高級炊飯器・主要5モデル徹底検証 保温したごはんの味をチェック!
高級炊飯器は各メーカーがその技術を競い合う主戦場。その品質はどれも高いレベルに達していますが、かなり高額であるため、より自分の(我が家の)好みや使い方に合った機種を選びたいと思うのが人情でしょう。
今回は、食事時間の異なる家族がいる、晩ごはんに炊いたごはんを翌朝も食べる習慣のある家庭などが気になる「保温機能」を検証。6時間、および24時間保温してみて、実際どれくらい食感やおいしさを維持できるのか、チェックしていきましょう。
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炊飯器 保温機能ナンバーワンはどれ?検証する機種はコチラ
エントリーその1
発熱性・蓄熱性に優れた南部鉄器の羽釜を採用し大火力で炊き上げる
象印
圧力IH炊飯ジャー『極め炊き』
“南部鉄器 極め羽釜” NW-AT10
実売価格12万9600円
発熱性・蓄熱性に優れた南部鉄器の羽釜を内釜に使用した炊飯器。大きく伸びた羽根で側面ヒーターの熱を釜内に伝え、最大1450Wの大火力と1.5気圧の圧力炊飯でごはんをふっくらモチモチに炊き上げる。また、前回炊いたごはんの感想を入力することで、121通りのなかから好みの食感に近づける機能「わが家炊き」の炊き分け範囲を拡大。従来機種より固めに、よりモチモチに炊けるなど、幅広い食感に炊き分けられる。
SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:151wh●保温1時間あたりの消費電力量:17.1Wh●加熱方式:プレミアム対流●内釜:南部鉄器 極め羽釜●サイズ/質量:約W305×H245×D400mm/約11.5kg
エントリーその2
「Wおどり炊き」に「加圧追い炊き」を加え、甘みとモチモチ感がアップ
パナソニック
スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器
Wおどり炊き SR-SPX107
実売価格9万7980円
IHの通電切り替えで激しい熱対流を生み出す「大火力おどり炊き」と、釜内を加圧状態から一気に減圧し激しい対流を生み出す「可変圧力おどり炊き」を組み合わせた「Wおどり炊き」を搭載。熱と水分を米に均一に行き渡らせ、ふっくらモチモチの銀シャリに炊き上げる。炊飯工程の終盤にさらに加圧して釜内を高温にする「加圧追い炊き」機能を新たに採用し、ごはんの甘みとモチモチ感がさらにアップした。50銘柄の銘柄炊き分け機能を搭載するほか、釜内を高温洗浄できる「お手入れ機能」も新採用。
SPEC●炊飯容量:0.5〜5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:160wh●保温1時間あたりの消費電力量:14.4Wh●加熱方式:6段全面IH●内釜:ダイヤモンド竃(かまど)釜●サイズ/質量:W266×H233×D338mm/7.0kg
エントリーその3
発熱効率が高い「本炭釜」と連続沸騰技術でかまど炊きの味を再現
三菱電機
IHジャー炊飯器
本炭釜 KAMADO NJ-AW108
実売価格11万9760円
IHの発熱効率が高い純度99.9%の炭素材を使った「本炭釜」採用モデル。内釜全体の発熱と噴きこぼれのない連続沸騰技術により、粒感のいいふっくらとしたかまど炊きの味を再現する。沸騰力の向上と高断熱構造の強化で火力をさらにアップ。蒸気口に新搭載した密封弁が蒸らし時の蒸気の流出を抑え、潤いたっぷりのごはんに仕上げる。15通りの食感炊き分け機能「炊分け名人」に加え、35銘柄に対応する「銘柄芳潤炊き」機能も持つ。
SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:162wh●保温1時間あたりの消費電力量:17.2Wh●加熱方式:7重全面加熱+連続沸騰●内釜:本炭釜●サイズ/質量:W285×H249×D320mm/約5.7kg
エントリーその4
高温で炊き上げて高温で蒸らし、甘みと弾力の強いごはんに仕上げる
タイガー
土鍋圧力IH炊飯ジャー
THE炊きたて JPX-102X
実売価格7万9800円
