家電
2025/1/5 19:15

闇バイト強盗の「流れ」と「弱点」は? いま必要な「攻めの防犯対策」をプロが語った

闇バイトによる強盗や特殊詐欺といった犯罪被害が増えている昨今、「我が家は大丈夫か」と心配している方も多いでしょう。そんな悩みに応えるため、パナソニックがメディア向けに「防犯力スキルアップ体験会」を開催しました。体験会では、防犯アドバイザー・佐々木成三(なるみ)さんが登壇し、いまの犯罪の傾向やそれを防ぐための対策について、デモを交えた解説が行われました。

 

本稿ではその体験会の模様をリポート。佐々木さんが提唱する「攻めの防犯対策」とは何か? いま導入すべき防犯アイテムとその活用法についてお届けします。

 

手荒な手口の犯罪が増加。犯人を威嚇する「攻めの防犯対策」が必要

佐々木さんは埼玉県警察本部刑事部捜査第一課で10年勤務したのち、防犯アドバイザーとして、講演やコメンテーターなどの活動を行っています。近年急増する闇バイトによる強盗などの現場取材も重ねており、最新の犯罪の傾向に精通しています。

↑佐々木成三さん(写真中央)。犯罪を減らしたいとの考えから刑事を辞め、防犯アドバイザーに転向しました

 

その佐々木さんによると、闇バイト強盗の特徴は、犯罪の「素人」による犯行であること。遠く離れた指示役からの命令によって犯行に及ぶ彼らは、犯罪行為に慣れていません。

 

手慣れた犯人であれば、犯行の形跡を残さないよう慎重に行動しますが、闇バイトグループは素人ゆえに乱暴な手口をとることが多くなります。防犯カメラの設置などの対策を施している家であっても、犯人がそれに気付かないまま、被害の対象となってしまうことも。佐々木さんは「起こり得ないことが起こる時代」だと語ります。

 

ただし、闇バイトグループには弱点があります。それは、意志が弱いことです。闇バイトで募集されたメンバーは、その場で顔を合わせたばかりの者同士。仲間意識は希薄です。また、彼らは指示役の命令に従って動いているにすぎず、自らの強固な意志で行動しているわけではありません。それゆえ、その心をくじくことは難しくはないのです。

 

「録画するだけの監視カメラでは不十分です。人がカメラの近くにいることを人感センサーで検知して、照明や音でカメラがあることを伝える必要があります。実際、先日名古屋で、9台の防犯カメラを設置していた家が強盗に遭いました。これらの防犯カメラには人感センサーがついていたそうですが、この家ではそのセンサーを切っていました。犯人を威嚇する『攻めの防犯対策』が重要なのです」(佐々木さん)

 

電話機・ドアホン・カメラ、防犯アイテムの連動で犯罪を防ぐ

闇バイトのグループは、単身・または2人暮らしの高齢者の世帯を狙っています。その家の住人が高齢者であるか、世帯人数は何人か、あるいは金目のものを持っているか調査するため、犯人グループは事前に電話をかけるケースが多いそうです。佐々木さんは「闇バイト強盗には、事前の電話、宅配業者などを偽っての訪問、強盗という、一連の流れがある」と語ります。この流れを断ち切るためには、電話機、ドアホン、防犯カメラ、窓の開閉センサーといった防犯アイテムをセットで導入することが有効とのこと。

 

「電話、家周辺の下見、訪問、万一の侵入と、それぞれの行為に対応した防犯アイテムが必要です。迷惑電話防止機能がついた電話機で犯人グループからの電話を撃退したり、現場の下見に来た犯人を照明付きの防犯カメラで威嚇するなど、その段階に応じた対策を講じられます」(佐々木さん)

 

↑迷惑電話防止機能がついたコードレス電話機・VE-GD78DL(実売価格2万3760円・税込)。盤面左上に、迷惑電話防止機能をオンにするボタンがあります

 

体験会では、実際の闇バイト強盗の流れを再現した実演も行われました。まずは、迷惑電話防止機能を備えた電話機で、犯人からの電話を撃退。電話の冒頭に「録音します」という音声が流れるだけでも犯人は嫌がりますし、ボイスチェンジ機能を使えば、怪しい電話に対して自分とは違う声で応答することが可能です。

↑デモの様子。佐々木さんが闇バイト強盗の指示役に扮し、3年前に夫を亡くした一人暮らしの老婦人を狙うという状況を再現しました

 

家の下見に訪れた犯人には、人感センサーとLED照明を内蔵した防犯カメラで威嚇します。最新の機種なら、防犯カメラから音声を流すこともできます。また、宅配業者などを装って家を訪ねてきた犯人グループに対しては、広角レンズを備えたドアホンが有効。ドアホンの前を幅広く映せるので、相手が何人いるのか、確実に確認できます。

↑モニター付き屋外カメラ・VL-CV100K(実売予想価格5万4780円・税込)。人感センサーで点灯するLED照明を4つ内蔵し、屋内のモニターを通して、声を発する機能を搭載しています。2025年1月10日に発売予定

 

↑ワイヤレスモニター付テレビドアホン・VL-SWZ700シリーズ(実売価格5万9880円~・税込)。広角カメラを内蔵し、玄関前の隅々まで映像を撮影、録画できます。玄関の様子は、本機に付属するモニターのほか、スマートフォンからでも確認できます

 

↑VL-SWZ700の脇に佐々木さんが立ち(写真右)、その映像をスマートフォンに映し出したところ(写真左のモニター)。佐々木さんの立ち位置が隅であるにもかかわらず、広角カメラがその姿をしっかり捉えています

 

万一、犯人が窓などから侵入しようとした場合には、開閉センサーが活躍します。上階にいても、窓やドアが開閉したことを音で気が付けますし、電話機と連携させれば、どこのドア・窓が開いたのか、子機の画面に表示させることも可能です。犯人の侵入にいち早く気付き、内鍵のかかる部屋に避難することで、身の安全を確保できます。

↑開閉センサー・KX-HJS100(実売価格3880円・税込)。本機を設置した窓やドアが開くと本体が鳴動します。ドアホンや電話機を同時に鳴動させる設定も可能です

 

自分は大丈夫という考えを改め、厳重な防犯対策を

「私が見た強盗事件現場のなかにも、“攻める”防犯アイテムがあれば防げたであろう事件も多くありました。周囲の家々との距離が離れていて助けを呼びにくい環境にある住宅は強盗に狙われやすいので、特に注意してください」(佐々木さん)

 

↑留守中、空き巣に狙われないよう、在宅を偽装するのも有効な防犯対策です。パナソニックのLEDシーリングライト・ライフコンディショニングシリーズには、時間を設定して自動で点灯させたり、外出先からスマートフォンで照明を操作できる機能がついています

 

佐々木さんによると、犯罪から身を守るために重要なポイントは「危険を感じたら冷静に110番する」「自分は大丈夫という考えを改める」「最新の犯罪の手口を知っておく」の3点です。強盗以外の犯罪も手口が変わってきており、たとえば電話による特殊詐欺も、従来あったような「オレオレ詐欺」ではなく、弁護士や警察官を騙ったものが多くなっているそうです。いまでは所得税の「103万円の壁」が政治で話題になっていますが、これを利用した特殊詐欺も出てくるだろうと、佐々木さんは予想しています。

 

万一の事態が起きてからでは遅い防犯対策。いまのうちに、攻めの防犯アイテムを整えてはいかがでしょうか。