事務所に所属して僅か4か月で、9月2日から始まる「仮面ライダーガッチャード」の主演の座を勝ち取った本島純政さん。今年3月までは普通の高校生だった青年が、なぜ俳優を志したのか。まだ初々しさの残る本島さんに、これまでのキャリアや、「仮面ライダーガッチャード」の撮影エピソードなどを伺いました。
【本島純政さん撮り下ろし写真】
憧れの俳優は吉沢亮さんと鈴木亮平さん
──趣味が映画鑑賞とのことですが、昔から映画は好きだったんですか。
本島 物心ついたときからお父さんと一緒に映画を観ていて、小学生の頃には大好きになっていました。当時は洋画のアクション映画を観ることが多かったのですが、中でもお父さんの影響でダニエル・クレイグさんがジェームズ・ボンドを務めた『007』シリーズが好きでした。
──小学生でダニエル・クレイグ版の『007』を好むなんて渋いですね。
本島 小学生なので、ちゃんとストーリーは理解していなかったのですが、とにかくアクションが面白かったです。
──特技のギターは、いつ頃から始めたんですか?
本島 小学3年生です。YouTubeでギターの動画を見ているうちに、自分も弾いてみたいと思うようになって、親に相談してギターを買ってもらいました。
──ご家族など周囲の影響ではなかったんですね。
本島 そうですね。ただ、過去にお父さんはベース、お母さんはピアノをやっていて、親戚にもギターを弾いている人が多かったんです。音楽に縁が深い家系だから、ギターを弾く運命だったのかなと(笑)。小学・中学は1人でギターの練習をしていたんですけど、高校で軽音楽部に入って、ギターと歌を担当して、部長も務めました。
──どういうバンドが好きだったんですか?
本島 有名どころだとRADWIMPSさんやKing Gnuさんあたりですが、日本のロック以外にも洋楽、ヒップホップ、K-POPなど、幅広く聴いています。
──ヒップホップの楽曲をカバーすることもあったんですか?
本島 OZworldさんの「NINOKUNI」を文化祭でカバーしたことがあります。友達からギターバージョンの動画が送られてきて、すごくギターがかっこよかったんですよ。それをきっかけにヒップホップも好きになりました。
──K-POPはどのあたりを聴くのでしょうか。
本島 最近よく聴くのはaespaやTOMORROW X TOGETHERです。
──学生時代、集めていたものはありますか?
本島 一時期、ギターのピックを60枚ぐらい集めました。温かみのある曲を弾くときはこのピックとか、鋭さが欲しいときは硬めのガラスのピックを使ってみようとか、ピックによって音も弾きやすさも全然違うんですよね。
──音楽の道に進みたいという気持ちもあったんですか?
本島 音楽に限らず、いろんなことにチャレンジできたらいいなと思っていました。今は俳優をメインに活動していますが、音楽にフォーカスを当てたら、また違った自分の視点が生まれてくるのかなと思っていて。音楽で生まれた視点は、お芝居にも生かせるだろうし、今後も俳優一本に絞らずに、さまざまなことにチャレンジすることで自分の感性や世界観を広げていきたいですね。
──芸能活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
本島 高校2年生のときに、学校で進路希望を書くことがあって、初めて真剣に何がやりたいのかを考えたんです。それで自分は映画が好きだから、映像作品に携わりたいなと。一口に映画と言っても、いろいろな職種がありますけど、たくさんの映画を観てきて、やはり演技に感化されることが多かったので、自分がやりたいのは役者だなと。僕の演技を見て、「感動したよ」とか「ハッピーな気持ちになったよ」とか、連続ドラマだったら「来週も楽しみです」とか、そういう気持ちになってもらえたら素敵だなと思ったんです。それで高校2年生からさまざまなオーディションを受けて、今の事務所に入りました。
──ご家族は俳優になることに賛成だったんですか。
本島 応援してくれています。この世界に入るときは、「厳しい世界だから、半端な気持ちで行ったら必ず後悔する。ちゃんと責任感を持って、覚悟を決めて行きなさい」と言ってもらいました。親戚にバレリーナをやっている人もいるので、エンターテインメントに理解があるんですよね。
──憧れている、もしくは目標にしている俳優さんはいらっしゃいますか。
本島 吉沢亮さんと鈴木亮平さんです。吉沢亮さんは、最近観させていただいた『東京リベンジャーズ2』の演技が素晴らしくて。僕は「東京リベンジャース」が好きで、前作の映画ももちろん観ていましたし、原作のコミックも読んでいたんですけど、吉沢さんが演じるマイキーは想像をはるかに超えていて。お芝居に一気に引き込まれて、本当に目が離せませんでした。事務所の先輩でもあるし、「仮面ライダー」の先輩でもあるので、自分にとって目標の方です。
──鈴木亮平さんはどういうところに惹かれたのでしょうか。
本島 もともと優しくて朗らかな役を多く演じられるイメージがあったんですけど、『孤狼の血 LEVEL2』(21)で鈴木亮平さんが演じられた上林成浩を観て、怖くて震えるほどでした。本当に演じられる役の振り幅がすごいなと思って、僕も将来は幅広い役にチャレンジできる役者になりたいので、憧れの方です。
オーディションは「素の自分」で臨んだことが良かった?
