漫才頂上決戦『M-1グランプリ2022』が開催され、毒舌漫才のウエストランドが優勝し、大きな話題になっている。
今回は、前回のインタビューで優勝予想をしてもらった女優・川瀬莉子さんに大会を振り返ってもらった。はたして、川瀬さんの考えるウエストランド優勝の勝因とは何なのか!?
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(構成・撮影:丸山剛史/執筆:kitsune)
新たな審査員を迎えて始まった、シン・M-1グランプリ
――先日『M-1グランプリ 2022』が開催され、大変盛り上がりましたね。前回のインタビューでは「予想編」ということで、上位3組を当てる3連単に挑戦していただきましたが、大会をご覧になっていかがでしたでしょうか?
川瀬 素晴らしい大会でしたね! 残念ながら、予想の3連単は外してしまいましたが、しっかり予習していたこともあって、例年以上に楽しめました。
――敗者復活戦からご覧になっていましたか?
川瀬 はい。敗者復活戦の面々もそれぞれ目立っていて、爪痕を残していたコンビが多かったですね。大会自体も大きなハプニングなどもなく、完成されていた感じがしました。
――今年は、新たな審査員として山田邦子さん、そして博多大吉さんは5年振りに就任しましたね。
川瀬 レジェンドの登場で驚きました! 全体的に審査員がフレッシュなメンバーになって、また違った展開が見れそうだと思い、楽しみでした。
――それでは、さっそく大会を振り返っていきましょう。
個性豊かなファイナリストたちに審査員も苦悶!
決勝コンビ全10組を完全解説
1組目 カベポスター
――決勝戦に出場したコンビのネタを順番に振り返りたいと思います。まず、1番手でネタを披露したのは、カベポスターさんでした。
川瀬 さすがのカベポスターさん、安定感抜群の掛け合いを披露してくれましたね。笑神籤を引かれた瞬間は、ウワーッという顔をされていてきつそうでしたが、正直トップバッターがめちゃくちゃ似合うと思ってしまいました(笑)。大会を左右する存在なので、カベポスターさんの安心できる心地よい漫才は、1番手にふさわしかったと思います。
――前回、川瀬さんはツカミに注目して欲しいとお話されていました。
川瀬 今回もガシッと掴まれましたね~。(立川)志らく師匠もツカミの部分を褒めていましたが、逆にツカミが面白すぎて期待値が上がりすぎてしまったと仰られてました。
――志らく師匠の予想外の指摘に、カベポスターのお二人も驚きながらも、ちゃんとボケて切り返していました(笑)。
川瀬 他の審査員の方の反応でいうと、ナイツ塙(宣之)さんが「悪いところが何もない」とお話しされていましたが、まさしくその通りだと思いました。「大声大会」というネタで、出てくる言葉ひとつひとつがしっかりとボケになっていて、最後に伏線が回収される感じ、完璧でしたね。山田邦子さんの点数が出た時は少し驚きましたが、平均点数が低い設定なんだろうな、と思い納得しましたし、コメントできちんと評価されていました。
――結果は8位でしたね。
川瀬 やっぱり順番は重要ですね……。中盤後半に披露していたら、もっと点数伸びていたかと思います。良いネタをまだまだたくさん持っているかと思うので、来年に大きく期待です。
2組目 真空ジェシカ
――つづきまして、真空ジェシカさんが2番手で登場しました。
川瀬 真空ジェシカは2番じゃない! 似合わなかったですね(笑)。
――もう少し場が温まってからのほうが良かったかもしれませんね。
川瀬 そうなんですよ。ツカミもネタも最高だったので! まずは、ガクさんのことを「見つけたら嬉しいラッキーどんぐり」と呼ぶツカミで、かわかいかったですね。
――今回もしっかりツカんでいました。
川瀬 そこから「シルバー人材センター」というネタ。聞き間違いから始まる入りや、絶妙なワードセンス、ツッコミのパートで理解させて笑わせるスタイル……ずっとジェシカワールドで面白かったです。 そこから、最後の終わり方がトリッキーすぎてw
――不思議な空気になっていましたね(笑)。
川瀬 引き込まれました。こちら側を全力で引き離そうとする感覚に、好きな人はハマッてしまう。だけど、好みの問題もあって、実際に松本(人志)さんは点数を低めにつけていらっしゃいました。全体的には高得点だったので、本当に惜しい……。何度も言うけど順番が悪い!! 次は、運も味方にしてほしいです。
3組目 敗者復活戦 オズワルド
