デジタル
2020/1/1 21:30

巨大IT企業は今後世界をどう動かすのか……「GAFA」の描く2020年代

今日、世界的なプラットホームを掌握する4つの巨大企業が注目されています。Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字から「GAFA」と呼ばれるこれら企業は、テクノロジーと社会の行く末に大きな影響力をもっています。ここでは、そんな彼らの今後の動きを予想・解説します。

 

私が解説します!

ジャーナリスト

西田宗千佳さん

モバイル機器、PC、家電などに精通します。記事を雑誌や新聞などに寄稿するほか、テレビ番組なども監修しています。

 

展開中の商品から見えてくる4社4様の経営戦略

Googleは、最新スマホのPixel 4や新型のGoogle Glassを投入したり、ウェブブラウザのChromeを展開したりと、活動の幅が広いです。だが、そんな彼らの狙いは実はシンプルで、「ネットの利用を増やすこと」に尽きます。情報を整理し、そこに広告を出すことがGoogleのビジネスの根幹なのです。さらに現在は、整理した情報を使いやすく提示するAndroidや、そのライセンス提供も大きなビジネスとなっています。彼らが送り出す機器・ソフト・サービスで、ネットをどう使わせたいかを考えれば、Googleが何を狙っているのかがわかりやすくなります。

 

Appleの戦略の基本は「付加価値のあるハードを売ること」です。MacBookにしろiPhoneにしろ、品質と使い勝手がトップクラスでファンが多い機器であることがブランドの担保となっています。今後は、発売した機械の連携を強め、1つを愛用したらほかのApple製品も欲しくなるように仕向けていくはず。おそらく今後もApple WatchやAirPodsに続く関連製品を増やすことになります。有力候補はARグラスですが、その登場は20年代の後半あたりになるでしょう。

 

Facebookは母体がSNSである以上、どうしても収益が広告頼りとなります。仮想通貨を発行しても自社だけで運営できないので、効果は限定的。そこでOculusのようなVRハードとコンテンツから、異なる形での収益を見込んでいますが、成長するには時間がかかります。しかし、仮想通貨やVR・ARが成功すれば生活のなかでFacebookの関与する割合が高まってきます。SNSユーザー以外にFacebook関連サービスを使わせれば、広告媒体としての価値はさらに上がるため、恐れず新事業を展開するはずです。

 

Amazonのビジネスは3本柱。「通販」とネットインフラの「AWS」、そして「ハード」です。なかでもスマートスピーカーのEchoシリーズは、未来の家電の軸になる技術として、積極的に展開していくでしょう。とはいえ、Amazonはハードで大きな利益を上げる必要がありません。「Amazonというサービスを使い続けてもらえば良い」と考えているので、通販を使い続けてもらうためハードは安価にし、維持するためのインフラ事業をさらに広げていくはずです。

 

Google

検索サービスを起点に、地図や各種クラウドサービス、Android OSの提供など、活動領域は多岐にわたります。同社のサービスに触れずに暮らすのは困難なほど、現在の生活に密着しています。

 

【注目プロダクト】 プロ級の写真が手軽に撮れる多機能なデュアルカメラを搭載

Androidスマホ

Pixel 4

10万3950円

Googleの考えるAndroid端末の在り方がうかがえる、5.7インチ有機ELディスプレイ搭載モデル。暗い場所でも明るく撮れる、AI機能を駆使したデュアルカメラを搭載。専用チップを搭載することで、セキュリティも強化されました。

 

↑本体の色は、オレンジ、黒、白の3色をラインナップ。それぞれの色に合わせた純正ファブリックケースも用意します

 

【2020年代はこう動く!】 集積したデータでリアルとウェブを一体化する

ウェブにアクセスする機会が増えるほど、Googleの収益も増えます。集積したデータを都市などの日常風景に投影できる、AR技術を活用したGoogle Glassは今後の注目株。Appleとの競争はここでも続きます。

 

↑Google Glassの新モデル。より眼鏡らしいデザインとなり、違和感なく街に溶け込みます

 

Apple

現在のスマホの実質的起源と言えるiPhoneを生み、エコシステムを完成させたのが同社。そのプロダクトには常に注目が集まる、世界中に多数の信奉者を抱えるオピニオンリーダーです。

 

