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睡眠
2022/4/6 15:30

睡眠中はわずかな光も健康に悪い! 米国の研究で判明

夜眠るときに部屋を真っ暗にすることには抵抗があり、少し光をともしておく人も少なくないはず。しかし、わずか100ルクスの人工光(電球や蛍光灯などの人工的な光源)でも健康な成人にとって睡眠中に良くない影響を及ぼす可能性があるという研究成果が発表されました。

↑明かりは消したほうがいいみたいですよ

 

この論文は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されたもの。シニアオーサー(研究発表全体を統括する責任者)のPhyllis Zee博士によると、100ルクスの光は「部屋の中を見渡すには十分ではあるが、快適に読書をするには不十分」だそうです。一般的に100ルクスは玄関の照明、あるいは雰囲気のある喫茶店(手元が見える程度)とも言われます。

 

研究対象となったのは20人。最初の夜は全員がほとんど真っ暗な部屋で眠らされ、2日目の夜は半数がより明るい部屋で眠りました。

 

その間に、被験者に対しては脳波の記録や心拍数の測定、数時間ごとの採血など、さまざまな検査が行われました。さらに朝に目が覚めたあと、全員に大量の砂糖が投与され、論文のタイトルにあるとおり、身体——特に心血管代謝機能——がどのような反応を示すかも調べられています。

 

実験の結果は、「光を浴びながら眠るのは身体に悪い」との仮説を裏付けるものでした。例えば、光のある部屋で寝ていた人は、一晩中ずっと心拍数が上がっていたことが判明。さらに、翌朝にはインスリンに対する抵抗性も高まっていました。つまり、起床後、身体が正常な血糖値に戻りにくくなっていたのです。

 

また光のある部屋で寝ていると、メラトニンレベルが下がることもわかりました。メラトニンは、体内の概日リズム(体内時計の周期)を整えるホルモン。これが適切に分泌されると、入眠が助けられ、夜通し眠り続けることができるのですが、メラトニンレベルの乱れは、糖尿病やがんを含むいくつかの病気と関連する可能性があることも知られています。

 

より厳密に言えば、100ルクス程度の光では、メラトニンの生成を抑制するには至らなかったようですが、闘争・逃走反応を司る身体の一部を活性化させるには十分だったとのこと。すなわち、睡眠中に落ち着くはずの交感神経系が、わずかな光でも警戒心の強い状態に移行させるのに十分であったようだ、と分析されています。

 

真っ暗であることは、命を狙いそうな存在も動きにくい可能性が高いということでしょう。最新の文明に囲まれた現代人の身体も、古代の記憶を忘れていないのかもしれません。

 

【出典】Mason, I. C. et al. (2022). Light exposure during sleep impairs cardiometabolic function. Proceedings of the National Academy of Sciences. https://doi.org/10.1073/pnas.2113290119

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