「日本人における野菜の摂取量ランキング」というものがある(2015年・国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所解析)。我が家で一番よく食べる野菜は、様々な料理で使うタマネギだけれど、それは2位で、1位は意外なあの白い野菜だった。
激安野菜の大根
実は日本人が良く食べる野菜の第1位は大根なのである。私たちはそんなにも大根を大量に食べているのだろうか。でも振り返ると味噌汁やおでんの具、そして刺身のツマや大根おろしなど、こまめに消費しているのかもしれない。我が家は冬場は炊き込み御飯の具に使うことがあるし、週1のペースで肉ジャガならぬ肉大根を作る。なぜなら安いしカロリーも低いからだ。
基本的に大根は安い。豊作の年は、太くて大きな1本が200円を切るなんてこともある。1本あれば大きな鍋にお肉と大根としらたきをたっぷり入れて美味しい煮物を作ることができる。ツナと大根だけをコトコト煮込んだツナ大根も美味しい。安いのにボリューミーなお助け野菜なのだ。でも、私は夏はほとんど使わない。だから私の中では季節野菜のように思っていたので、この1位には驚いた。
日本人が好きな野菜の色
『美しくやせる食べ方 ディフェンシブ~体を守る~栄養学』(藤本幸弘・著/学研プラス・刊)では、この野菜ランキングを見て、日本人は白い野菜が好きだと指摘している。確かに1位の大根、2位のタマネギ、そして3位のキャベツとベスト3すべてが白色野菜と言われるものだ。他、白菜、きゅうり、レタス、もやし、ネギ、ゴボウ、かぶ、レンコン、とベスト20のうちなんと11種が白色野菜だ。
本によると、日本人は白と緑の野菜を食べることが多く、黄、赤、紫の野菜が少ないので、色が偏らないよう注意が必要だという。確かに、ベリー類やナスが分類されている紫は、毎日摂るのはかなり難しい。野菜の色素はフィトケミカル(植物性化学物質)で、抗酸化作用があるとされている。効果はさまざまなので色が偏らないほうがいいという。
火が通りにくい大根
実は大根は縄文・弥生時代のころから日本にあり、飢饉の際は米代わりに食べたともされているし、長い間、多くの日本人に活用され続けてきた野菜のようだ。そういえば切り干し大根や漬物など、保存食としても使われている。大根自体は味は淡白だけれど、煮汁を吸った時は一気にメインディッシュになるほどの美味しさを発揮する。
以前、マクロビオティックの料理教室に通っていたころ、先生が「大根は火が通りにくいので煮えるまで時間が掛かる」と言っていた。マクロビオティックでは体を冷やす食べ物を陰性、体を温める食べ物を陽性と考えている。例えば南の島のフルーツは体を冷やすので陰性だ。大根は陽性で、陽性食品は煮えにくいのだと言っていた。けれどじっくり煮た後の汁が染み込んだ味は格別なものがあるから、皆、せっせと煮込むのだろう。
日本人は白が好き
日本人は白が好きな民族だ。結婚式の白無垢も、死装束も、白である。白にはけがれを清める意味があるとも言われているし、白野菜を好んで食べるのも、体内の汚れや疲れを取りたいという意識の表れなのではないだろうか。もちろんおいしいし安いのだけれど、ひとつの儀式的な感覚で白野菜を選んでいるのだとしたら興味深い現象なのかもしれない。
とはいえ、大根自体は白色野菜だけれど、本には大根の葉の部分は緑黄色野菜で栄養素も豊富だと推奨している。実は長ネギの青い部分も緑黄色野菜なのだそうだ。大根葉はホウレンソウなどに比べるとかなり歯ごたえがあるけれど、茹でるとかなり食べやすく、ごま油と醤油でナムル風に仕上げて食べるのもいい。ついつい白ばかり食べてしまいがちだけれど、葉の部分も今後はしっかり取り入れ、バランスのいい食生活を目指してみたい。
【書籍紹介】
美しくやせる食べ方 ディフェンシブ~体を守る~栄養学
著者:藤本幸弘
発行:学研プラス
アンチエイジング医療の第一人者である著者が提案する、「キレイにやせて、見た目を10歳若返らせる」食事術。主軸である「代謝、酸化、糖化」のメカニズムを中心に、女性の代表的な悩みに対応する食事法や、生活術を具体的に紹介する。
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