――さて3 組目は、敗者復活組になりました。1位になったコンビが発表されて、そのままネタを披露する流れです。
川瀬 敗者復活組が来るのが早かったですね。後半だと、勢いのままバーンッと行けてしまう場合もあるのですが、前半だと、しっかり内容の面白さを審査される気がします。
――敗者復活組の位置で流れが変わることもありますよね。今回は、1位がオズワルドという結果になりました。
川瀬 強かったですね。2位の令和ロマンも、まだ世間的には無名にもかかわらず、純粋な面白さで食い込んでいて、行くんじゃないかとも思ったんですが、そこはやっぱりオズワルド。決勝経験ありの人気コンビが上位に集う中、そこをぶち抜けるオズワルドは、ネタの強さだけでなく、発信力もあり自分たちの売り込み方もしっかり分かっているのがすごい。
――前回のインタビューで、オズワルドが勝ち上がる可能性もあると予想されていましたね。
川瀬 手堅く決勝進出されました。ネタは、敗者復活戦と決勝戦で同じネタを披露されてましたが、少しアレンジされていましたね。さらに、大吉先生も仰っていたように、2回目でも変わらずお客さんを笑わせていました。
――シチュエーションに大きく左右されない安定感がありました。
川瀬 パワーもマシマシでしたが、少しだけ緊張は見られたような気はします。点数も大きくはハネていなくて残念でしたが、それでも期待とプレッシャーの中で、あれだけ堂々とできたのはオズワルドだからこそですね。
――来年もまた勝ち上がってきてくれそうです。
川瀬 笑い飯さん、和牛さんのような常連組になっていくんでしょうか……。応援している方は夢が終わらずにまだ来年まで追っていけると思うと、それはそれで楽しみですよね。今後も頑張ってほしいです。
4組目 ロングコートダディ
――4組目は、昨年も決勝進出したロングコートダディさんが登場しました。
川瀬 2人らしさが出ていた漫才でしたね! 面白かった~。せり上がりや入りの時点で、すでに兎さんの雰囲気でお客さんが笑っていましたね(笑)。始まる前から、クスクス笑い声が聞こえていた気が。やはり昨年と比べると随分とキャラクターが浸透したのかもしれません。
――「マラソン世界大会」という常に走っている、動きが多いネタをやっていました。
川瀬 誰も傷つかない平和な世界観で、次から次へと出てくるマラソンランナーのボケが面白くて、最初から最後までワクワクしながら見られる漫才でした。2人で楽しみながらやっている空気感が良かったです。ファンの方も一気に増えたんじゃないかなあ。
――得点も高かったですね。
川瀬 単なるボケの羅列になっていないところが評価されていましたね。笑いが落ち着く部分もなかったですし、納得の点数だと思いました。
――大会の全体的なテンションも上がった感じがしました。
川瀬 自分たちの空気に持って行って、ネタ後のトークの際にはM-1を〝マラソン1グランプリ〟にしていましたね(笑)。最後の最後まで素晴らしかったです。
5組目 さや香
――5組目はさや香さん。5年ぶりに決勝戦に返り咲いたコンビです。
川瀬 さや香のしゃべくり漫才の本領発揮といったところでしたね! まず、「免許返納」を題材にしたちょっと変なテーマで、入り方も怖面白いといった感じでした。そこから時事ネタもあり、キレツッコミもあり、そして伏線回収的な展開もありで、ただまくし立てるだけのしゃべくり漫才ではなく、要素がギュンギュンに詰まっていたので、感動しました。面白くない瞬間がなかったです。
――点数も歴代2位の高得点を叩き出しました。
川瀬 爆上がりの点数でびっくりしました! でも相応しい評価だと思います。予想の3連単にさや香さんを入れてなかったんですが、私の中で「もうこれは1位だ!」となっちゃいました(笑)。それぐらい面白くて。私の3連単は崩れてしまいましたが、これはもう納得でした。
――初出場の5年前から、かなりパワーアップされていたと思います。
川瀬 関東のテレビやステージではまだあまり拝見してないので、関西の舞台で場数を踏んでピッカピカに磨かれてきたんだろうな、と。これから全国でどんどん活躍してくれると思います。
6組目 男性ブランコ
――6組目に登場したのは、男性ブランコさんです。
川瀬 推しのお2人がやってきました~(笑)。いつもの名前のツカミをしっかりやってくれたので、まずはホッとしました。知らない人にも、とても親しみやすい入り方だと思いますので。
――「音符運び」という不思議な世界観の漫才でした。
