没入型(イマーシブ)のエンターテインメントの最前線
いやはや、2025年の年末も末も末、ほぼ片足をおせちの重箱に突っ込んでいるようなシーズンに、とんでもないものを見てしまいました。それは、デジタルとフィジカルを繋ぐ空間レイヤープラットフォーム「STYLY」を提供する株式会社STYLYが作り上げた『ULTRA EXPERIENCE PERFORMANCE TOUR』。こちら、一言で言えば「日本最強のプレーヤーたちのパフォーマンスを、最前列、というか『ほぼ仲間目線』で感じられる激アツのVRツアー」(全然一言じゃない)です。
出演は、AIRFOOTWORKS、青宙ノート、Ibuki & Shohei、OBJECTSの4組。いずれも世界有数の大会で受賞経験を持つ、業界を牽引するトップパフォーマーたちで、いや、なんつったらいいの? けん玉やフラフープ、フリースタイルフットボール、ディアボロなどストリートパフォーマンスの超最前線の方々が、その超絶テクをVR映像経由で視聴者の眼前で披露してくれるわけです。そこに映画館(ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらいのシアター)のド迫力音響効果を追加。その結果、パフォーマンス現場の生っぽい空気感まで感じられる体験となっていたのです。

これは、STYLYが標榜する “特定の場所に行かなければ体験できない没入型エンターテインメント”を意味する「Location-Based Entertainment(以下「LBE」)」のひとつ。「没入型(イマーシブ)のエンターテインメント体験」とも表現されるものです。デジタル技術とリアルの空間を融合させ、「物語の中に入り込んだような感覚」や「他ではできない体験」を実現してくれる新しいエンターテインメントの形です。将来的には、テーマパークやVR/ARアミューズメント施設、体験型ミュージアム、ポップアップイベントなどで、ますます提供が広がっていくタイプのエンタメと言えるでしょう。
「自分が主体者になれる映像体験」とは
ポイントは、「物語の中に入り込んだような感覚があること」――これなのです。だって、私、書きましたよね?「ほぼ仲間目線」。これが、今回の『ULTRA EXPERIENCE PERFORMANCE TOUR』の肝なんだと思いました。「目の前で繰り広げられる」とか「超特等席」とか「ものすごい臨場感」とか、そういうレベルじゃないのです。大切なのは「自分が映像の一部になったような感覚」、すなわち「自分が主体者になれる」ということ。そのフィーリングが、このイベントの本質だったのではないでしょうか。「眼前」という言葉ではまったく物足りない。少しややこしい表現をすると、「パフォーマンスの一参加者(仲間)」でありながら、「その様子をやや客観視している自分ももう一人いる」、それがこのツアーならではの「超視点」なのです。いわゆる幽体離脱にも似た「疑似超常現象体験」と言ったら怒られるでしょうか。STYLYのカンパニーミッションは「人類の超能力を解放する」だからきっと大丈夫。とはいえ、このトンデモ体験をこんなにクールな形で実装するとは、ちょっと特別な体験でした!
この、「自分が主体者になれる」視点はSTYLYも強く意識していたようで、今回のVR映像には「過剰なエフェクトや演出によるファンタジー化」はなし。あえて「身体性、呼吸、間合い」といった生々しさを優先したコンテンツとなっているのがものすごく良かったです。VRだからこそ近づける距離、通常では見られない角度からの映像によって、パフォーマンスそのものの凄みが、仲間視点で、言い換えれば「ヘイ、オマエ、その動きめちゃクールじゃん(おじさんが想像するストリート言葉)」的な視点で楽しめるわけです。要は、VRにありがちな「演出くささ」がないのです。
コンテンツはVR180(GoogleとYouTubeが共同で策定した立体視180度VR動画の標準規格。ヘッドマウントディスプレイで視聴すると、前方180度のみが立体的に見えるフォーマット)の実写映像で、それを楽しむためにはXRデバイスが必要です(今回はSTYLYが用意)。これを頭に掛けることが「LBE」の現時点での参加条件ですから、今はまだ「デバイスありき」のハードルの高さはあります。でもこの「究極の参加感」の前では、そんなことも些事。少なくとも、この体験をした人の思考回路は、「ヘッドマウントディスプレイ、めんどいな」という考えから、「次はどんな景色が見られるのかな」に書き換えられたんじゃないでしょうか。

『空間レイヤー』で、世の中をもっと面白く
STYLYはこの分野において極めて野心的なカンパニー。「高まる市場ニーズと不足するコンテンツ供給問題」を解決するため、LBE向けコンテンツを制作する上で不可欠なネットワークモジュールを含むSDK群(ソフトウェア開発キット)をオープンソースで公開しています。その試みは、大きく言えば「LBEの民主化」。もうひとつ大きく言えば、「『空間レイヤー』という新しい定義で、世の中をもっと多重的に、もっと面白く、作り手みんなで変えちゃいましょう!」ということです。
同社は、東京ドームシティ内の宇宙体感施設「Space Travelium TeNQ」にて提供中のVRコンテンツ『THE MOON CRUISE』の開発も担当。こちらは、自由に360°宇宙空間内を見渡せる6DoF(Six Degrees of Freedom/ 仮想空間内で、前後・上下・左右の移動位置と、縦・横・斜めの回転の6方向すべての動きを再現できること)のVR映像で、また別レベルの感動も提供中です。本ミュージアムは常設展示なので、「自分が主体者となる『LBE』コンテンツ」を体験したい場合は、ぜひこちらへ。これはこれで、抜かれた度肝が、宇宙に漂う超絶体験を満喫できるはずです。
今回の『ULTRA EXPERIENCE PERFORMANCE TOUR』は2日間限定だったわけで、その意味では「ウルトラLBE」(=ULBE)な体験でございました。しかしまあ、その可能性は無限大です。アーティストのライブに参加してもいいし、バンジージャンプなどを疑似体験するのも面白そう。ロケーションだけではなく、タイムも超えてジュラ紀に行ってみたり、バック・トゥ・ザ・フューチャーよろしく近未来に行くこともできるでしょう。もう少ししたら、STYLYのオープンソースを活用した各プレーヤーによって、「LBE」が「TIME」を加えて「TLBE」に書き換えられる日もすぐ来る気がします。そんな近未来を予見させる、好イベントでございました。
●イベント内容(終了)
• イベントタイトル:ULTRA EXPERIENCE PERFORMANCE TOUR
• 日時:2025年12月27日(土)〜12月28日(日)
• 会場:ローソン・ユナイテッドシネマ STYLE-S みなとみらい
• 出演:AIRFOOTWORKS、青宙ノート、Ibuki & Shohei、OBJECTS
• 主催:株式会社STYLY
• 共催・協力:KDDI株式会社、株式会社ローソン・ユナイテッドシネマ
• 詳細ページ:https://styly.inc/ja/news/ultra-experience-performance-tour/
