シャープの水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」。品名は「ほっとく」に由来するそうで、食材を入れて放っておくだけで美味しい料理ができると評判です。いままで何回か企画で取り上げたことがあり、本機に触れたライターさん、出演者の方々が、口々に「旨い!」「ほしい!」と口にするのを何度も聞いてきました。
※記事末に2019年11月に登場した容量1.0L(1~2人用)の新モデルの情報を追加しました
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とにかく評判がいいホットクックで親孝行なるか?
聞くところによると、経済評論家の勝間和代さんは本機を大いに気に入り、ご自宅で3台同時に稼動させることもあるとのこと。先日の「日曜もアメトーーク!」の「家電芸人」でも、絶賛されてたよなあ……。そんな大好評のアイテムながら、無線LANに対応となった3代目モデル「ヘルシオ ホットクック KN-HW24C」(実売価格6万6670円 ※以下ホットクックと表記)を、筆者は使ったことがありません。音声機能やネット接続のメリットも確かめてみたい……。
おりしも時はゴールデンウィーク目前。どうせならGWの休暇中、長野県の実家に持ち込んで、美味しい料理をいろいろ作ってみてはどうだろう……? ひとりで作っても食べきれないし、何より、親不孝続きの両親を喜ばせることができるかも……。というわけで、シャープさんに実機を拝借して約1週間、実家で使ってみました。結論を言うと、両親は喜んでくれました。しかし、その過程は当初、「両親は手放しで喜んでくれるはず」と、筆者が思い描いていたものとは、少々違うものだったのです。
第一印象は「想像以上にデカイ」
ホットクックは、実家に直接届くように手配しました。帰省してすぐ、箱から取り出した第一印象は、想像よりデカイ。2.4Lの大容量を誇り、丸鶏やキャベツ一玉も調理できるだけのことはあります(※)。これを見た父は「デカいな~。これ、一人暮らしじゃ置けねえぞ。あんたの家に置けるか?」。失敬な。もちろん置けるさ! …置けるけど、やや本格的な片付けは必要でしょうね。実家では、食器とコーヒーメーカーをどけて本機をセット。デカいのは確かですが、外観はやっぱり高級感があります。カラーはよく見ると、同じ赤でも場所によって違った色を配していますし、微妙なグラデーションを施した部位があって、意外にも手がこんでいます。
※1.6Lタイプで一回り小さいモデル(KN-HW16D・実売価格5万9270円、KN-HT99B〔無線LAN非対応〕・実売価格4万20円)もあります
その夜、さっそく本機で料理を作ってみました。本機のすごいところは、自動調理メニューがプログラムされている点。材料を入れてメニューを選べば、あとは最適な火加減に調整し、勝手に調理してくれるのです。記念すべき一品めは、無水調理の「きのこの佃煮」を選択。付属のメニュー集を参考に、きのこと調味料を鍋に投入。フタの裏側部分に「まぜ技ユニット」をセットします。この「まぜ技ユニット」というのは、メニューに応じた最適なタイミングで具材をかきまぜるユニット。調理中はアーム状の「まぜ技ウイング」が自動で稼働・収納されます。つまり、調理は完全に機械まかせで、鍋から目を離してもまったく問題ありません。
音声の情報は意外に実用性がある
「きのこの佃煮」の調理時間は約30分。母は「佃煮に30分もかかるの? ふふっ(笑)」と、鼻で笑っていました。いやいや、普通それ以上かかるし。ただ放っておけばいいんだから、その態度はいかがなものか……と、遺憾に思いながらスイッチオン。
すると本機は「あとの加熱はまかせてね!」と高く細い声で宣言し、運転スタート。思った以上にはっきり発声するんですね。その後もたまに「まぜ技ウイング」が動く、ゴト…ゴト…という控えめな音をさせながら、「加熱していますよー」などと声をかけてくれます。途中、「おいしくできますように」と発声したときは、神頼みか! と思ったのですが、稼動中であることがわかる点、「残り1分です」「残り10秒です」など、残り時間を伝えてくれる点は実に便利。最後は、ピンピロピロピロリン!というキレイな音がして、「できあがりです!」。開けてみると、おお、本当にできてる!
