家電
加湿器・除湿機・乾燥機
2021/1/11 18:30

「最新加湿器」をプロが採点! 主要5メーカーの「上位モデル」を徹底比較

新型コロナウイルスの影響もあり、おうち時間が長くなりそうなこの冬は、家族の健康対策が重要。風邪予防に効果があると言われている加湿器の、新作ハイエンド5モデルを5項目5点満点でチェックした

私が解説します!!

家電ライター 平島憲一郎さん

雑誌やウェブで生活家電のレビューや製品紹介記事を執筆。加湿器は「メンテがラクだから」とスチーム式を使用中。

 

加湿器選びでは機能・性能の優先順位を決めるのが重要!

加湿器には下記の5つの加湿方式があり、それぞれ一長一短だ。家電ライターの平島憲一郎さんは、「加湿量、メンテナンス性、省エネ性など自分のなかで優先順位を決めて選ぶべき」と語る。

 

「気化式は電気代が安めながら定期的なフィルター掃除が不可欠。スチーム式は沸騰時に除菌でき衛生的ですが、電気代がかかります」

 

そんななか近年は、各方式で除菌性能や手入れの負担を軽減できるモデルが増えてきた。

 

「特にダイニチは給水トレイの使い捨てカバーが秀逸。トレイの手入れが不要とは驚きです」(平島さん)

 

【主な加湿方式をチェック!】

●スチーム式

ヒーター加熱で蒸発させた水蒸気を室内に放出。5つの方式のなかで最も加湿力が強い。加湿時に水が沸騰するので衛生的。

メリット:加湿が最も強力。清潔さも保ちやすい。

デメリット:電気代がかかる。窓が結露しやすい。

 

●気化式

水を含ませたフィルターに風を通して放出し、室内の湿度を上げる。送風だけなので消費電力が少なく、加熱ナシで安全。

メリット:加熱しないため子どもがいる家も安心。

デメリット:加湿力が弱めでフィルター交換が必要。

 

●超音波式

超音波振動で水を微細な粒子にして加湿。省エネで、運転開始後すぐに蒸気を放出する。本体デザインの自由度が高い。

メリット:素早く加湿できて、電気代が安い。

デメリット:雑菌やスケール(※)を飛散させやすい。

※:水道水に含まれるミネラル成分が結晶化したもの

 

●ハイブリッド式(温風気化式)

気化式×温風気化式。最初はヒーターで加湿し設定湿度に達したら送風のみに切り替え、省エネ運転する。

メリット:加湿スピードと省エネ性を両立できる。

デメリット:フィルターの手入れや交換が必要。

 

●ハイブリッド式(加熱超音波式)

超音波式×スチーム式。ヒーターで温めた水を霧状に放出し加湿。水中の雑菌の繁殖抑制が期待できる。

メリット:素早い加湿と省エネ性、清潔性を実現。

デメリット:超音波式よりも電気代がかかる。

 

【最新モデルをチェック!】

【その1】加湿量・使い勝手・静かさ、すべての面で弱点なしのハイエンド機!

【加湿方式:ハイブリッド式(温風気化式)】

ダイニチ工業

ハイブリッド式加湿器 HD-LX1220

実売価格4万3780円

最大1300mℓ/hのパワフル加湿で広い空間も素早くうるおす。フィルターなど水周り3か所を抗菌加工、タンク内を洗いやすい広口にするなど清潔性と使いやすさにこだわった。最小13dBの静音運転で快眠をサポート。

SPEC●適用床面積:プレハブ洋室33畳/木造和室20畳●最大加湿量:1300mℓ/h(ターボ)●タンク容量:7.0ℓ●サイズ/質量:W390×H405×D245mm/約6.4kg

 

↑タンクは容量7ℓ。一度の給水で11.7時間(ecoモード)加湿可能だ。タンクの上下にそれぞれ取っ手が付いているため両手持ちでき、女性でもラクに給水できる

 

↑取り込んだ空気をヒーターで温め、加湿フィルターに通すことで加湿量をアップ。湿度変化に合わせて送風量を細かく制御するため、ムダな電力消費を抑える

 

↑トレイにセットできるカバーが付属。1シーズン終了後や水垢が気になった際、カバーを外して新しいものに交換すれば、面倒な洗浄の手間が省ける

 

↑本体上部にハンドルを装備。加湿器を別の部屋に移動させたいときや掃除中にちょっとどけたいときに、片手でラクラク持てる。何気ない仕様だが助かる

 

平島’s CHECK】加湿力だけでなくメンテ性の高さに感動!

「加湿力はもちろんメンテ不要のトレイと運転音の静かさに感動! タンクは大型だがダブル取っ手で給水のしやすさも改善されている」(平島)

 

【その2】マイクロミストが濃密に噴射しパワフル&スピーディに加湿

【加湿方式:超音波式】

カドー

超音波式加湿器 STEM 630i

実売価格4万9800円

高さ約85cmの吹出口から最大約1.2mの高さまでマイクロミストを放出し、室内をくまなく加湿。使用する水の除菌機能、スケール(※)の発生を抑える機能を搭載して室内の清潔さを保つ。スマホアプリで室内湿度の確認も可能。

SPEC●適用床面積:プレハブ洋室17畳/木造和室10畳●最大加湿量:600mℓ/h(急速モード)●タンク容量:約2.3ℓ●サイズ/質量:φ270×H855mm/4.3kg

 

