ショート動画共有サービスTikTokは先週末、米国ユーザーのデータを米国にあるOracleサーバーに移行すると発表しました。その影で、今年1月の時点で中国のTikTokスタッフが米国ユーザーの非公開データをのぞき見できていたという、不穏な報道が伝えられています。
米BuzzFeed Newsは、80ものTikTok社内会議の録音を入手したそうです。それによればTikTokの米国社員は「自分たちでデータにアクセスする許可や知識がなかった」ので、米国ユーザーデータの流れを理解するために中国の同僚に何度も相談していたとのことです。
さらにTikTokのTrust & Safety(セキュリティ)部門に属する匿名メンバーは、2021年9月の会議で「すべては中国で見られている」 と述べていたことも報告されています。
加えて、「(中国生まれの)TikTokが米国人など他国のユーザーから集めたデータに、中国政府がアクセスできるのでは?」との懸念に対して、同社が米国部門は中国政府から独立した立場にあると強調していたことを指摘しています。
この問題は2020年夏、トランプ政権が中国系モバイルアプリ「WeChat」とともにTikTokアプリを米国のアプリストアで禁止する大統領命令を発するまでにエスカレートしていました。
その後もTikTokは、親会社のByteDanceと同じく、米国ユーザーのデータを渡すことはないと公言しています。バイデン政権に移行してからは、トランプ時代の大統領命令が撤回され、米国人とそのデータに対して安全保障上の脅威を与える可能性のある外国が管理するアプリの多くにつき、広範に見直すよう求めるものに改められました。
TikTok公式ブログによれば「米国ユーザーのトラフィックは100%、米国のOracle Cloud Infrastructureにルーティングされています」とのこと。さらに「まだバックアップのために米国とシンガポールの自社データセンターを使っています」としつつ、それらを将来的には削除して「米国にあるOracle Cloudサーバーに完全に移行する」と約束しています。
しかしBuzzFeedは上記の社内会議で、物理的には米国内のOracleサーバーを使っていたとしても「TikTokがソフトウェアレイヤーを制御する」との発言があったとして、今後も中国からユーザーデータをのぞき見られる可能性を示唆しています。今後、バイデン政権が厳しく追及すれば、場合によっては米国でTikTokがサービスを続けることは難しくなるのかもしれません。
Source:BuzzFeed News,TikTok
via:TechCrunch