食べてみると……うん、美味しいです! いままで実家では食べたことのない味。一瞬、マツタケか? と思ったほど、歯ざわりも香りもすごくいい。この風味の凝縮感……水分は素材から出るものだけを使い、素材の味を引き出すという「無水調理」のたまものでしょうか。
この日はさらに、「鶏と大根の煮物」「ツナキャベツのカレーマヨ風味」を調理。「ツナキャベツのカレーマヨ風味」は、ダウンロード専用メニューだったので、スマホの「COCORO KITCHENアプリ」からメニューを本機に送信して使用しました。本機は無線LAN対応で、ネット接続すれば、随時更新される新メニューを覚えることができるんです。これら2つのメニューも食材を切って入れるだけ。どちらも手作り感のある旨みたっぷりの味わいで、ビールも日本酒も進みます。あっ、よく見るとテーブル上がほぼ茶色ですね……。その点は残念ですが、「美味しいね」と母の反応は上々でした。(この日、父は飲み会で不在)
昼ごはんとしてナポリタンとカレーを作る
その翌日から、昼ごはんも本機で作ることにしました。まずは「ナポリタン風パスタ」。たまねぎ、きのこなどの野菜と半分に折ったパスタを入れ、スイッチを押せば25分で完成。味付けは塩とケチャップのみ。こちらは無水調理ではないですが、乾麺を鍋に入れて作れるというのが驚きです。
翌日は、本機メニューでも特に人気が高いカレーのなかから、無水調理の「チキンと野菜のカレー」をチョイス。作り方は、まぜ技ユニットを装備して、鍋に角切りトマト、たまねぎとセロリのみじん切り、鶏の手羽元と市販のカレールーなどを入れるだけ。この日は朝に準備して昼にできるよう、仕上がり時間を設定できる予約調理を利用しました。
カレーの準備が終わったら、家庭菜園で農作業。夏野菜の苗を植え、倒れないように棒にゆわえるという地味な作業です。おなかを減らして家に戻ると、できたてのカレーが待っているという最高のシチュエーション。そして食べてみると…これはウマイ! これほどの料理が予約でできるなら、「帰ったらあれが食べられる!」と生活に張り合いが出ますね。
先述の「ナポリタン風パスタ」と「チキンと野菜のカレー」を食べた両親は、「味はいい」とコメント。えっ、味「は」いいって、味がいいならいいじゃない。なに、その歯に物が挟まったような言い方……。どうやら、母は本機の電気代が気になっている模様です。特に予約調理をした際は、「ずーっと加熱してたよ。電気代がかかってしょうがないよねぇ」とこぼしていました。この予約時からの断続的な加熱は、予約調理機能「食べごろ予約調理」の特性で、40℃前後の食材が腐敗しやすい温度を避け、絶妙な温度をキープしているから。この間、食材に味がしみこんでいるんだろうな…というのも想像に難くありません。
電気代はカレー4人分で約6.8円、予約調理でプラス約10円
さて、気になる電気代は、シャープのホームページによると、チキンと野菜のカレー(無水カレー)4人分(調理時間約1時間5分)を作った場合で約6.8円。肉じゃがを無水調理した場合は約5.5円とのこと。また、チキンと野菜のカレー(無水カレー)4人分を12時間予約した場合、電気代は約16.7円と、通常より約10円高くなるようです。ふうむ…確かに高い気がするかもしれないけど、調べてみると、ガスでカレーを作ってもそれくらいはかかるみたいです。火の番が不要で、放っておいて料理が完成するメリットを考えれば、妥当なのでは?
