すべてのスペックが高いハイエンドモデルは当然満足度が高いが、格安モデルには一抹の不安もある。注目は手の届きやすい価格ながら、一部の仕様がハイエンドモデル並みな“一芸スマホ”。長期の使用でも満足できるモデル選びをプロがナビゲートする。
※こちらは「GetNavi」2023年11月号に掲載された記事を再編集したものです。
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【私が教えます!】
モバイルライター・井上 晃さん
スマートウオッチやスマホを中心に、デジタルアイテム全般を精力的に取材。情報誌やウェブメディアに幅広く寄稿する。
【バランスの良さ】
ミドルレンジ以上の体験ができる圧倒的コスパの「a」シリーズ
Google
Google Pixel 7a
実売価格:6万2700円
6.1型のミドルレンジモデルで、プロセッサーには上位機種と同じTensor G2を搭載。「a」シリーズとしては初めてワイヤレス充電にも対応した。画面内蔵型の指紋センサーに加え、顔認証もサポート。
SPEC●CPU:Google Tensor G2●ディスプレイ:6.1インチ(1080×2400)●メモリ+ストレージ:8GB+128GB●背面カメラ:広角64MP+ウルトラワイド13MP●サイズ/質量:W72.9×H152×D9.0mm/193.5g
【ここに一芸アリ!】
「望遠カメラこそ備えませんが、コンピューテーショナルフォトグラフィーを生かした撮影で、十分満足できるでしょう。最低5年間のセキュリティアップデートが保証され、長期使用を見据えやすいのもポイント」(井上さん)
【カメラ性能】
イチバン安いiPhoneだが頭脳は13シリーズと同等
Apple
iPhone SE
実売価格:6万2800円
2022年3月に発売された第3世代モデル。チップセットにはA15 Bionicを搭載し、5G通信もサポートする。現状のiPhoneラインナップでは、4.7型の画面とTouch ID内蔵のホームボタンを備える貴重な選択肢だ。
SPEC●CPU:A15 Bionic●ディスプレイ:4.7インチ(750×1334)●ストレージ:64 GB●背面カメラ:12MP●サイズ/質量:W67.3×H138.4×D7.3mm/144g
【ここに一芸アリ!】
「超広角や望遠への切り替えはできないものの、撮影した写真の質感などを機械学習によって最適化する『Deep Fusion』はしっかりサポート。高倍率ズームや夜景などの厳しい環境でなければ十分キレイな画質です」(井上さん)
【エンタメ性能】
21:9のスリムなディスプレイと高音質ステレオスピーカーを搭載
ソニー
Xperia 10 V
実売価格:6万7100円
7月上旬に発売されたXperiaシリーズにおける普及価格帯モデル。約6.1型の有機ELディスプレイを搭載し、21:9のアスペクト比も健在だ。背面カメラは超広角(800万画素)、広角(4800万画素)、望遠(800万画素)の3眼。
SPEC●CPU:Qualcomm Snapdragon 695 5G Mobile Platform●ディスプレイ:約6.1インチ(1080×2520)●メモリ+ストレージ:6GB+128GB●背面カメラ:超広角8MP+広角48MP+望遠8MP●サイズ/質量:約W68×H155×D8.3mm/約159g
【ここに一芸アリ!】
「細長い画面は動画の“ながら視聴”に最適。サウンドは内蔵スピーカーでも十分楽しめるほか、『DSEE Ultimate』もサポートするので、ワイヤレスヘッドホンなどでストリーミング音源をより良い音で楽しめるのもナイス」(井上さん)
【画面の美しさ】
4万円台ながら6万円台の競合に見劣りしない高画質
OPPO
OPPO Reno9 A
実売価格:4万6800円
「Reno7 A」の後継に当たるミドルレンジ機で、約6.4型のフルHD+有機ELディスプレイを搭載。背面カメラは広角(4800万画素)、超広角(800万画素)、マクロ(200万画素)の3眼だ。IP68の防水防塵やおサイフケータイにも対応。
SPEC●CPU:Qualcomm Snapdragon 695 5G●ディスプレイ:約6.4インチ(1080×2400)●メモリ+ストレージ:8GB + 128GB●背面カメラ:広角約48MP+超広角約8MP+マクロ約2MP●サイズ/質量:約W74×H160×D7.8mm/約183g
【ここに一芸アリ!】
「背面はガラス素材が採用されたうえ、同社が『OPPO Glow』と呼ぶ加工も施されており、質感が良くなりました。4万円台でありながら、画面は有機ELで90Hzに対応。6万円台の競合にもそれほど見劣りしません」(井上さん)
【バッテリー性能】
ミドルレンジでは異例の画面仕様と強化されたバッテリーに注目!
サムスン
Galaxy A54 5G
実売価格:6万9850円
Galaxy A53 5Gの後継として5月に発売。約6.4型の有機ELディスプレイを搭載する。背面カメラは標準(5000万画素)、超広角(1200万画素)、マクロ(500万画素)の3眼。5年間のセキュリティアップデート保証もポイント。
SPEC●CPU:Exynos 1380●ディスプレイ:約6.4インチ(1080×2340)●メモリ+ストレージ:6GB+128GB●背面カメラ:超広角12MP+広角50MP+マクロ5MP●サイズ/質量:約W76.7×H158.2×D8.2mm/約201g
【ここに一芸アリ!】
「120HzのリフレッシュレートとHDRを兼ね備えたハイエンド並みのディスプレイが魅力。さらにバッテリー持ちが強化され、ビデオ再生時間が従来機の最大18時間から21時間まで増えたことも見逃せません」(井上さん)
想定用途に合った特性を重視して選ぶのが正解
昨今は本体価格10〜20万円というハイエンドスマホが多い一方、“スマホは使えれば良い”と割り切る人は安価なモデルに目が行きがち。だが1〜3万円台のモデルを選ぶと、プロセッサーの処理性能や防水仕様、ストレージ容量など思わぬところで不満が出やすいので注意が必要だ。
その点、4〜6万円台で手が届くミドルレンジモデルは現実的な選択肢として注目。プロセッサーなどの基本性能や独自の機能が充実しており、使い勝手もストレスを感じにくい程度に洗練されているモデルが数多く発売されている。
「一部の仕様がハイエンド並みというモデルも増えていますので、カメラやディスプレイなど、想定用途にあった特徴さえ押さえておけば、長期使用を見据えても十分に満足できるでしょう。例えばGoogle Pixel 7aはプロセッサーとして上位モデルと同じ『Tensor G2』を搭載。処理性能と電力効率が向上しています。サムスンのGalaxy A54 5Gは120Hz・HDRの有機ELディスプレイを備え、高画質で動画を楽しむことができます」(井上さん)