化させることが期待されます

 

↑小型なので視界をさえぎらず、車両デザインを邪魔しない点もメリット。鉄道や建物のガラスへの導入も想定されます

 

【5Gのイマ その3】大手キャリアトップが語る5Gのこれからとは?

IoT展示会「CEATEC2019」の「5Gスペシャルデー」に、携帯4社のトップが集結。5G時代への展望を語りました。

 

↑各トップの講演の後、全員がステージに並んでのグループインタビューがおこなわれました

 

5G時代に起こる変化を各社トップが大予測!

「携帯電話会社のトップが語る『5Gへの取組と今後の展望』」と題したカンファレンスでは、キャリア4社のトップによる講演とグループインタビューが行われました。

 

5Gがユーザーにもたらす変化として、NTTドコモ・吉澤和弘社長は、「リアルとバーチャルが融合する世界がさらに進化する。テレビや音楽の視聴スタイルが変化する」と話しました。KDDI・髙橋 誠社長は、「スタート段階ではスタジアムでの体験などが中心。本格普及すれば、フロー型(買い切り)からストック型(継続)にビジネスモデルが変わる」と予測。ソフトバンク・宮川潤一副社長兼CTOも、「本格普及後はモノ同士が当たり前につながるようになり、料金体系も変わってくる」と言及。キャリアとして新参入した楽天モバイルの山田善久社長は、「5Gは低遅延が大きな特徴。これを生かしたサービスに期待したい」と語っていました。

 

NTTドコモ 吉澤氏

「今後、様々なソリューションに対応していくと、主流はサービスに通信料が含まれた形での提供になる」

 

KDDI 高橋氏

「多様性の時代。5Gを快適に使いたい人と、安ければいいという人の両方を見据えた料金設定をしたい」

 

ソフトバンク 宮川氏

「早急に5Gを普及させるためには5G端末が低価格で手に入る状況を作ることも必要ではないかと考える」

 

楽天モバイル 山田氏

「4Gサービスも含め、具体的な料金の発表はこれからだが、参入する以上は喜んでいただけるものにしたい」

 

【5Gのイマ その4】対応端末はいつごろ出る? 2020年のスマホはどうなる?

5G通信の恩恵を受けるには、まずは対応端末を入手する必要があります。ここでは2020年のスマホ市場を予測してみましょう。

 

5Gモデルはハイエンドからまもなく登場する

2020年春の5G商用サービス開始に合わせて対応端末も提供が開始されると考えるのが自然。初期はハイエンドモデルが中心になると思われます。価格は、すでに海外で販売している「Galaxy Note10+ 5G」が約15万円。国内版「Galaxy Note10+」が約12万円なので、メーカーは既存上位機種から数万円高い価格設定を行う可能性は十分あります。しかし、キャリアとしては「まずは使ってほしい」と思うはず。どうやって価格を抑えるのかに注目です。

【教えてくれた人】

モバイルライター

井上 晃さん

スマートフォンや通信関連など、最新モバイル事情に精通するライター。国内外を取材し、雑誌やウェブメディアを中心に記事を執筆。

 

↑CEATEC2019でNTTドコモが展示した2画面タイプの5Gスマホの試作機。2画面端末は5G時代の新定番に

 

↑KDDIも同イベントで、GalaxyとXperiaの5G対応試作機を展示。実際に登場する5Gスマホのヒントとなりそうです

 

4G最新世代から見た5Gスマホのカタチ

現在販売されているスマホは、4G最終世代の機種にもなりえます。最新のハイエンド4Gスマホから、5G時代のスマホの展開を想像してみましょう。

 

手軽に2画面化できる新発想の注目端末

LGエレクトロニクス

LG G8X ThinQ

専用ケースに装着して使う2画面スマホ。取り外して従来のスマホスタイルでも使用可能。海外では5G版が販売され、日本での登場も期待できそう。

 

日本へは初上陸となる最先端フォルダブル端末

サムスン電子

Galaxy Fold

日本初登場となる折りたたみディスプレイ搭載スマホ。広げれば約7.3インチの大画面をタブレットのように使えます。海外では5G対応モデルも発売。

 

夜間撮影をはじめカメラ性能の高さが強み

Google

Pixel 4

天体写真の撮影も可能な低光量対応カメラを備える5.7インチ端末。5G対応版が登場するかは未知数ですが、好評な機種だけに追加を期待したい。