一方、父が気になったのは、食材の価格。無水調理ゆえに、「チキンと野菜のカレー」をはじめ、多くの野菜を使用した点が気になったようです。「1本158円もするセロリを使ったんだって。トマトも3つも使ったんだって!」という母の告げ口を聞き、父は「もう少しコストも考えなきゃな…」と苦言。
もちろん、今回の食材費は筆者が負担しましたが、日常的に自分が使う場合を考えると、確かにごもっともではあります。ただ、今回はスタンダードな味を知っておきたいから、レシピ通りに作っただけ。今後はセロリを省略してもいいですし、トマトは水煮の缶詰で代用してもいいでしょう。
また、本機では先述の「きのこの佃煮」ほか、「はちみつ入り肉みそもやし」など、安い食材のメニューも多く、工夫次第で食材費は抑えられるはず。4人前のところ、食材の量を抑えて2人前にするなどの調整も可能です。その点を踏まえれば、まったく問題がないのでは? …と、そのとき説明できればよかったのですが……。あっ、というよりも、41才にもなって両親にお金の心配をさせてしまう、甲斐性のない自分が情けない……。
とはいえ、「自動調理ってのはすげえなー。今後は全部こうなっていくのかねえ」(父)と、本機の手軽さに純粋に感心していたのも事実。カレーを食べ終わるスピードが異常に早かったのを見ても、味は相当に気に入ったようです。
手動メニューを賢く使えば、「もう一品」の追加もカンタン
その後も毎日、筆者はおつまみを作り続けました。ある夜は、豚バラかたまり肉と大根を使う「べっこう煮」、筍とわかめをだしで煮る「若竹煮」を。また、ある夜はレシピを離れてみようかな、と手動メニュー(後述)の「炒める」を利用して「はまぐりとキャベツの炒め物」を。姉夫婦が訪れたときは、定番の「肉じゃが」と、先述の「ツナキャベツのカレーマヨ風味」を作りました。
ちなみに、プログラムを使わない手動メニューには、「煮物を作る」「スープを作る」があるほか、「炒める」「無水でゆでる」などがあるので、上手に使えば、省手間で調理や下ごしらえが可能になります。ちなみに、筆者は先日のカレーの余りを使い、まぜ技ユニットを使う「炒める」で麻婆豆腐を調理したところ、豆腐がクズクズになってしまいました。この結果は少し考えればわかることなので、筆者の弱脳を呪うばかりです(とはいえ、それなりに美味しかったです)。このほか、本機では温泉卵を作る、ごはんを炊くといった使い方も可能。指定の温度をキープすることができるので、発酵食品の調理や流行の低温調理にも利用できます。
ネット接続で毎日情報が更新されるのが楽しい
繰り返し本機を使っていると、親しみが湧いてきます。「加熱はまかせてね!」との声に対し、「おう、まかせた!」と答えると、相棒のような頼もしさを覚え、気分も盛り上がります。AI機能で「最近、和食が続いているね。たまには和食以外もどう?」と呼びかけられ、驚いたこともありました。「料理が茶色ばっかりですね」と言われなくて良かった……。
その他、面白いと感じたのが「調理ランキング」。ユーザー側とクラウド側、相互の情報交換が可能なので、他のホットクックユーザーに人気の料理をランキング形式で見ることができます。ふむふむ、この日は「ビーフカレー」が1位で「チキンと野菜のカレー」が2位。カレーがやっぱりうまいんだな……。続いて「肉じゃが」「具だくさんみそ汁」「豚の角煮」か……。ユーザーがヘビロテしている季節の鉄板メニューが見られるわけで、こちらも意外に実用性があります。
同社の調理家電に対応する無料の「COCORO KITCHENアプリ」も便利です。アプリには日々、新たなレシピがアップされていて、これを本体に送信・ダウンロードすれば、すぐにそのレシピで調理が可能になります。……えっ、いま気づいたのですが、「買いものリスト」なんていう便利な機能もあったのですね。うわ、予約調理の時間の変更もスマホでできるの? また、余談ですが、アプリでレシピを見ながら調理する際は、画面がすぐ消えないよう、スマホ設定で自動ロックをOFFにしておくといいです。これもあとで気がついて、悔しい思いをしました。
パーツが外せてメンテがカンタンなのもうれしい
もう一点、本機のメンテナンスについても触れておきましょう。これは本当にカンタン。日常的な作業は内鍋を洗う、まぜ技ユニットを洗う、ふたの接合部のつゆ受けの水を捨てる、内ぶたを洗うという4点。点数にすると多いようですが、先述のパーツはすべてカンタンに外せるので、シンクに持って行ってササッと洗えます。この手入れがラクな点も、本機が支持を得ている理由でしょう。
最終日の3品は最高傑作と呼べる出来栄えに
植えた野菜の生長を喜びながら、ときにはPCで仕事。その合間に近所を散歩し、思い出を手繰る……。ときには長野市のイベントを見に行き、夜はホットクックの料理をつまみに、両親とあれこれ語り合う。そんな心楽しい日々も、いよいよ最後を迎えました。最終日の夜、集大成として作ったのは、「ぶり大根」と「キャベツとじゃがいもとあさりの煮物」、無水調理の「白菜と豚バラの重ね煮」の三品です。
結論から言うと、この三品は最高傑作と呼べる出来栄え。出来上がったときは、「ワシは小料理屋か!」と思うほどの大量の料理ができてしまい、食べられるか心配だったのですが……どれもこれも美味しくて、親子三人でほぼ平らげてしまいました。その食べっぷりからして、両親には満足してもらえたみたいです。これで、少しは親孝行になったかな……。
翌朝、筆者が東京へ帰る日。この日は、ホットクックを東京の筆者の自宅に発送する日でもあります。温泉卵を作ったあと、本機をダンボールにしまう段になって、いろいろと文句を言っていた母が、「よくがんばったね。ご苦労さん!」と、言葉をかけていたのが印象的でした。その口調からすると、少しは認めてくれたようですね。いつか、父とともに植えた夏野菜を使って、ホットクックで料理ができたらいいなあ。今度は、もう少し彩り豊かな西洋のものを……そんな思いを胸に、筆者は東京への帰路に就きました。
今回、本機を使ってみて、様々なメリットを感じることができました。それなりの設置スペースが必要ではありますが、食材を切って入れるだけのカンタン調理は便利で、お手入れもラク。ネット接続による楽しさや手動メニューの可能性も実感できました。そして何より、料理が美味しいのがわかったのが一番の収穫。その美味しい料理で、今回は、わずかながら両親に恩返しができたと思います。改めて、ホットクックに感謝です。楽しい食卓をありがとう! お疲れさまでした!
