プラセボだっていいじゃない!「ピンク色の飲料水」で運動がもっと楽しくなる

ink_pen 2021/7/16
  • X
  • Facebook
  • LINE
プラセボだっていいじゃない!「ピンク色の飲料水」で運動がもっと楽しくなる
佐藤まきこ
さとうまきこ
佐藤まきこ

大学時代に細胞培養の研究を専攻した後、メディア・広告の世界へ。雑誌編集者や広告のプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのプランナー、エディターとして活動中。ハワイ、オアフ島在住。Instagram: @hawaii_milestone

スポーツや運動をするとき、どんなドリンクを飲んでいますか? スポーツドリンク、水素水、経口補水液など、さまざまな選択肢がありますが、もし運動のパフォーマンスを上げたいと考えているなら、飲み物の色に着目するといいかもしれません。

↑飲み物もウエアのコーディネートも全部ピンク系にしたら、運動は最高に楽しい?

 

運動パフォーマンスと飲み物の色の関係を調べるため、英国・ウエストミンスター大学の栄養補助食品センターの研究チームは被験者を使って、ある実験を行いました。

 

被験者にはランニングマシンを使って、自分の好きな速度で30分間ランニングをしてもらい、その最中にドリンクを飲んでもらいました。用意されたのは、人工甘味料を使った低カロリーのドリンク2種類で、1つはピンク色、もう1つは透明です。2つのドリンクの中身はまったく一緒ですが、ピンク色のほうだけ着色料を使って色を付けており、見た目の色だけが異なっています。

 

その結果、ピンク色のドリンクを飲むと、透明のドリンクを飲んだときに比べて走行距離が平均で212m長くなったと同時に、ランニング速度が4.4%上がったことが判明しました。しかもピンク色のドリンクを飲むと、透明の飲料水と比べて、被験者は運動をより楽しいと感じた模様です。

 

プラセボ効果?

先行研究では、糖分入りのドリンクを飲むことによって、運動の負荷が軽減し、パフォーマンスが上がることがわかっていました。今回の実験で研究者がピンク色を選んだ理由は、ピンクが糖分を連想させる色であるため、糖分摂取の期待を高める効果があるだろうと考えたから。実際にピンク色のドリンクを飲むとパフォーマンスが上がったのは、被験者自身が「エネルギーを補給して元気になった」と錯覚している可能性があります。

 

この研究チームでは、糖分の入っていないドリンクでもピンク色であれば、飲んでいる人は糖分を接種していると思い込み、パフォーマンスが上がるのではないかと推測しています。しかし、ピンク色のドリンクにこのようなプラセボ効果(有効成分が含まれていない偽薬でも身体に効果が現れること)があるかどうかは、さらなる研究を行う必要があるとのこと。考えられる理由の1つとしては、スポーツや運動の場面でピンク色のドリンクを飲むことは、日本を含め他国では一般的であるとは限らないということが挙げられるでしょう。

 

しかしながら、かっこいいウエアやシューズを身に着けると、なんだかプロのアスリート並みに身体が軽快に動きそうな気がしてくるもの。格好から入るのと同じように、もしかしたら私たちはエネルギーをしっかり補給できそうな色のドリンクを飲むと、身体に力がみなぎってくるように感じるのかもしれません。スポーツをするときや、子どもの運動会などに参加するときは、試しにピンク色のドリンクを飲んでみてはいかがでしょうか?

 

【出典】Brown DR, Cappozzo F, De Roeck D, Zariwala MG and Deb SK (2021) Mouth Rinsing With a Pink Non-caloric, Artificially-Sweetened Solution Improves Self-Paced Running Performance and Feelings of Pleasure in Habitually Active Individuals. Frontiers in Nutrition. 8:678105. doi: 10.3389/fnut.2021.678105 

Related Articles

関連記事

もっと知りたい!に応える記事
Special Tie-up

注目記事

作り手のモノ語りをGetNavi流で