内釜に遠赤効果の高い釉薬を塗った土鍋を採用し、さらに本物の土のかまど「遠赤大土かまど」を本体内に装備。土鍋と土かまどの二重発熱構造と可変圧力によって高温で炊き上げ、200℃以上の「高温蒸らし」で、甘みと弾力の強いご飯に仕上げる。しゃっきりからモチモチまで、好みの粘り加減に調整できるほか、土鍋のおこげが味わえる3段階の火加減調節も可能。「押麦メニュー」と「もち麦メニュー」の2種類の麦めしメニューも搭載する。
SPEC●炊飯容量:1.0~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:148wh●保温1時間あたりの消費電力量:18.3Wh●加熱方式:土鍋圧力IH + 可変W圧力IH●内釜:プレミアム本土鍋(四日市萬古焼)●サイズ/質量:約W265×H233×D309mm/約7.4kg
エントリーその5
内釜の底に鉄の粒子を打ち込み効率的な発熱と高い伝熱性を両立
日立
圧力スチーム炊き
ふっくら御膳 RZ-AW3000M
実売価格10万6790円
水温を60℃以下で米にしっかり吸水させる「高温浸し」と独自の圧力スチーム技術を搭載。ふっくら艶やかで甘み豊かなごはんに炊き上げる。アルミ合金の内釜の底に発熱性の高い鉄の粒子を打ち込むことで効率的な発熱と高い伝熱性を両立し、内釜全体に素早く熱を伝えることで炊きムラを抑える。0.5合でもおいしく炊き上げる「少量炊き」機能も特徴。「蒸気カット」機能付きで、キッチン棚の中で使っても棚の天面が濡れず、設置場所の自由度が高い。
SPEC●炊飯容量:0.5~5.5合●炊飯1回あたりの消費電力量:145wh●保温1時間あたりの消費電力量:13.7Wh●加熱方式:圧力スチーム炊き●内釜:高伝熱 打込鉄・釜●サイズ/質量:約W268×H237×D352mm/約6.6kg
炊飯器 保温機能ナンバーワンはどれ?検証内容
各炊飯器の最もオーソドックスなモードで、3合炊きしたごはんを24時間保温。炊飯6時間後の味と食感とニオイ、24時間後の味と食感とニオイをチェックしました。
炊飯器 保温機能ナンバーワンはどれ?検証結果
象印
圧力IH炊飯ジャー『極め炊き』
“南部鉄器 極め羽釜” NW-AT10
6時間保温しても強い弾力と甘みは健在
本機の保温機能は、最適な温度制御で、ごはんの乾燥や変色を抑える「極め保温」と、少し高めの温度でごはんのニオイの発生を抑える「高め保温」の2種類。今回は「極め保温」で検証しました。
保温開始6時間後では、香りは弱くなりましたが、イヤなニオイはまったく発生していません。食感もそれほど変化がなく、甘みもたっぷり感じられますが、米のみずみずしさはさすがに少なくなりました。また、やや粘り気が増したとも感じました。
保温24時間後では、ごはんにわずかにニオイが出てきたと感じました。お米もハリがなくなり、ベタッとした食感になっています。全体に柔らかい食感になってしまい、炊き立てと比べると劣化は顕著ですが、ごはんの甘みは依然として豊かでした。
エントリーその2
パナソニック
スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器
Wおどり炊き SR-SPX107
24時間経っても濃厚なごはんの甘みに驚き
保温6時間後のごはんは、やや柔らかさが増してきた印象。もちもち感がやや落ちてきたように感じました。ただ、甘みは相変わらずすっきりとして雑味がなく、保温したごはん特有のイヤなニオイも感じられませんでした。
保温して24時間経つと、保温時特有のニオイがわずかに感じられました。食感はかなり柔らかくなり、モチモチ感もなくなっています。ただ、味は意外に臭みがなく、まだまだ甘みがしっかりしています。
本機は炊飯時だけでなく、保温時にもスチームを定期的に供給して、ごはんの潤いを保つのが特徴(スチーム保温)。具体的には保温開始から約6時間後と約12時間後にスチームを自動投入するようになっています。そのため、ごはんが乾燥して硬くなることはありませんが、柔らかくなるのは避けられません。特に24時間保温すると食感の劣化は顕著。長時間保温するより、やはり炊き立てを冷凍・再加熱するほうがおすすめだと感じました。
エントリーその3
三菱電機
IHジャー炊飯器
本炭釜 KAMADO NJ-AW108
24時間保温でも口の中でほどける粒感が残っている!
