厚さ7.42mmで8000mAh? スマホバッテリーの常識を覆す新技術の正体

ink_pen 2026/2/23
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厚さ7.42mmで8000mAh? スマホバッテリーの常識を覆す新技術の正体
多根 清史
たねきよし
多根 清史

IT / ゲーム / アニメライター。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)がある。

AppleやSamsungなど大手スマートフォンメーカーは、本体の厚みを抑えるためか、バッテリー容量を最大でも5000mAh前後に留めています。そんななか、中国企業のTecno Mobileが、厚さわずか7.42mmというスリムなボディに、8000mAhもの大容量バッテリーを搭載した「Tecno Pova Curve 2」を海外で発売しました。

↑Curve 2はスマホバッテリーの常識を覆すか?(画像提供/TECNO POVA)

現在、ほとんどのスマホは依然としてグラファイト負極を用いたリチウムイオン電池を採用しています。この方式は動作が安定しており、比較的安価で、充電時の膨張も小さいため、日常的に繰り返し使用しても安全です。しかし、蓄えられるエネルギー量には物理的な上限があり、本体を厚くせずに容量を増やすことは困難でした。

この課題を、Pova Curve 2は「シリコンカーボン(Si-C)」技術によって突破。負極にグラファイトよりもエネルギー密度が高いシリコンカーボンを使用することで、限られた薄いスペースに、より多くの容量を詰め込むことに成功しました。

理論上、シリコンは1gあたりグラファイトの約10倍のリチウムを蓄えることができます。これにより、同じ物理的空間により多くの電力を収める「高エネルギー密度化」が可能になります。

一方で課題もあります。シリコンはリチウムを吸収すると大きく膨張し、条件によっては最大で300%にも達することがあります。そこで、シリコンを炭素と混合させて「シリコンカーボン負極」という構造を作り出しました。

炭素がシリコン粒子を固定し、膨張によって生じる応力の一部を吸収。その結果、従来のグラファイト電池よりも高い容量を持ちながら、日常的に安心して使えるバッテリーが実現したのです。

もっとも、シリコンカーボン電池は膨張の問題を完全に解決したわけではなく、グラファイト電池よりも劣化が早まる可能性も指摘されています。

iPhoneやGalaxyなどのフラッグシップ機がこのような技術の採用を見送っているのは、製品寿命や安全性を慎重に考慮しているためと考えられますが、将来的にこれらの課題が克服されることが期待されます。


Source: Gizmochina

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