川瀬 設定、雰囲気からかわいかったですね。この感じ、女性には相当ウケが良かったんじゃないかあな。その一方で、2人の演技力を存分に発揮した、ちゃんと男性ブランコらしい漫才でしたね。
――素晴らしい演技でした。
川瀬 浦井(のりひろ)さんの死にっぷりと言ったら(笑)。音符も見えましたね。こちらの想像力をしっかり演技力でカバーしてくれているような。
――得点もかなり高かったのですが、上位3組には一歩及ばず。
川瀬 ちょっとした差だと思うんですよね。松本さんが96点を付けているなど、高評価なことには間違いないですから。いや~個人的には邦子さんに刺さってほしかったですね……! 来年、また違った男性ブランコの一面を見せてほしいです。
7組目 ダイヤモンド
――さて、次はダイヤモンドさんがネタを披露しました。
川瀬 んん~もっと評価されてほしかったんですけど、審査員の皆さんの中ではあまり良いとはならなかったようですね。奮わなかったので、辛かったです。
――「有銭飲食」や「農薬野菜」など変なところを強調したワードを出していくという、興味を引く内容の漫才でした。
川瀬 言葉遊びが本当に面白かったですね! 次はどんな言葉を変換してくるのか、楽しみにして聞いていました。テーマの着眼点が良いですよね。
――点数が伸びなかったのは何故でしょうか?
川瀬 出順もあったかと思います。大きな動きのある男性ブランコさんのあとに、言葉だけで来ると、切り替えが難しかったのかなと。頭の中で一旦考えなくてはいけない内容だったと思うので。
――なるほど。前後のコンビの性格にも左右されるわけですね。
川瀬 ダイヤモンドさんは、もちろん動きがあるネタも持っていますし、来年また違ったテイストの2人が見れるといいなと思います。
8組目 ヨネダ2000
――佳境となってきましたが、ここで登場したのがヨネダ2000さんです。川瀬さんの3連単予想では1位に据えられていました。
川瀬 最高に面白かったですね! ちゃんとヨネダ2000ワールドに持っていってくれました。ただ残念ながら1位ではなかったですが。
――しかし、会場のお客さんウケはものすごかったとお聞きしました。
川瀬 おお~やっぱり! どちらかというと私もお客さんの笑いの量はどうか、という目線で見ていたので、そこの予想は合っていたかな……!
――他にはない唯一無二のリズム漫才でしたね。
川瀬 「もちつき」というテーマやネタ自体も面白いのですが、誠ちゃんも愛ちゃんもあれをやりきる技術がすごいですよね。声量や音程を細かく調整していたし、リズム感も必要。2人じゃないとできないことだと思います。
――審査員さんの皆さんは、相当悩んでいらっしゃいましたね。
川瀬 みんな頭を抱えてましたね~。私は「そうだ! 悩め、悩め!」と思っていました(笑)。志らく師匠にはハマるだろうなと思っていましたが、案の定、高得点をつけられていて、塙さんも高かったです。ですが、審査員の方は笑いの量だけでなく、ちゃんとバランスを見ていらっしゃいますからね。
――ウケ量に関しては、川瀬さんの予想はかなり良いところまで行っていたと思います。
川瀬 く~、審査員に私がいれば…!(笑)。2022年はTHE Wでも活躍されていましたし、今後も注目していきたいと思います。
9組目 キュウ
――まさかのタイタン所属の2組が残りました。9番目はキュウさん。
川瀬 9番目のキュウということで運があるな、と思いつつ、ヨネダ2000が作った空気の中でやるのは、なかなか大変だったんじゃないかと思います。同郷なので、めちゃくちゃ応援していたのですが、点数はちょっと渋かったですね。
――「全然違うもの」という謎かけ形式のネタをやっていましたね。
川瀬 キュウらしい安定の言葉遊びネタでした。次はどんなツッコミをするんだろうというワクワク感を出しつつ、インパクトのある顔芸……!みんなが楽しみにしているキュウを見せてくれたと思います。
――点数的には少々伸びなかったのが、残念です。
川瀬 そうですね。ただ、大吉先生も仰っていましたが、決勝ラウンドの雰囲気的にはもっと違うネタを選んでも良かったんじゃないかな、と。その点は私も考えました。厳しい言葉に聞こえたかもしれないけど、ネタ数が多いキュウならもっと行けたんじゃない? というアドバイスかと思います。
――来年には、キュウの独特のテイストに視聴者の方も慣れていそうです。
川瀬 そうなんです。初見ではちょっと難しい。慣れたらクセになっていくタイプだと思うので、来年はもっと大きな笑いを生み出してほしいです!
