現在、米国ではApple Watch Series 9/Apple Watch Ultra 2は、特許侵害と認定されたため、血中酸素モニターをソフトウェア的に無効にした状態で販売中です。
この特許を持つ医療機器会社Masimoのジョー・キアニCEOは、アップルとの和解に前向きであり、友好的に問題を解決できるようにしたい趣旨を述べていました。これはおそらく、Masimoが特許をアップルにライセンス供与し、血中酸素機能を復活する方向と推測されます。
しかし、アップルのティム・クックCEOはニュース専門放送局CNBCの生放送にて、アップルは上訴(米国際貿易委員会が下した輸入・販売禁止命令を不服として、米連邦巡回控訴裁判所に控訴)に集中しており、Masimoからライセンス供与を受けるつもりはないと示唆しました。
クック氏は「我々は上訴に集中している」「血中酸素センサーがなくても、この時計(Apple Watch)を買う理由はたくさんある」と述べています。
今後のアップルの方針については、Masimoに歩み寄り、和解金を支払ってライセンス供与を受けたほうが合理的だと調査会社TrendForceは分析していました。
なぜなら、もしも内部のハードウェアを変更するなら、規制当局の審査に時間がかかることに加えて、開発に数か月以上はかかると予想されるためです。次期Apple Watchも今年秋に発売する可能性が高く、大きな時間の余裕はないというわけです。
しかし、かつてアップルはクアルコムとの特許訴訟を何年も繰り広げ、最終的には45~47億ドルもの和解金を支払ったと見られています。2023年内のApple Watch総売上は200億ドルに満たない可能性もあり、Masimoに巨額の和解金を支払うのは厳しそうです。
今後のApple Watch新モデルには、血中酸素モニターのアプリが搭載されない可能性が高まった格好です。とはいえ、新型コロナ禍が一段落して、その病状を判断する用途での需要も下火となっており、機能がなくなったとしても売上げにはあまり影響がないのかもしれません。
Source:AppleInsider