本機が搭載する保温機能は2つ。「たべごろ保温」は、低めの温度で保温し、ごはんの黄ばみや乾燥を抑えるそうです。「一定保温」はより高めの温度で保温します。「たべごろ保温」が12時間を超えると、自動的に「一定保温」に切り替わるようです。今回は「たべごろ保温」で保温し、6時間後のごはんと、「一定保温」に切り替わった24時間後のごはんをチェックしました。
保温後6時間経ったごはんは、ハリがしっかり残っていて、口の中でほどける粒感も健在。香りはやや弱くなりましたが、ごはんのみずみずしさはしっかり残っています。ごはんが柔らかくなった印象もそれほど感じず、炊き立ての味と食感を高いレベルで維持していると感じました。
一方24時間保温のごはんは、米粒の形がやや崩れてきたところがあり、釜肌のごはんの量が薄い部分で乾燥して硬くなった部分も出ていました。全体として柔らかくなってはいますが、ニオイに関してはそれほど気にならず、味わいも甘みを保っていておいしいです。口の中でほどける粒感もまだ残っていました。
エントリーその4
タイガー
土鍋圧力IH炊飯ジャー
THE炊きたて JPX-102X
6時間保温でややベタつきが出始めるが味わいは悪くない
保温機能は連続して保温を行うモードと6時間で保温が切れるモードの2種類がありますが、保温温度は1種類です。
6時間保温したあとにごはんを試食すると、食感がかなり柔らかくなり、ベタつきも出てきていました。米粒同士がくっついて団子状態になりはじめていて、ほぐれる感じはありませんでした。ただ、香りに臭みはなく、甘みもあって、味は悪くないと感じました。
保温して24時間後になると、食感はさらに柔らかく、米同士が団子のようにくっつく状態も進行。ごはんの量が少なかったためか、場所によってごはんがべちゃっとしている部分と、乾燥している部分があったのも気になりました。味はよく言えば「おこげの香ばしさが強くなった」とも言えますし、悪く言えば「臭みが出てきた」とも言えます。
エントリーその5
日立
圧力スチーム炊き
ふっくら御膳 RZ-AW3000M
保温6時間後の食感・食味は申し分なし
本機は、「スチーム40時間保温」を搭載しており、炊飯時に出た蒸気を水に変えて備蓄し、保温時に定期的にスチームとして釜内に送り込みます。保温モードは、ごはんの変色や乾燥を防ぐ「保温低」(40時間以内)と、高めの温度でふたの内側や内釜につゆがつくのを抑える「保温高」(12時間以内)の2種類ありますが、今回は保温時間の長い「保温低」で試してみました。
保温6時間後のごはんは、炊き立て時の米の弾力と粘り気が持続していました。甘みも変わらず、ニオイもまったくありません。全体の食味・食感は申し分ないです。
24時間保温したごはんは、さすがにニオイが少し出始めていて、全体の食味はやや劣化した印象。食感もかなり柔らかくなっていますが、食べている間にほどける感覚と、米一粒一粒の弾力はまだ残っていました。
炊飯器 保温機能ナンバーワンはどれ?まとめ
6時間保温はどれも優秀だが日立と三菱が目を引いた
今回の検証では、保温時間が24時間になると、どの機種もやはり劣化は避けられないことがわかりました。特に影響が出るのが食感で、一部にベタつきが出る、乾燥するなど、炊き立ての状態からかなり変わってしまう印象。ただし、味はどの機種も一定以上のおいしさを維持していたのはさすがです。
とはいえ、ごはんをよりおいしく炊き上げることに注力し、コストをかけている高級炊飯器だけに、24時間保温したものを食べるより、毎回炊き立てを食べるか、冷凍・再加熱したほうが、味も食感も満足できます(改めて言うまでもないですが…)。
ただし、今回の検証では、6時間保温なら概ねおいしさと食感を維持できることがわかりました。特に炊き立てと遜色なかったのが日立。三菱電機もかなり炊き立てのおいしさをキープできていました。この2機種は、以前のテストでしゃっきりめの食感に炊きあがる結果となりましたが、食感との相性もあるのか、保温機能では高い実力を見せてくれました。食感の好みにもよりますが、どうしても数時間の保温が必要な人には検討の材料になりそうです。
次回は、各炊飯器の操作性とメンテナンスのしやすさについて見ていきます。
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