10組目 ウエストランド
――そして、ついにやってきました、最終コンビ。ウエストランドさんです!
川瀬 大爆発でしたね!(笑) 今年のウエストランドはすごいぞ、とは噂で聞いていたので最後の10組目ということでより期待が高まりました。案の定、井口(浩之)さんの毒舌がよりパワフルになっていて、あらゆる方向を刺しに行ってましたね~!
――前回決勝に進んだ時も10組目でしたが、今回は一味違い、会場の空気をツカんでいましたね。
川瀬 当時、松本さんのアドバイスで「もっと刺しに来い」と言われたと井口さんが話していましたが、まさにその通り進化していたのが素晴らしいですよね。共感できる毒に笑ってしまうと、こちらも共犯になってしまうという(笑)。やられましたね……!
――後半に進むにつれて、どんどん毒が増していました。
川瀬 だんだんと井口さんの偏見が強まっていくのが面白かった。後半に向けて漫才が盛り上がるというのは、しゃべくりのタイプでは分かりやすい展開ですが、一刺しが強くなっているというか……。より深く深く刺しに行く構成で濃厚な仕上がりでしたね。
――前回のインタビューで、河本(太)さんの立ち位置も重要だとお話されていました。
川瀬 やっぱり、いてくれて良かった! となりました。エスカレートしていく井口さんを笑いながら見ている感じ。あのバランスがあるから見ていられるんですよね。ネタを飛ばしたと話していましたが、どこか分かりませんでした(笑)。
――そして、ファイナルラウンドに進出。
川瀬 志らく師匠の最高得点も出て「人を傷つけないお笑いの時代の中、優勝したらスターになる」と話されていて、これはすごい発言だぞ!とビビッときました。この時点で、流れが来ていたと思います。
タイプの違う3組が上位に! 運命のファイナルラウンドへ
――10組のファーストラウンドが終了して、ウエストランドさん、ロングコートダディさん、さや香さんの3組がファイナルラウンドに進むことになりました。3組が決まった時どうでしたか?
川瀬 3組とも全く違う漫才のタイプで、これはすごいことになったな、と思いました。納得の上位3組ですよね。
――ファイナルは、ウエストランドさん、ロングコートダディさん、さや香さんという順番でネタを披露することになりました。
川瀬 順番もいいですね。ウエストランドの後に、ロングコートダディを見たくなっちゃいますもんw 大会としても盛り上がる流れだったのではないでしょうか。
――トップ3にふさわしい3組ということで、はたして運命の結果は…? 3位のコンビから見ていきましょう。
★3位 ロングコートダディ
川瀬 惜しくも3位入賞となったのは、ロングコートダディさんでした! 2本目も2人の世界(観?)がしっかり反映された、みんなが楽しめるネタでしたね。また、兎さんのキャラクターで笑いが起きてましたし(笑)。
――「タイムスリップ」をテーマにした、どの世代の方にも分かりやすい内容でした。
川瀬 そうなんです。ただ、みんなで盛り上がってワァーッという一体感はあったのですが、強いボケの応酬という形ではなかったので、そこだったのかなと。
――1本目はダブルボケタイプの漫才でしたもんね。
川瀬 1本目のほうが笑いの数は多くて、畳みかけてきていた。対して、2本目はみんなに想像してもらって大きなボケを生み出すタイプ。決して悪いわけじゃなかったし、なんなら完璧だったと思います!
