米Mozillaは14日(米現地時間)、Webブラウザ「Firefox」のデスクトップ版につき、デフォルトで「包括的Cookie保護」を有効にすると発表しました。すでにWindows版、Mac版、Linux版につきロールアウト(時間差のある、順次展開)されています。
この「包括的Cookie保護」は、これまでFirefoxが備えてきたなかでも、最も強力なプライバシー保護機能とのことです。ざっくり言えば、あるWebサイトにより作られたCookie(Webサイトの閲覧データやユーザーの個人情報を保存したファイル)を、別のサイトがのぞき見ることができなくなります。
Mozillaのブログ記事によると、このしくみは訪問するWebサイトごとに個別の「クッキージャー」を作成。Webブラウザが作成したCookieはその“瓶”(ジャー)に入れられ、それぞれのサイトが触れるCookieは自分の瓶の中にあるものだけ。そうすることで、個々のサイトは従来通りCookieをブラウザに預けられる一方で、別のサイト向けCookieには手出しできなくなるわけです。
すでにFirefoxは2018年から強化型トラッキング防止機能(ETP)を導入しており、異なるサイトをまたいだユーザー追跡に使われるCookieをブロックしています。が、これは「悪質なCookie」だけをリストアップしているため、リストに登録されていないものはすり抜ける弱点がありました。新たな「包括的Cookie保護」は、その穴を塞ぐものといえます。
MozillaはCookie保護を強化する必要につき、学生ローンの申請や健康関連サイトを通じたもの、出会い系アプリなどがユーザーを追跡している例を挙げて説明。これらは憂慮すべき事態であり、オンラインでのプライバシー保護を守るために「包括的Cookie保護」を開発した、との意図が語られています。
こうしたユーザー追跡を防ぎ、個人情報を守ろうとする姿勢は、アップルがiOS 14.5以降に導入した「アプリトラッキング透明性」にも通じるものです。ターゲティング広告から莫大な収益を上げているGoogleやFacebook(および親会社のMeta)と、プライバシー保護を重視するアップルやMozillaとの対立はますます深まっていきそうです。