水なし自動調理鍋
SPEC●サイズ/質量:W395×H249×D305㎜/約6.5kg●定格消費電力:800W●定格容量:2.4L●設定温度(発酵):35~90℃●最大予約設定時間:15時間●電源コード長:約1.8m(マグネットプラグ方式)●メニュー集掲載メニュー数:155(自動メニュー130/手動メニュー25)●付属品:蒸し板、保存専用ふた、メニュー集
NEW!
【一人暮らしにも使える1~2人用のモデルが登場!】
シャープ
ヘルシオ ホットクック KN-HW10E
実売価格4万4300円
「大きくて置き場所に困る」「一人暮らしでも食べきれるサイズを」という声に応え、2019年11月に登場した容量1.0L(1~2人用)の新モデル。新・まぜ技ユニットとコンパクトモーターの採用で、2~4人用の1.6Lタイプから設置幅を約40%削減。設置幅220mmのコンパクトサイズながら、ホットクックの基本性能(無水調理・まぜ技自動調理・予約調理)に対応しています。また、付属の蒸しトレイを使い、2種類のメニューを同時に調理する「上下2段調理」が可能。下段でアクアパッツァを作りながら、上段でポテトサラダを作るなど、2つのメニューを同時に1台で作ることができます。AIoTクラウドサービス「COCORO KITCHEN」にも対応。
SPEC●サイズ/質量:W220×H240×D305㎜/約3.7kg●定格消費電力:350W●定格容量:1.0L●設定温度(発酵):35~90℃●最大予約設定時間:15時間●電源コード長:約1.4m(マグネットプラグ方式)●メニュー集掲載メニュー数:80(自動63/手動17)●付属品:蒸しトレイ、メニュー集
【一回り小さい1.6Lのモデルもチェック!】
「好みの設定加熱」機能と「煮詰め」機能を新たに搭載
シャープ
ヘルシオ ホットクック KN-HW16D
実売価格5万9270円
2~4人用のモデル。無水調理が可能、かつ撹拌機能によって料理を焦げ付きなく仕上げるほか、無線LANでクラウドと接続することで音声や画面で献立を提案するなど、基本機能は本編で紹介した KN-HW24Cと同じ。容量が1.6Lとなったことで、横幅でいえば約3cm短くなるなど、KN-HW24Cより一回りコンパクトになっています。また、好みの火加減やまぜかたを選べる「好みの設定加熱」機能、ふたを開けたまま加熱できる「煮詰め」機能を新たに搭載。カラバリはレッド系に加えてホワイト系(写真)も追加し、2色から選べるようになっています。このほか、容量1.6Lのタイプでは、無線LAN非対応のベーシックモデルKN-HT99B(レッド系のみ)も用意。
SPEC(KN-HW16D)●サイズ/質量:W364×H232×D283㎜/約5.5kg●定格消費電力:600W●定格容量:1.6L●設定温度(発酵):35~90℃●最大予約設定時間:15時間●電源コード長:約1.6m(マグネットプラグ方式)●メニュー集掲載メニュー数:145(自動メニュー126/手動メニュー19)●付属品:蒸し板、保存専用ふた、メニュー集
協力:楽天市場
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