↑タンク下のLED光で室内の湿度の状況を通知。湿度上昇に合わせ黄色〜緑〜青と変化する。タンクの給水が必要になると赤に変わる

 

↑タンク上部のふたをスライドするだけで、水差しなどを使って上から簡単に給水可能。注ぎ口が高い位置にあるので、立ったまま注げる

 

↑水槽内に、給水した水の中のカビや雑菌を99.9%除去する除菌プレートを搭載。フィルターカートリッジでスケールの発生を99%以上抑える

 

【平島’s CHECK】加湿能力は高いが、手入れはやや大変

「スイッチオンですぐに加湿開始するのがうれしい。週1程度の手入れが必要なのはやや大変。定期的な“カチッ”という音が気になる場合も」(平島)

 

【その3】「ナノイー」でフィルターを清潔に保ち小型でも部屋を強力に加湿

【加湿方式:気化式】

パナソニック

ヒーターレス気化式加湿機 FE-KXT07

実売価格2万9750円

DCモーターにより、省エネでもしっかり加湿する気化式。「のど・肌モード」では、湿度を高めの約60〜65%を目安にして自動運転する。さらに「ナノイー」運転をプラスすれば、肌の水分量・うるおいスピードがアップする。

SPEC●適用床面積:プレハブ洋室19畳/木造和室12畳●タンク容量:約4.2ℓ●最大加湿量:800mℓ/h(お急ぎモード)●サイズ/質量:W375×H375×D186mm(突起部除く)/約5.2kg

↑給水タンクは本体に左右どちら向きでもセットでき、逆に入れてしまってやり直す手間がない。ハンドルも左右どちらからでも握れる設計

 

↑加湿トレイは凹凸のないフラット構造。汚れを拭き取りやすく、手入れが短時間で済む。給水タンクの口が広くて中まで洗いやすいのも◎

 

↑駆動部には高効率なDCモーターを採用。小型ファンで大風量を生み出すことで、大型化しがちな気化式を小型化。省エネ性もアップした

 

平島’s CHECK】加湿力とお手入れのしやすさが魅力的!

「加湿フィルターとトレイが洗いやすい。加湿量も多いが、室温が低いと加湿速度は落ちる。お急ぎモードの運転音はやや大きめな印象」(平島)

 

【その4】上下2通りの給水に対応し快適かつ強力に湿度管理!

【加湿方式:ハイブリッド式(温風気化式)】

シャープ

プラズマクラスター加湿機 HV-L75

実売価格2万9480円

幅約27cmのコンパクト設計ながら気化式とヒーターのハイブリッド式でたっぷり加湿。「プラズマクラスター7000」を搭載し、空気をきれいにしながら室内をうるおす。上下どちらからでも給水でき、使い勝手も抜群だ。

SPEC●適用床面積:プレハブ洋室21畳/木造和室12.5畳●タンク容量:約4.0ℓ●最大加湿量:750mℓ/h(強モード)●サイズ/質量:W272×H455×D220mm(突起部除く)/約5.2kg

 

↑給水トレイを取り出してたっぷりめの給水、または本体天面からのこまめな給水の両方に対応。トレイが給水タンクと一体型で、手入れの手間もひとつ省ける

 

↑本体上部の給水口から給水トレイ、加湿フィルター、吹出口まで水と風の通り道はすべてパーツを取り外し可能。丸洗いできて衛生的だ

 

↑吹出口と給水トレイを取り外せば、タオルを通して中の汚れもしっかり拭き取れる。加湿フィルターが乾燥機能付きなのも便利

 

平島’s CHECK】使い勝手は文句ないが強運転の音が……

「コンパクトで加湿スピードが速く、給水、手入れのしやすさも申しぶんない。ただ強モードでの運転音41dBはやや気になる」(平島)

 

【その5】吸水した布を加熱する方式で加湿の素早さと安全性を両立

【加湿方式:スチーム式】

三菱重工冷熱

スチームファン蒸発式加湿器 roomist SHE60TD

実売価格2万680円

布が吸い上げた水だけを加熱・蒸発させる独自方式を採用し、スイッチオンからたった約1分で加湿開始。倒れても熱湯がこぼれずヤケドの心配も少ない。温度と湿度を検知し最適湿度に自動制御。イオンフィルターでスケール発生を抑える。

SPEC●適用床面積:プレハブ洋室17畳/木造和室10畳●タンク容量:約4.0ℓ●最大加湿量:600mℓ/h●サイズ/質量:W221×H308×D297mm/4.0kg

 

↑取り込んだ空気中のカビや細菌を抑制するBIOフィルターやイオンフィルターを搭載。魔法びん型のスチーム式加湿器と違い、内部構造はかなり複雑だ

 

↑ヒーターを覆う蒸発布に吸い上げられた水が、ヒーターの100℃の熱で蒸発。蒸気は空気と混ぜて放出されるので、吹出し蒸気の温度は55℃以下と安全だ

 

↑吹出口にアロマトレイを搭載。市販のアロマオイルを滴下することでアロマスチームを放出、加湿しながらリラックスタイムを過ごせる

 

平島’s CHECK】湿度上昇のスピードが速いのが好印象!

「適用床面積は小さめだが運転開始直後からどんどん湿度が上がる。トレイ内は凹凸が多くやや洗いにくい。蒸発布も定期的にもみ洗いが必要」(平島)

 

構成/えんどうまい 文/ゲットナビ編集部