「5000万円以上の利益を溶かした」失敗から得た教訓を伝授。お金のプロが語る物価高、円安時代の投資の秘訣

ink_pen 2025/10/11
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「5000万円以上の利益を溶かした」失敗から得た教訓を伝授。お金のプロが語る物価高、円安時代の投資の秘訣
藤原 綾香(GetNavi Salonマネージャー)
藤原 綾香(GetNavi Salonマネージャー)

「GetNavi web」のモノ系コミュニティ「GetNavi Salon」の運営マネージャー。報道系ニュースメディアでの勤務や、公式Xアカウント中の人経験アリ。三度の飯よりゲームとコーヒーと、人と語らう時間が好き。

物価高と円安の今、「貯金だけではお金が減る」と警鐘を鳴らす税理士・公認会計士で投資家の永江将典氏。少額からでも、今すぐ投資を始めることが重要だと言います。「元手がなければ投資も何も……」と悩む人向けに、前編記事では投資用の資金確保術をうかがいました。

後編では、永江氏自身の大きな失敗談から得た教訓を交え、NISA活用など、少額から手堅く始める投資の具体的な方法と「長期で勝つ」ための戦略を、最新著書『最強の投資と節税 二刀流税理士のお金の増やし方』(10月2日発売)の内容を踏まえつつ、解説いただきます。

永江 将典(ながえ まさのり)
税理士・公認会計士・投資家。
1980年愛知県生まれ。早稲田大学を卒業後、半年後に公認会計士試験に合格。監査法人トーマツやトヨタ自動車での勤務を経験、一部上場企業の監査や株式公開支援、税務調査の業務に携わる。2012年に独立し税理士事務所を開業。5店舗に拡大し200社以上のクライアントや富裕層から、お金の守り方、増やし方を学ぶ。投資家としては20代から株式投資、30代で不動産投資を始めるも、数々の失敗を経験。これまで投資の失敗で約5,000万円を失いながらも試行錯誤し、投資収入が年間1,000万円を超えたのち、税理士事務所を売却。現在は投資家として総資産10億円を運用している。著書に『税金でこれ以上損をしない方法』等がある。

「5000万円以上の利益を溶かした」失敗から伝えたいこと

――記事前編では、“投資に回すためのお金”を確保するために今すぐできることをうかがいました。固定費を見直した結果、自由に使えるお金が数千円できたとして、どんな投資から始めるべきでしょうか。

永江:最もおすすめしたいのは、やはり「NISA」。特に「つみたて投資枠」を活用すれば、毎月少額から、幅広い投資信託に非課税で投資できます。一度設定すれば自動で積立されるので、手間がかかりません。長期前提で「低コストのインデックスファンド」を毎月コツコツ積み立てるのが、現時点でのおすすめですね。

「好きな企業の株主になることができ、経済に関心を持つきっかけになる」という意味では「ワン株(単元未満株)」も良いのではないでしょうか。通常、株式は100株単位で購入しますが、ワン株サービスを利用すれば1株からでも購入できます。それこそ100円でも始められますよ。好きなお菓子メーカーを応援したいとか、そういう理由でもじゅうぶんです。とりあえず色々と買って試してみては。

あとは「金の積立」も、実は無理なく投資の第一歩を踏み出す方法の一つ。金はインフレに強く、安全資産として知られています。毎月定額を積み立てることで、リスクを抑えながら資産を形成できるんですよ。

――方法がいくつかあるとはいえ、お話をうかがうほどにNISAを始めたくなってきます。どのくらい利益を出せますか?

永江:毎月3万円、または5万円を年利5%で運用した場合のシミュレーションを見てみましょうか。

毎月3万円を投資(年間36万円)
10年後:約460万円(元本360万円 → 約100万円の利益)
20年後:約1100万円(元本720万円 → 約380万円の利益)
30年後:約2150万円(元本1080万円 → 約1070万円の利益)

毎月5万円を投資(年間60万円)
10年後:約760万円(元本600万円 → 約160万円の利益)
20年後:約1840万円(元本1200万円 → 約640万円の利益)
30年後:約3580万円(元本1800万円 → 約1780万円の利益)
※年利5%、複利、NISA非課税

