サムスン電子ジャパンが大画面Androidタブレット「Galaxy Tab S11 Ultra」と「Galaxy Tab S11」を発表しました。短時間ではあるものの、同社から製品を借りて使うことができたので、ファーストインプレッションをお届けします。
目次
軽さと薄さにインパクトのあるハイエンドタブレット
今回登場したのは、サムスンのタブレットのなかでもハイエンドに位置付けられるモデル。より大画面で高性能なのがGalaxy Tab S11 Ultra、軽さが際立つのがGalaxy Tab S11です。両モデルでスペック面だけ見ても多くの違いがあります。
Galaxy Tab S11 Ultra | Galaxy Tab S11 | |
プロセッサー | MediaTek Dimensity 9400+ | |
メモリー/ストレージ | 16GB+1TB 12GB+512GB 12GB+256GB | 12GB+512GB 12GB+256GB 12GB+128GB |
ディスプレイ | 14.6型有機ELディスプレイ 2960×1848ドット、120Hz、ピーク輝度1600nit | 11型有機ELディスプレイ 2560×1600ドット、120Hz、ピーク輝度1600nit |
バッテリー | 11600mAh | 8400mAh |
カメラ | 背面 13MP+8MP 前面 12MP | 背面 13MP 前面 12MP |
対応Wi-Fi | Wi-Fi 7 | Wi-Fi 6E |
耐久性 | IP68準拠 | |
本体サイズ | 208.5×326.3×5.1mm | 165.3×253.8×5.5mm |
重さ | 692g | 482g |
一方でMediaTekのフラッグシップ向けプロセッサーであるDimensity 9400+を共通で採用するなど、ハイエンドらしいパフォーマンスはどちらも期待できるでしょう。なお、価格はメモリーとストレージの容量によって違います。
Galaxy Tab S11 Ultra
6GB+1TB 26万1470円(税込)
12GB+512GB 21万2960円(税込)
12GB+256GB 19万3600円(税込)
Galaxy Tab S11
12GB+512GB 15万8180円(税込)
12GB+256GB 13万8820円(税込)
12GB+128GB 12万9030円(税込)
試用したのは、Galaxy Tab S11の12GB+128GBモデルです。まずはじめに感じられる大きな特徴としては、軽さと薄さ。11型で482gと、大画面の見た目から想像して持ってみると拍子抜けするような軽さです。タブレット本体を片手に、付属のSペンでメモを取るのも快適でした。


また本体の厚さは5.5mm。よその製品を見渡しても、ここまでの薄さを実現している製品はそう多くはありません。タブレットカバーを着けても厚みが気になることはないでしょうし、バッグのノートPC用収納部にGalaxy Tab S11を一緒にしまうのも余裕でしょう。

ノートPC代わりなら外付けキーボードは必須。情報収集やメモはむしろ捗る
携帯性はバッチリで、画面サイズは11型と小さめのモバイルノートPCと同じ程度。であれば、外出時にノートPCの代わりとなるのかが気になるところです。
ノートPC代わりに使ううえで、まず大事なこととしてキーボードは付属しません。ディスプレイを保護するカバーにもなる、専用の「Book Cover Keyboard Slim」が別売りのアクセサリーとして用意されています。外出先で腰を据えて作業するならおそらく必須でしょう。
なお、記事制作時の現時点でBook Cover Keyboard Slimの価格や仕様などの詳細は不明。また今回試すことはできなかったため、別の機会に譲ります。
では、キーボードがないとまったく代わりにならないかというと、もちろんそんなことはなく、情報収集やそれをもとにメモを取るといった作業はむしろ捗ります。
特に、複数のアプリを開いてウィンドウを並べて、PCのような使い方ができる「Samsung DeX」が便利で、新たにデスクトップをいくつも作って開いたアプリをまとめておけるようになりました。
たとえば“デスクトップ1”では「Samsung Notes」アプリとChromeを開き、“デスクトップ2”ではメールアプリと別のブラウザーアプリをまとめておく、といったことができます。

ひとつの画面にいくつもアプリを開いていくと、ひとつひとつのアプリの表示領域は当然小さく、見づらくなってしまいます。ですが、Samsung DeXのデスクトップを切り替えることで、大画面を維持したまま、複数のアプリを開いて作業できるわけです。
これにより、あのPDFはメールで来ていて、補足情報はWebを参照してといったことも、それぞれの情報が見やすくなります。
このときに欠かせないのがSペンです。Chromeやメールに添付されたPDFを見ながら、Sペンでササッとメモを残していく手軽さはタブレットならでは。走り書きの汚い手書きも高い精度で読み取ってテキスト化してくれますし、その処理も高速でした。

PDFやWebの一部分をコピペしてメモに貼るのもスムーズ。PCのキーボードでタイピングしたり、カーソルを動かしてコピペしたりするよりも素早くできたのが好印象でした。
幅広い使い方ができて、デバイスとの連携力も高いGalaxy AI
情報収集およびメモにまとめる点では、「Galaxy AI」も見逃せません。Webサイトに載っている情報や、数十ページにもおよぶPDFの内容を要約し、Samsung Notesに貼り付けられます。
時間がないときにサマリーとして要約を見て、元のWebページやPDFをあとでじっくり見るといった使い方ができますし、要約だけ見てこの情報は必要ないかもと取捨選択も可能です。

もちろん生成AIで要約するだけならノートPCでもできます。ただ、いま閲覧している画面からアイコンタップひとつで要約できたり、本体側面のボタンを押せばGoogleのGeminiを起動できたりするあたりは、生成AIとデバイスの連携力の高さを感じさせるところです。

なお、今回は時間の都合上試せていませんが、Galaxy AIでできることの幅はかなり広いです。会話のリアルタイム通訳、録音ファイルを文字起こしから要約までする「文字起こしアシスト」、Samsung Notesに残したメモに見出しや箇条書き、段落などをつけて自動でフォーマット化したり、わかりやすく要約したりしてくれる「ノートアシスト」などなど。
また、画像を編集する「フォトアシスト」や手書きのスケッチを画像やアートライクな作品に仕上げる「スケッチアシスト」なども利用できます。これらは大画面を利用して画像編集や制作をしたいときに活躍してくれるでしょう。

情報収集や整理するデバイスとしてはノートPCよりも最適
Galaxy Tab S11は、外出先でも資料作成をサクサクこなしたいなどの用途でなければ、ノートPCを自宅に置いておくことができそうです。むしろ、情報収集や整理するデバイスとしては最適かもと思わせてくれます。
キーボードを接続すればさらに使い方の幅は広がります。とはいえモバイルノートPCのなかでも1kg未満と軽いうえに性能も高い製品は多く存在しているため、外出先でしっかり作業するならそちらを選ぶべきでしょう。
いまだとAndroidとWindowsで「スマートフォン連携アプリ」を使えば、Samsung Notesに残したメモに対してPCからアクセスもできますし、PCのセカンドディスプレイにもなります。ノートPCの置き換えというよりは補完するデバイスになってくれそうです。
もちろん、タブレットらしくGalaxy Tab S11で映画やドラマなど、エンタメ用途でも十分楽しめます。
Androidタブレットとしては高額なため、手を出すのにためらう人もいるかもしれません。ですが、Galaxy AIとデバイスの連携性のよさやデバイスそのものの完成度で見ると決して高額とは言えませんし、あらゆる用途で使えるので、タブレットを探していたという人はぜひ店頭などで手に取ってみてほしいです。
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