──今年3月に事務所に所属したそうですが、「仮面ライダーガッチャード」のオーディションはいつ頃だったんですか?
本島 所属して2か月ぐらいでお話をいただきました。
──ものすごいスピード感ですね! その間にお芝居のレッスンは受けていたんですか?
本島 集団レッスンと個人レッスンの両方を受けていました。事務所に入るまで生でお芝居を見る機会がなかったので、集団レッスンで他の人の演技を直に見られるのは貴重な経験でした。同じ台本でも、自分とは違うアプローチをしていて、それを見ることによって、自分の幅も広がっていくんですよね。日に日にレッスンが楽しくなって、役者になりたいという思いが固まっていきました。
──「仮面ライダーガッチャード」のオーディションに臨むにあたって、事前準備はしましたか。
本島 「仮面ライダーオーズ/OOO」がお気に入りの仮面ライダーシリーズだったので、オーディションを受ける前に改めて全話見返して、先輩方のお芝居や、どんなストーリーだったかを復習しました。
──大人になって観ると、印象も違うんじゃないですか。
本島 違いますね。人間の「欲望」をメインテーマにした作品ですが、こんなに複雑なストーリーだったんだという驚きがありつつ、ちゃんと子どもが観ても分かるように作られていて。それでいて大人が観ても楽しめるようになっていて、改めて面白い作品だなと思いました。
──オーディションで印象に残っていることを教えてください。
本島 第一次審査のとき、事前に渡された台本に、一ノ瀬宝太郎が料理を作って食べるシーンがあって、それが「きゅうりハンバーグ辛子明太マヨ」という聞いたこともないものだったんです。それを食べた後に、宝太郎が「ちょっと配分を間違えたかな」と言うんですけど、どんな味か全く想像できなくて。ただ食材は全部揃えられそうだったので、大体のイメージで食材を買ってきて、オーディション当日の朝に作って食べたんですよ。それが本当に微妙な味で、リアルな演技ができたのかなと思います(笑)。
──どういうところがオーディションで評価されたと自己分析しますか。
本島 第一次審査から最終審査まで長かったのですが、自分を作り過ぎてしまうと、それに集中してしまって演技に影響が出ると思いました。だから素の自分でいることを意識したのですが、それが良かったのかなと思います。実際、あとでプロデューサーの方が、「オーディションのときの本島さんの素の部分が、一ノ瀬宝太郎に似ていたから選んだんだよ」と仰っていて、間違ってなかったんだとホッとしました。
──一ノ瀬宝太郎はどんなキャラクターでしょうか。
本島 明るくて真面目なんですけど、ちょっと抜けているところもあって、周りから愛されるキャラクターです。宝太郎はまだ夢が見つかってない状態で学生生活を送っていたんですが、ある日、大事件に巻き込まれて、仮面ライダーになることを託される。そこから仮面ライダーガッチャードになって、さまざまな壁にぶつかっていくんですけど、絶対に諦めることなく前に進んで、そういうところが宝太郎の魅力かなと思います。
スーツアクターの演技を見ることで一ノ瀬宝太郎を客観視できる
──初めて経験するアクションはいかがでしたか。
本島 本当に大変でした。これまで一度もやったことがなかったからこそ、がむしゃらにやるしかなくて。でも、がむしゃらにやること自体が楽しいんですよね。どんどん新しいことに挑戦できますし、ワイヤーアクションもあるんですけど、「明日の撮影は吊られるのか」と思うだけでワクワクします。
──「仮面ライダーガッチャード」のスーツアクターを演じる永徳さんとの共演も新鮮ではないでしょうか。
本島 スーツアクターが永徳さんで良かったなって思うことばかりです。現場で永徳さんのお芝居を見させていただくんですけど、一ノ瀬宝太郎を客観視して見ることのできる貴重な時間なんです。永徳さんに、「どうやって役作りをしているんですか」とお聞きしたら、「純政のしぐさを観察している」と仰っていて。永徳さんのお芝居を見ることで、自分はこんな印象なんだ、こんなクセがあるんだと鮮明になっていくんです。それを自分の中にもどんどん落とし込んでいって撮影に臨んでいます。
──例えば、どんなクセがあったんですか。
本島 分かりやすいところで言うと、宝太郎は頷くしぐさが大きいんです。松本麗世さん演じる九堂りんねに「ありがとう」と言われたときに、台本には頷くという指示はなかったんですが、永徳さんが大きく頷いていた姿を見て、それを演技に取り入れました。
──現場の雰囲気はいかがですか。
本島 明るくて、温かくて、居心地の良い現場ですし、全員で協力して、良い作品にしようという気持ちが端々から伝わってきます。僕がお芝居で困っていると、すぐに察してアドバイスをくれますし、日に日にみんなの仲が良くなっていくのが実感できて楽しいです。
──特撮シーンは戸惑いも大きかったのではないでしょうか。
本島 最初は苦戦しました。例えば「ここに仮面ライダーがいて、上から瓦礫が降ってくるんだよ」と言われても、どのぐらいのスピードで、どのぐらいの量が落ちてくるのか、落ちた後はどんな状態なのかとか、全て分からなかったので、そこを想像で補うのは苦労しました。でもアフレコをやっていくうちに、徐々に慣れて、想像力がついてきたのもあって、変に考え過ぎるんじゃなくて、自分が感じたままにやればいいんだなと。それが自分に合っているのかなと思いました。まだ模索している最中ですけが、ちょっとずつ感覚が掴めている気がします。
──お忙しい毎日だと思いますが、オフの日はどう過ごすことが多いですか。
本島 オフの日は近場でも旅行したいなと思っているんですけど、まだ今の環境に慣れていないせいか、実際は寝て終わることが多いです(笑)。
──旅行が好きなんですか?
