室内環境を整えるため重要なのが「検知」「清浄」「循環」の3つの機能
このような背景を踏まえて、「Dyson Pure Cool 空気清浄ファン」は開発されました。ダイソン ヘルス アンド ビューティー部門のバイス プレジデントであるポール・ドーソン氏は、「日本の室内環境を整えるためには、3つの機能が重要。『室内にどのような汚染物質があるのかを検知する機能』『それを捕らえて清浄する機能』、そして『きれいな空気を循環させる機能』です」と説明します。
3つのセンサーで感知した情報をディスプレイに表示
まず“検知”ですが、今回新たに3つのセンサーを搭載しました。レーザー計測によって粒子物質の量を検出・分析する微粒子(ホコリ)センサー、VOCやNO2を検出する有毒ガス・ニオイセンサー、そして温度・湿度センサーの3つです。これらセンサーが汚染物質を検知すると、新搭載のカラーLCDディスプレイにその種類が表示され、リアルタイムで処理する様子を見ることができます。「実際のリビングと同じ空間を作り、7万5000時間のテストを経て作り上げたアルゴリズムによって、ベンゼンやホルムアルデヒド、二酸化窒素、一酸化炭素などを検知できるようになりました」とドーソン氏。
フィルターと活性炭の量を増やし、パッキンで隙間を埋めて汚れた空気を逃さない
次に空気を清浄する機能のポイントですが、まず、外装のフィルターケースに従来より60%多いHEPA剤(高性能フィルター)を導入。グラスHEPAフィルターには、従来より3m長い9mのものを200回以上折ってプリーツ状にしたフィルターを搭載し、PM0.1レベルの微粒子を99.95%除去します。有害ガスやニオイを吸収する活性炭フィルターも、従来比で活性炭の量を3倍以上に増やしました。
「汚染物質やニオイをフィルターに1回通しただけで、全てを確実に除去することが重要。日本市場の上位3ブランドのモデルは、吸い込んだスモークが吹出口から出てきているが、ダイソンは全く出てきません。これは、吸い込んだ空気を完全に清浄しているからです」とドーソン氏は胸を張ります。
これはフィルター周りの構造の違いによるものです。一般的な空気清浄機の場合、各種フィルターは本体に簡易的にセットされているだけで、フィルターと本体の間には隙間があります。そこから清浄されていない空気が再度部屋に排出されるのに対し、ダイソンの場合は、フィルターの周囲をゴムパッキンで囲み隙間を作りません。このため、吸い込まれた空気は余すところなくフィルターで清浄されてから排出されます。なお、フィルターは清掃などのメンテナンスは不要で、交換目安は約1年間(1日12時間使用の場合)。
毎秒290Lの空気を送り出し、350°の首振り機能で空気を循環
最後はきれいな空気を循環させる機能について。360°全方向から吸い込む空気清浄部本体と、毎秒290Lの空気を送り出すAir Multiplier テクノロジーに加えて、350°の首振り機能が部屋中の空気を強力に循環させます。従来、首振り機能は70°しかありませんでしたが、新製品では45/90/180/350°の4段階に調節できるようになりました。
さらに、従来は正面方向にしか送風できませんでしたが、「冬が寒い」というユーザーの声を受け、新たにディフューズモードを搭載しています。これは、本体側面に設けたスリットから後方45°に向けて吹き出すもので、開口部を広くしてワイドな風を送り出すことにより寒さを低減し、さらに風の音も小さくなりました。
アプリ対応もスマートスピーカー対応は「様子見」状態
スマートフォン用の「Dyson Link アプリ」も新しくなりました。オン/オフ、首振り角度の調節、風量の調節、予約/スケジュールなどのリモコン機能のほか、本体のセンサーで捉えた自室の空気の状態をいつでもどこでもモニターでき、空気清浄機能の効果も確認できます。
なお、本機はWi-Fi機能を搭載していますが、今回はスマートスピーカーとの連携機能には非対応です。ドーソン氏はその理由について次のように説明しました。
「当社としても対応を検討はしています。スマートスピーカーは複数の規格があるので、どれがユーザーにとって最適なのかを見ているところ。スマートインテリジェンス製品において最も重要なのはシンプルなこと。ユーザーがITに詳しくなくても簡単に設定、操作ができるものを選びたいです」
Dyson Pure Coolは「これまでにない新しいカテゴリだ」
また、ダイソンではDyson Pure Coolを、空気清浄機とも扇風機とも呼ばず「空気清浄ファン」と呼んでいます。「われわれは新しいカテゴリを誕生させようとしています。Dyson Pure Coolは空気清浄と空気を循環させるファンの機能を持った、これまでにない製品だと考えているからです。売り場でも、古いカテゴリに入れるのではなく、新しい売り場を作っていきたい」とドーソン氏は意欲を見せました。
また今回は“cool”の発表でしたが、ダイソンでは温風機能付きモデル“hot&cool”もラインナップしています。その後継機の開発については、「これから先、また『エキサイティングな新製品を用意している』とだけ答えておきます」と、ドーソン氏は不敵な笑みを浮かべました。温風で肌に当たって乾燥することを嫌がる人も多いので、ぜひディフューザーモードを搭載した“hot&cool”も期待したいところ。あるいは、よりエキサイティングな新機能を持つ新モデルが出る可能性も……。今後もダイソンの空気清浄ファンから目が離せません。