アップルが約14年半ぶりにデザインを一新した「MacBook Air」を、7月15日に発売します。本機のどこが先進的で、ユーザーはどう快適さを感じられるのか? ファーストインプレッションをレポートします。
大きく変わった新デザインはスタイリッシュ&実用的
MacBook AirはアップルのモバイルPCの中で最も薄く・軽量で、ポータビリティの高さが特徴のシリーズです。ビジネスパーソンからクリエイター、学生にまで、MacBookシリーズのエントリーモデルとして広く親しまれてきました。
見た目も特徴的で、アップルが2008年に発売した最初のモデル以来、MacBook Airは本体のパネルを閉じた状態で、先端に向かって形状がシャープになる「ウェッジシェイプデザイン」を受け継いできました。
ですが、新しいMacBook Airはデザインが大胆に変更されています。パネルを閉じた状態で、全体の厚さが均一に1.13cmとなるフラットデザインを採用。新たなトレードマークとしており、2020年に発売されたM1搭載MacBook Airと持ち比べてみると、薄さを実感できます。
また、質量は50gほど軽くなりました。ただ、こちらはすぐに気が付く変化ではありません。
ディスプレイのサイズも、M1搭載MacBook Airに比べてわずかに大きくなりました。13.6インチのLiquid Retinaディスプレイは、画面上部中央を切り欠いてカメラユニットなどを載せたデザインとしています。
カメラユニットの左右にmacOSやアプリのメニューが表示されるので、たとえばExcelのスプレッドシートやWebブラウザーなど、アプリケーションのコンテンツ情報が従来よりも少し多めに表示できます。
動画を再生するとカメラユニットの左右部分は画面が暗くなりますが、切り欠きの部分が煩わしく感じられることはありません。ここが同じ切り欠きを持つオールスクリーンデザイン搭載のiPhone 13シリーズとの違いです。
Magic KeyboardはM1搭載MacBook Airと同じシザー構造です。タイピングの手応えは、新しいMacBook Airの方が、わずかにキーストロークが浅くなったようですが、長時間タイピングしても大きく差を感じることはありません。
見どころは、ファンクションキーとTouch IDを内蔵する電源キーがフルハイトサイズになったことでしょう。また、各キーが大きめなので、スムーズにタイピングできる安心感があります。
新しいMacBook Airに「買い換えたくなる3つのポイント」
筆者はふだん、M1搭載MacBook Airを仕事のメインにしていますが、新しいMacBook Airを試用したところ、以下3つの点から買い換えたくなっています。
ひとつは電源ケーブルのコネクターにMagSafeが採用されたことです。マグネットで着脱するコネクターなので、うっかりケーブルに足をひっかけて本体を壊す心配から解放されます。
さらに、MagSafeで給電・充電をしながらでも2つのUSB-Cポートがフリーになるので、USBアクセサリーをつないだり、iPhoneやApple Watchの充電に使えたりするところもすごく便利です。
もうひとつは、先にも触れたとおり、画面の表示領域が広くなったこと。いつものテキストタイピングや写真の加工編集がより楽に感じられます。Apple TV+やNetflixの動画視聴もすこぶる快適です。
最後は、新しい4スピーカーサウンドシステムです。サウンドの切れ味が鋭く、クリアになりました。音像定位も明瞭になっているので、音楽コンテンツのボーカル、映画のダイアローグ(セリフ)がキリッと冴え渡って聞こえます。空間オーディオのコンテンツも、内蔵スピーカーで聞くと音場の立体感がとても豊かに感じられました。
新しいMacBook Airならば、自宅で音楽や映画を楽しむ際にはヘッドホンやイヤホンを使わずに内蔵スピーカーで聴きたくなると思います。
購入検討前に真剣に吟味したいポイントは?
デザインの一新や、使ってみるとわかるポイントなど、新しいMacBook Air には多くの魅力があります。一方で気を付けるべき点もあります。新規に購入、あるいは旧モデルからの買い換えなどで吟味されている方のために、筆者が比較検討の際に気を付けるべきと考えるポイントにも触れたいと思います。
まずは価格です。MacBookシリーズの中で、「Air」は最も安価に買えるマシンであることからエントリーモデルとして親しまれてきました。今度の新しいMacBook Airは基本構成モデルの価格が16万4800円(税込)からとなり、M1搭載MacBook Airから3万円高くなっています。
続いてバッテリーの持続性能。新しいMacBook Air は、M1搭載MacBook Airと同じ約18時間の連続使用に対応しています。実際に使ってみると、フル充電の状態から、途中休ませながら使えば1日以上は追加でチャージをしなくてもバッテリーが持ちました。
また、新しいMacBook Airの内蔵バッテリーは高速充電にも対応しています。ただしパッケージに付属するUSB-C電源アダプターでは高速充電ができないため、別途67W以上のアダプターを買いそろえる必要があります。ここは注意したいところ。
もうひとつは、ビデオ通話などに使う機会も多くあるFaceTime HDカメラ。ここはイメージセンサーの解像度が720pから1080pに向上しています。ただ、筆者がFaceTimeやZoomなどのアプリケーションで試してみた限りでは、カメラ映像の解像感が劇的に向上する感じはありませんでした。
とはいえ、太陽の光が強く当たる部分など、映像の明部の白飛びは、新しいM2チップに統合されている画像信号プロセッサーが巧みに抑えて、バランスの良い画質に整えてくれます。
また、とてもスリムなデザインが魅力的であることについては冒頭でお伝えしましたが、このボディの薄さを損なわない本体ケース/プロテクターを見つけることは発売当初困難かもしれません。筆者はMacBookに細かな傷が付くのが嫌なのでプロテクターを使う派なのですが、もし新しいMacBook Airに買い換えたらスリーブタイプのケースに乗り換えるしかないと考えています。
最後に、MacBookのパネルにiPhoneを合体させて、FaceTime HDカメラのように使える、macOS Venturaの新機能「連係カメラ」を利用するときに、新しいMacBook Airだとパネル側に負担がかからないか若干心配です。
アップルはMacBookの本体を十分頑丈に作っているから心配無用だと思いますが、この機能の使い勝手はまた試せる機会が訪れたときに報告します。
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