本島 大好きです。「仮面ライダーガッチャード」の撮影が始まる前は、一人旅をすることも多くて、朝起きて突発的に電車で江の島に行くなんてこともありました。だから今は、一年後ぐらいに車を買うのが目標です。まだ免許は持ってないんですけど……車を買うための貯金も始めました。車で行動範囲を広げて、いろんな場所に行ってみたいんですよね。旅は知見を深めますから。
──車に詳しいんですか?
本島 小さい頃は詳しくてミニカーを集めていました。よくやっていた遊びが、泡風呂の中にミニカーを落として、見えない状態で触って「これはGT-Rだ!」みたいな感じで車種を当てるゲーム(笑)。正直、あの遊びをしていた頃の方が車に詳しかったですね。改めて勉強します!
──最後に「仮面ライダーガッチャード」の見どころをお聞かせください。
本島 新しいことにチャレンジする勇気をもらえる、誰かの背中を押すような作品です。先ほどもお話しましたが、宝太郎はどんどん新しい壁にぶち当たっていくけど、絶対に諦めないので、その諦めない姿勢を見ていただきたいです。宝太郎が通う錬金アカデミーの生徒たちのキャラクターが面白くて、一人ひとりの個性が際立っているのも見どころです。たとえば宝太郎と対極にいる、藤林泰也さん演じる黒鋼スパナはクールでキザなエリート、人工生命体(モンスター)のケミーを道具としか思っていません。でも宝太郎はケミーを仲間だと思っていて。そんな宝太郎と錬金アカデミーの生徒たちがどういう化学反応を起こすのかも楽しみにしてください。
仮面ライダーガッチャード
2023年9月3日(日)、テレビ朝日系にてスタート!
毎週日曜 午前9:00~9:30放送
(CAST&STAFF)
出演:本島純政 松本麗世 藤林泰也 安倍 乙 富園力也 熊木陸斗 沖田絃乃 宮原華音 坂巻有紗 加部亜門 南野陽子 石丸幹二
原作:石ノ森章太郎
脚本:長谷川圭一 内田裕基 ほか
監督:田﨑竜太 ほか
アクション監督:福沢博文(レッド・エンタテインメント・デリヴァー)
特撮監督:佛田 洋(特撮研究所)
音楽:高木 洋
ゼネラルプロデューサー:大川武宏(テレビ朝日)
プロデューサー:芝高啓介(テレビ朝日) 湊 陽祐(東映)
制作:テレビ朝日・東映・ADKエモーションズ
(STORY)
『仮面ライダーガッチャード』のモチーフは、《錬金術》と《カード》。《錬金術》とは、異なる組み合わせによって“金”を生みだそうとする技術のこと。その神秘的な研究の1つには、肉体や魂をも対象として“完全な存在”に錬成する試みも含まれていた。そんな錬金術の粋を集めて造られたのが、完全なる人工生命体、《人工生命体(モンスター)ケミー》。その数、101体。それらは《ライドケミーカード》というカードに保管されていた。ところが、慎重に保管されていたはずの彼らがカードを飛び出して、一斉に開放されてしまう。偶然、それを目撃した“夢を探し求める高校生”一ノ瀬宝太郎(本島)は、仮面ライダーガッチャードの変身ベルト《ガッチャードライバー》を託され、世に放たれたケミーを回収する使命を与えられる。
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/gotchard/
公式Twitter:https://twitter.com/Gotcha_toei
公式Instagram:https://www.instagram.com/kamenrider_tvasahi/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@superherotime_tvasahi
撮影/友野 雄 取材・文/猪口貴裕 ヘアメイク/木内真奈美 スタイリング/石橋修一