折りたたみスマホの完成形、サムスン「Galaxy Z Fold7」レビュー。大画面でAIもカメラも優秀

ink_pen 2025/8/14
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折りたたみスマホの完成形、サムスン「Galaxy Z Fold7」レビュー。大画面でAIもカメラも優秀
山本 敦
やまもとあつし
山本 敦

オーディオ・ビジュアル誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ハイレゾに音楽配信、スマホなどポータブルオーディオの最先端を徹底探求。海外の展示会取材やメーカー開発者へのインタビューなども数多くこなす。

サムスンが新しいAndroidスマホ「Galaxy Z Fold7」を発売しました。Galaxyシリーズの2025年フラグシップモデルである「Galaxy 25 Ultra」に匹敵する高性能なフォルダブルスマホというコンセプトです。高性能で、なおかつフォルダブルならではのユニークな使い方ができるAIスマホでもある本機の実力をレポートします。

↑8インチの大きなメインディスプレイを搭載する、サムスンの高機能フォルダブルスマホ「Galaxy Z Fold7」をレポートします。

開くと大きな8インチ。進化は満載だがSペンが非対応に

Z Foldシリーズはメインディスプレイを内側に折りたたむ、いわゆるフォルダブルタイプの折りたたみスマホです。最新モデルのZ Fold7は、2024年モデルのZ Fold6よりも11%大きくなった対角サイズ8インチのメインディスプレイを搭載しています。

↑本体を開いた内側にメインディスプレイを搭載。

サムスンは同時期に縦折りスタイルのフォルダブルスマホ「Galaxy Z Flip7」も発売しています。Galaxyシリーズの2種類のフォルダブルスマホは、どちらがオススメなのでしょうか?筆者はZ Foldシリーズの「開くとデカくなる」仕様にロマンを感じます。

かたやZ Flipシリーズは、筆者の周りで使っている方々の声を聞くと「畳むと小さくなる」仕様が好まれているようです。実用的で良いと思う反面、筆者が求めるロマンとは方向性が少し違う気がしています。

↑6.5インチのカバーディスプレイ。ウェブやメールの閲覧、動画再生ものびのびと楽しめるサイズ感です。
↑反対側にはトリプルレンズカメラを搭載。ユニットの張り出しがやや高めです。

実際、Z Fold7のメインディスプレイは筆者の期待にフィットします。とにかく画面が大きくて見やすい。最近は近くのものにピントが合いづらくなってきましたが、Z Fold7でKindleの電子書籍を開くとストレスなく読めます。

また、ふだん「コミックシーモア」で買った漫画をよく読んでいますが、アプリだとZ Fold7のメインディスプレイに美しく見開きのページが表示されるのも嬉しいところ。これがブラウザーの横読みモードだと、ジグザグにページめくりをしなければならないため面倒です。フォルダブルスマホはコンテンツサービスの表示を最適化できているかどうかが、デバイスの成熟度を計るうえで大事な指標のひとつになります。Z Foldシリーズはこの点で優秀です。

動画ビュワーとしても、NetflixやAmazon Prime Videoが快適に表示されるうえ、YouTubeはこの後で触れるフレックスモードによる視聴も選べます。本体が防水仕様なので、お風呂で楽しむ動画鑑賞にも最適です。

一方、本体のスリム設計を優先したことから、サムスンおなじみの専用スタイラスペンである「Sペン」には非対応となっています。筆者としては、とても残念に感じるポイントのひとつです。ふたつのデバイスの組み合わせはデジタルノートとして、とても優秀だったからです。せっかくGalaxy AIのスケッチアシストがいま売り出し中なのに…と、やるせない気持ちになります。なおGalaxy標準のスケッチアシストやNotesアプリでは指で文字やイラストなどが書けます。

↑Sペンに非対応となってしまったことはすごく残念。指先などによる手書きには引き続き対応しています。

26万円超えの高額スマホだが、鮮度が落ちない長期保証付き

カラバリはブルーシャドウ/ジェットブラック/シルバーシャドウのほか、Samsung.com限定のミントの計4色があります。国内の大手通信キャリア3社は8月から取り扱いを開始しました。Samsung.comではSIMフリーモデルも買えます。参考までに、Samsung.comの販売価格はストレージ256GB・メモリー12GBのモデルが26万5750円(税込)からです。