――長い目で見ると、まとまった額の利益がきちんと出るんですね! リスクはないんでしょうか。

永江:残念ながら「損をしない制度」ではありません。非課税というのは、あくまで運用益にかかる税金がゼロになるだけで、投資元本が減るリスクは常にあります。

ただ一つ言えるのは、NISAで損をする人の多くが「長期前提(10〜20年以上)で投資できない人」であること。例えば、一時的な市場の下落であるのにもかかわらず、不安になって売却してしまう……なんてケースがよくありますね。

NISAではありませんが、私にも似たような失敗があります。忘れもしない、2008年のリーマンショック時のこと。持ち株が2000万円から1000万円に半減したのを見て怖くなり、持っていた株を全額売却してしまったんです。ああいうとき、真のお金持ちはどんと構えているだけじゃなく、むしろ更に株を買うんですよね。売らずにあのまま辛抱していれば今頃は4倍以上になっていたはずですから、私は5000万円以上の利益を溶かしてしまったことになります!

――永江先生でも大きな失敗経験があるんですね。

永江:もちろんです。ですがそこで得た教訓を自分で生かしたり、こうして皆さんにお伝えしたりできれば、単なる失敗にはならないと思っています。

重要なのは、「市場の一時的な下落」で慌てないこと。経済は長期的に見れば成長していくもので、それに伴って株価も上がっていく傾向にあります。この「長期目線」を持てない人、あるいは、下落時にお金が必要になって株を売却せざるを得ない人がNISAで損をしてしまうと考えています。

「お金がないから投資できない」はウソ⁉ 勝ち筋を知るプロならではの戦略

――先ほど、失敗から得た教訓を生かしていらっしゃると仰っていましたね。もし仮に「これまでの投資運用にまつわる知識は全て持ったまま」、投資を始めた頃の財政状態に戻ったらどうしますか?

永江: 知識はあるのに、元手が少ないということですね?

――そうです。少額からでも始められる投資方法をいくつか教えていただきましたので、そういったことからスタートされるのではと思ったのですが。

永江:「こうすれば儲かる」という道筋が見えているので、私が取る行動は一つです。まずあらゆる手を尽くし、親や友人、銀行、カード会社などからお金を借ります。1000万円くらい集めたら、いわゆる「ボロ不動産」を買ってリフォームし、2000万円で売却して資金を作りますね。

――想像の斜め上のご回答でした! さすがはお金のプロ。

永江:お金を集めることが、最も早く資産を増やす方法だと知っているからです(笑) 「お金がないから投資できない」と思っている人は少なくないかもしれませんが、投資で利益を生み出す勝ち筋が見えているのなら、借りてでもチャンスを掴むべきなんです。

とはいえ、最初からこんなに攻めた投資ができる人はいないと思いますし、知識や経験なしに取る行動としてはあまりにリスクがあります。お伝えしてきたとおり、楽しみつつ少額から、長期的な視点で取り組んでみてください。

――投資にも「トレンド」があると思います。特に今、ここに注目しておくと良いよ! というキーワードを教えてください。

永江:ずばり「人口ボーナス期×NISA」です。節税しながらお金を増やせる組み合わせですよ。インドのような、これから人口が増えていく「人口ボーナス期」にある成長市場への投資は、将来的に大きなリターンを得るチャンスがあるわけです。そこでインドの企業に投資している投資信託を、NISAで買うという建付けですね。

詳しくはぜひ著書(『最強の投資と節税 二刀流税理士のお金の増やし方』)で!

――国内ではなく、国外にも目を向けることが大事なんですね。

永江:そうです。世界人口が増えると、世界を相手に製品・サービスを提供している会社は儲かりますから、そこに投資するのも手です。例えば、ネスレやユニリーバといった日本でも身近なメーカーの株は、先に紹介したインドの株よりは上がらないでしょうが、その分リスクも低め。初心者でも安心して投資対象に選べるはずです。

とにかく私がお伝えしたいのは、「何もしないことが一番のリスク」であるということ。物価高で円安が進む今、貯金しているだけではお金は実質的に減っていきますし、年金も当てにできなさそうです。日本という国を信じて何もしないでいると、自らの手で未来の選択肢を狭めていることにもなります。

最初の一歩は、誰でも勇気がいります。書籍を通じて踏み出すお手伝いができれば、うれしいですね。

↑『最強の投資と節税 二刀流税理士のお金の増やし方
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