――来年も勝ち上がってきそうですので、期待ですね。
★2位 さや香
――そして、2位の準優勝となったのは、さや香さんでした。
川瀬 最初ちょっと緊張されていたんでしょうか。入りでちょっと詰まっていて、心配しましたが後半しっかり巻き返していましたね。ノリに乗っていたと思います。
――1本目と比べていかがでしたか。
川瀬 実は、私は2本目のネタのほうが好きでした。このレベルの漫才が2本もあるとは……さや香恐ろしすぎます(笑) 後半、立場が逆転している構成がよかったですね。しゃべくり漫才の中にも、多彩な表現と見せ方があるんだと、感心してしまいましたね。
――ちなみに、2021年大会の伝説の「からあげ4」のネタもありますから……。
川瀬 本当にどんな振り幅なんですか!?(笑)。正統派漫才もできて、ふざけたネタもできる。どこを切り取っても面白い。完全に別の次元のレベルのコンビになっていると思います。正直、優勝かとも思いました……。完璧に近い仕上がりだったので。
――しかし、惜しくも2位という結果に。大吉先生が1票を入れていました。
川瀬 大吉先生も相当悩んだ顔をされてましたね。ここまでくると、本当に3組とも僅差で、どうしても優劣をつけないといけないから……という状況だと思うんです。本当にハイレベルな戦いでした。
――さて、そんな2022年のM-1グランプリを制したのは……。
★優勝 ウエストランド
川瀬 栄えある優勝は、ウエストランドさんでした! 本当におめでとうございます。いや~感動しましたね。正直いうと、ウエストランドさんの流れが完全に来ていましたよね。追い風が吹いていたと思いますよ!
――10組目で披露して、そのまま続けてファイナルラウンドのトップバッターでしたもんね。
川瀬 もう、風が見えました(笑)。どんなネタで来るんだろうと思っていたら、1本目の「あるなしクイズ」の続き…! 一言目のフリが出た瞬間に、会場が笑っていました。みんな本当はもうちょっと悪口を聞きたかった。その需要にちゃんと答えて、ネタを用意していたのは尊敬します。
――2本目では、なんと「M-1グランプリ」自体に悪口を言っていました。
川瀬 ものすごい爆弾を投下していましたよね~! 1本目はわりと視聴者側を刺しに来ていたのが、2本目はお笑いの身内側を刺しに行っていて、しっかりコントラストをつけていました。
――たしかに。悪口の対象が違ったんですね。
川瀬 2本合わせて、全方位への攻撃が完成した印象でしたね(笑)。その〝ネタの構成〟が勝因のひとつだと思います。
――優勝するには、2本目も意識したネタ選びが大切ということですね。
川瀬 そう思います。過去大会のミルクボーイさんのように、2本目でお客さんの期待にしっかりと応えた形。まだ、悪口あるんだ……止まらないな……というこちら側の気持ちも含めて、面白い!
――なるほど。もっと悪口を聞きたくなってしまいましたもんね。
川瀬 また、ウエストランドさんは一度、決勝戦に進出した〝過去の経験値〟も大きかったと思います。決勝の経験があるからこそ、空気感もわかりますし、ネタもしっかり用意できた。運も含めて、本当に〝優勝の流れ〟が来ていたと思います。文句なしのチャンピオンでした! おめでとうございます。
――これからテレビで活躍してくれそうですね。
川瀬 井口さんの毒舌はもちろんのこと、今後河本さんのキャラクターも前に出てきてくれたら面白いんじゃないでしょうか。あの横に立てるのは絶対に変な人ですから(笑)。注目していきたいですね。
――楽しみです。さて、最後に改めて今大会を振り返って、いかがでしたでしょうか。
川瀬 今回、全体的に本当に素晴らしい大会だったと思います。予想しながら見ていたので、例年以上に私自身も真剣に向き合っていたということもありますが、それを踏まえなくても最高の大会でした。1組1組の完成度も高かったですし、何より展開が美しかったですね。脚本家がいるんじゃないかってくらい、ひとつのエンターテイメントとして楽しめました。
――ドラマチックだったと思います。
川瀬 志らく師匠が仰っていたように、逆風の中を突き進んでの優勝。本当に綺麗な流れ……ですが、ウエストランドがチャンピオンというのも、綺麗すぎなくていいというか、泥臭い意地も見えて、それも良かったです。感動しました。ウエストランドのお二人本当におめでとうございました!
――ありがとうございました。来年の大会も楽しみですね。