最新モデルのZ Fold7は以下のような方々にオススメしたいスマホです。

例えばスマホのほかに、コンテンツビュワーとして小さめサイズのタブレットを併用している方はZ Fold7に「おまとめ」ができると思います。そして「高性能なカメラを搭載するスマホ」にも、本機のカメラは期待に沿う完成度だと思います。

そしてZ Fold7は「薄く・軽く・パワフルなAIスマホ」です。26万円を超える高価なスマホですが、いま最新のSoC(スマホの頭脳)であるクアルコムの「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」を搭載しているうえに、7世代ぶんのOSアップグレードと7年間のセキュリティアップデートが保証されているので、大事に使えば長く楽しみ尽くして元が取れるでしょう。

↑音声操作に対応する独自のAIアシスタント「Bixby」も搭載しています。

大画面のフォルダブルスマホであることから、ビジネスシーンでも活躍しそうです。以下、Z Fold7の特徴をかんたんに解説してから、筆者がオススメするビジネスシーンでの活用法に触れたいと思います。

薄型・軽量化を実現した美しいフォルム

GalaxyのZ Foldシリーズは、内側折りたたみ機構を採用するフォルダブルスマホの最前線に立ちながら薄型化を牽引してきました。2019年にシリーズ初のモデルが誕生してから6年の間に29%薄くなっています。Z Fold7は閉じた状態の本体の薄さが約8.9 mm。Galaxy S25 Ultraの約8.2mmとほぼ変わりません。

↑本体を閉じたZ Fold7。薄さは約8.9mm。

本体を開いた状態では約4.2mmです。Fold6は約5.6mmでした。参考までに、M4搭載iPad Pro 11インチモデルの約5.3mmよりもだいぶ薄いです。Z Fold7はFold6に比べると24g軽くなりました。質量は215g。閉じた状態での片手持ち操作も軽快にできます。こちらも参考までに、6.9インチのiPhone 16 Pro Maxの質量は約227gです。

↑本体を開いた状態では薄さが約4.2mm。左側はM4搭載iPad Proの11インチモデル(約5.3mm)です。

これだけ薄いと頑丈さが気になるところですが、Z Fold7はArmor FlexHingeという新しい折りたたみ部(ヒンジ)の構造を採用したことにより、薄型軽量化を実現しながら高耐久性も確保しています。本体を閉じたときに、内側がほぼすき間なく重なり合います。メインディスプレイ側に“折り目”ができないように緩やかに曲げる構造として、さらに強度を高めるためにチタンプレート層を加えました。

↑ディスプレイの折り曲げ部分の歪みがかなり目立たなくなりました。

外側のディスプレイは約6.5インチの有機EL。アスペクト比が21対9の細長い長方形です。初代のGalaxy Z Foldは外側のディスプレイが4.6インチと小さく、補助的な役割を担っていたことから「カバーディスプレイ」と今も呼ばれていますが、Z Fold7のそれはもはや普通のスレート型のスマホと変わらないサイズ感です。

同じ約6.5インチのソニー「Xperia 1 VII」に比べると、折りたたんだ状態のZ Fold7は横幅が2mmほどスリムです。片手持ち操作が快適。NetflixやYouTubeの動画は左右に太めの黒帯が入りますが、カバーディスプレイ側でも快適に視聴できます。

↑横幅サイズは約7.2mm。片手持ちも快適に感じられるサイズ感です。

ビジネスシーンで活きるフォルダブル機能

高機能なZ Fold7のようなフォルダブルスマホが、ビジネスシーンでも活かせそうな使い方が3つありました。ひとつは「フレックスモードパネル」です。

フレックスモードパネルはZ Fold7のフォルダブルなディスプレイを、開いた途中の角度で止めて使えるいわば“半開きモード”です。設定の「便利な機能」の中にある、フレックスモードパネルの項目をオンにすれば使用できます。パネルを半開きにした時に、自動的にフレックスモードパネルで表示するアプリを設定から選べますが、わりとたくさんあるので「対応している全てのアプリ」にチェックを入れればよいでしょう。

↑YouTubeをフレックスモードパネルで視聴。下側の画面にタッチパッドが表示されます。

例えばYouTubeやKindleの電子書籍リーダーアプリなどは、フレックスモードに切り替えると、上側のパネルにコンテンツ、下側のパネルにタッチパッドが表示されます。ビジネスシーンでよく使うZoomやGoogle Meetのようなビデオ通話アプリもフレックスモードに対応しています。ヒンジの角度調整でフロントカメラの向きが自在に変えられるので、ビデオ会議にはZ Fold7で参加して、別途パソコンで会話のメモを取る使い方が便利でした。

