なんかスゴい時代…自律的に動く「魚の群れロボット」が誕生

ink_pen 2021/1/27
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なんかスゴい時代…自律的に動く「魚の群れロボット」が誕生
佐藤まきこ
さとうまきこ
佐藤まきこ

大学時代に細胞培養の研究を専攻した後、メディア・広告の世界へ。雑誌編集者や広告のプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのプランナー、エディターとして活動中。ハワイ、オアフ島在住。Instagram: @hawaii_milestone

イワシのような小さな魚は群れを作り、自分の身を守ります。そんな魚たちの動きを見本に、周囲の魚と共に自然と群れを形成する魚のロボットをハーバード大学の研究チームが開発しました。魚のように自ら群れを作るロボットの開発は、海での遭難者の捜索などに応用できる可能性があるそうです。

 

カメラで周囲の魚のLEDライトを検知

↑かわいくてスマート

 

魚の群れの形成には、リーダーのような存在がいるわけではありません。魚同士が個々にコミュニケーションをとっているわけでもなく、自然と作られると言われています。一匹一匹の魚が周囲の魚の行動をもとに自律的に動くことで群れが生まれており、そんな複雑な集団行動は科学者を長いこと魅了してきました。

 

ハーバード大学の研究チームは生命体が大群を成して自ら動くように、自己組織化されたロボットを開発してきました。例えば、自律的に動いて1000体の群れで星型や文字を作るミニロボットの「Kilobot」があります。しかし、これまでの自律型ロボットは2次元の平面的な空間でしか動かず、魚のような動きをするためには、ロボットが3次元で動く必要がありました。

 

この課題に挑むため、研究チームはロボットに青色のLEDライト3つと2つのカメラを搭載しました。このロボットは周囲のロボットのLEDライトをカメラで検知すると、独自のアルゴリズムで距離や方向などを測ります。こうして、3次元でも自律して動くことができるロボット「ブルーボット」が生まれました。

 

水中ロボットが3次元で自律行動することが実証されたのは、これが初めてとか。多くのロボットは人間が近づけない場所や危険な場所で利用されているかもしれませんが、ブルーボットはGPSやWi-Fiが存在しない場所でも自律的に活動することができる点がポイント。そんなロボットの開発は私たちにとって非常に意味のあることだと、この研究チームは語っています。

 

リーダー的存在を作らず、特別な指示がなくても、周囲のロボットの動きを真似して集団行動が可能な自律式ロボットは、例えば海での遭難者の捜索や救助などにも活用できる可能性があるようです。見方を変えれば、ロボットは少しずつ自由を獲得しつつあるようにも見えますが、進歩しているのは確実でしょう。

 

【出典】Berlinger, F., Gauci, M., & Nagpal, R. (2021). Implicit coordination for 3D underwater collective behaviors in a fish-inspired robot swarm. Science Robotics, 6(50). https://doi.org/10.1126/scirobotics.abd8668

 

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