ファッション
2021/4/2 19:15

40周年を迎えたアウトドアブランド「メレル」。その原点から現在までを直撃!

40年目の「メレル」の挑戦

ーーメレルには、他にもたくさんのロングセラーモデルがありますよね。

 

田中 2007年に登場したハイキングシューズの「モアブ」は、発売からグローバル全体の累計販売数で2500万足を越えるメガヒットを記録しています。人の足型は左右で違う形状のため、2500万足、つまり5000万パターンの足型にフィットしてきたという史実があり、まさに「メレルの遺伝子」とも言えるハイキングシューズです。

 

その大きな反響の理由となったのが、「モアブ」が持つ抜群のフィット感と履き心地であり、すべてはその「ラスト(木型)」によって実現しています。創業者の一人であるクラーク・マティスは、そのラストを「メレルマジック」と呼び、“万人に合うラスト”と表現しています。現代では新たな機能や先進的なテクノロジーがシューズにも数多く採用されていますが、ラストの構造こそがシューズの心臓部であり、その唯一無二の構造こそがメレルの特徴なのです。

 

ーーラストにメレルの魅力が詰まっているということですね。「モアブ」も数々なモデルが登場していますよね?

 

田中 「スニーカーライクな履き心地を提供できるアウトドアブーツ」をコンセプトにしているのが「モアブ」です。リリース直後から好評で、キング・オブ・ハイキングシューズと呼ばれているほどの人気。デビューから10年後の2017年に、より革新的にアップデートした「モアブ 2」がリリースされました。そして今年、革新的な技術と洗練されたデザインを落とし込みアップデートした「モアブ スピード ゴアテックス」をローンチしました。

↑「モアブ 2 ミッド ゴアテックス」。ハイキングなどマルチに活躍するアウトドアスポーツシューズの定番モデル

 

ーー「モアブ スピード ゴアテックス」! そのシューズ気になりますね。どのように進化しているのですか?

 

田中 近年のアウトドアシューズカテゴリーでは、何よりも「汎用性」が求められています。そんななか特に人気が出ているのが、日常でもスニーカーとして使えて、アウトドアアクティビティでも安心して履けるトレイルランニングシューズです。メレルでもトレイルランニングシューズは多数展開していますが、市場に対し新たな一手として斬新なコンセプトを打ち出すには、ブランドが培ってきた技術と知見を活かしつつ、先進的なテクノロジーを活用することが重要視され、「モアブ」のラストを使った新商品開発に白羽の矢が立ちました。そこで生まれたのが「モアブ スピード ゴアテックス」だったんです。

 

このシューズは「ダイバーストレイルシューズ」という新たなカテゴリーのポジショニングを銘打ち、ハイキングシューズの安定性とトレイルランニングシューズの軽量性、さらに洗練されたデザイン性を兼ね備えることで、“山と街をつなぐ”を新基準で実現するハイブリッドシューズとして登場しました。

↑今年の3月中旬に発売した「モアブ スピード ゴアテックス」

 

ーー街で履けるデザイン性に加えて、ハイキングシューズとトレイルランニングシューズの機能のいいとこ取りをしている、と。

 

田中 そうなんです。ゴアテックスを採用しているので防水透湿性に優れていますし、ヴィブラム社が新開発したトラクションを最大25%も向上させる「トラクションラグ」を日本国内で初めて搭載したモデルでもあります。余談ですけど、ヴィブラム社とメレルはソールを共同開発するほど強いパートナーシップで結ばれており、メレルが使っているヴィブラムソールは、メレル専用に開発されているものが多いんです。また、サステナブルな取り組みとして、廃材を再利用するプロセスも採用しています。

↑製造プロセスで一切の廃材を出さないメレル独自開発のパフォーマンスミッドソールを採用。 軽量性とクッション性にあわせ、 耐久性も両立。「超軽量かつ快適でエコ」を実現しています

 

↑製造工程で排出される廃材を30%配合させたメレル専用のヴィブラムアウトソール「エコデュラ」を採用

 

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