【注目プロダクト】 画面の常時オンが可能になってより便利に

スマートウオッチ

Apple Watch Series 5

4万7080円〜

スマホと連携し、各種通知やメッセージの確認などが行えるスマートウオッチ。単体でも使用可能で、新たにコンパス機能を搭載しており、地図アプリで向いている方向まで確認可能になりました。画面の常時オンに新対応し、使い勝手も向上しました。

 

↑本体である「ケース」とバンド部分、それぞれを選択して購入可能。ナイキやエルメスとのコラボモデルも用意します

 

【2020年代はこう動く!】 24時間Apple製品を身につける生活へ

Apple製品が持つ付加価値のうち、現在、ユーザーの目に最も魅力的に映っているのは、やはりデザイン性です。iPhoneのカラバリも増加していますが、この傾向は今後も続き、よりパーソナルな方向へ進みます。

 

↑Apple Watchの純正バンドは56種類。高いカスタム性が消費者マインドをくすぐります

 

Facebook

世界最大のSNSの運営で莫大な広告収入を上げるFacebook。これまで、VRヘッドセットメーカーOculusを買収するなど拡大を続けてきました。2019年は仮想通貨事業に参入して話題になりました。

 

【注目プロダクト】 コード類一切なしで本格的なVRゲームを1台で楽しめる!

VRゴーグル

Oculus Quest

5万4780円

単体でVRゲームなどを楽しめる一体型VRヘッドセット。動きや顔の向きなどを検知する6DoFに対応するほか、装着している部屋の広さを計るルームスケールトラッキングも可能。より没入感の高いVR体験が味わえます。

 

↑購入時の付属コントローラーは手の動きをダイレクトに反映し、現実のような正確さで操作が可能です

 

【2020年代はこう動く!】 新技術の普及で広告以外の収益化を目指す

Facebookが現在力を入れているのが仮想通貨のLibra。これが軌道に乗れば、Facebookを通じたECが世界規模で普及する可能性も。それはFacebookというSNSの媒体価値を高めることにつながります。

 

↑Libraは、取引に使いやすい「価格が一定のステーブルコイン」を目指すと発表されました

 

Amazon

世界最大のECサイトであるAmazon。小売だけでなく、Echoシリーズの開発と、同ハードに搭載されたAIアシスタントAlexaにより、IoT家電の普及をリードしています。

 

【注目プロダクト】 5.5インチのディスプレイ付き格安スマート端末

スマートスピーカー

Echo Show 5

9980円

5.5インチディスプレイを装備したAIアシスタント端末。声による操作で、音楽再生のほか、時刻や天気、ニュースなどの表示ができます。本機を経由してAmazon Alexa対応IoT家電をコントロールすることも可能。Echo端末同士のビデオ通話機能なども搭載します。

 

↑こちらは、プラグ一体型のEcho Flex。Echo端末は多種多様なものが展開され、どれも高コスパです

 

【2020年代はこう動く!】 IoTを家庭内に普及させて生活を変える

Amazonは家庭内のすべての機器を自社製のIoT機器でつなぐことを目指しています。それらの機器をつなぐインフラ、機器で注文する商品などもAmazonが担おうというのが今後の基本的な狙いです。

 

↑AIアシスタントAlexaを中心に、各種IoT家電が連携するスマートホームの実現を狙います

 

【2020年に登場する注目プロダクト】 かつての王者Microsoftも復権の兆し

期待のプロダクトが2020年に登場!

Windowsを展開するマイクロソフトは、GAFAと並び称される巨大企業。最近では、独自のプロダクトであるSurfaceシリーズが人気を集めています。同社は、2020年投入予定の新モデルを早くも発表。いずれも斬新な注目アイテムです。

 

マイクロソフト

Surface Neo

国内発売未定

9インチのディスプレイを2つ搭載した折りたためるPC。2画面連結で最大13インチ相当となります。脱着可能で位置をずらせるキーボードも用意。このほか、同様のスタイルでAndroid OSベースの小型端末Surface Duoも発表しました。

 

マイクロソフト

Surface Pro X

価格未定 2020年1月発売

13インチのタッチスクリーンを搭載したビジネスマン向けの2 in 1タブレット端末。質量774g、薄さ7.3mmと軽量で携帯性に優れ、駆動時間も13時間を確保しました。LTE通信に対応し、Wi-Fiの入らない環境下でも作業が行えます。