Z Fold7はメインディスプレイ側に2画面・3画面表示で別々のアプリを立ち上げることができます。左右のスプリット表示にして、左側にAcrobatリーダーでPDFの原文を表示して、右側でChatGPTに生成してもらった要約を見ながら資料を読み込む使い方も可能です。このあたりは、フォルダブルスマホならではの良さをおおいに実感できる部分でしょう。

↑8インチの大きなメインディスプレイを活かして、左右に異なる2つのアプリを同時に表示できます。

そしてBluetoothキーボードがあれば、Z Fold7にペアリングして簡単なテキストの作成やメールの返信などがスムーズにできます。モバイルPCの代わりとしても活躍してくれます。

満足のカメラ機能。Galaxy AIもできることが増えた

また、筆者はZ Fold7のカメラが非常によくできていると感じました。フラグシップモデルであるS25 Ultraのパフォーマンスにも迫っていると思います。

メインの広角カメラにはZ Foldシリーズとして初めて200MP(2億画素)のセンサーが搭載されました。加えてZ Fold7には、カバーディスプレイでプレビューを確認しながら高機能なメインカメラでセルフィが撮れたり、10MP(1000万画素)のフロントカメラを使ってフレックスモードパネルによるビデオ通話ができたりするなど、フォルダブルスマホの特徴が活きる撮り方があります。

Z Fold7のメインカメラはトリプルレンズ構成。広角カメラは200MP、望遠は10MP、超広角は12MPのイメージセンサーを搭載しています。S25 Ultraは超広角カメラのセンサーが50MPですが、Z Fold7の超広角カメラも十分に高画質です。超広角マクロ撮影の写真をiPhone 16 Proの写真と比べてみると、Z Fold7はディティールの再現力に富んでいることがよくわかります。

↑Z Fold7の超広角マクロ撮影で桃を接写。ざらっとした皮の質感がリアルに再現されます。
↑参考までに、iPhone 16 Proで撮影した同じ桃の表皮。写真の色合いはiPhoneの方が温かみ重視のバランスです。

暗い場所で写真を撮っても、明るさや色の再現がバランスよく安定しています。デジタルズーム撮影で満月をとてもきれいに撮れたことに満足しました。

↑Z Fold7のデジタルズームで満月を撮影。月面の模様がよくわかります。
↑iPhone 16 Proによるデジタルズーム撮影。月の写真が「かんたんに撮れるGalaxy」との差が現れました。
↑Z Fold7のメインカメラで撮影した夜のひまわり。

Z Fold7で撮影する写真・ビデオにGalaxy AIを掛け合わせて高度な編集ができる機能も、さらに追加されています。「生成AI編集」で、被写体の背景にいる人物などの写りこみを自動消去できる機能は前からありますが、Z Fold7のメインディスプレイに消去した結果のビフォー・アフターを並べて比較できる機能が加わりました。人物を消す時には身体だけでなく「影」も消せます。

↑生成AI編集で写真の人物を消去。左右に編集前後の写真を並べて仕上がり具合が比べられるようになりました。

撮影したビデオの気になるノイズだけを消去して、人物の会話音声やナレーションを聞こえやすくする「オーディオ消しゴム」も、生成AIを活用する実用的なAI機能です。Fold 7から「ギャラリー」アプリに保存したビデオだけでなく、ボイスレコーダーや通話録音のノイズも消せるようになりました。会議やインタビューの音声メモを確認する時に役立ちます。

↑ビデオの聴きたい音声を強調して、ノイズが消せる「オーディオ消しゴム」。
↑ボイスレコーダーのアプリでオーディオ消しゴムが使えます。

バランス良く進化したフォルダブルのトップランナー

ここまで見てきたように、用途を選ばず活用できるのがGalaxy Z Fold7の強みです。ちなみに、容量4400mAhのバッテリーの持ち具合が気になっている方もいらっしゃると思います。今回は新品の実機で試しているので、あくまで参考までの検証報告になりますが、フル充電の状態から1日中不安を感じさせることなく持ちこたえてくれました。

Galaxy Z Fold7はやみくもにスリム化・軽量化を研ぎ澄ませるだけでなく、全体にバランスよく進化しています。Sペンが使えなくなったことは残念ですが、シリーズ6年目の洗練された最新モデルは秋以降もフォルダブルAIスマホのトップランナーに君臨すると思います。

【ギャラリー】(クリックで拡大します)

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