ロボット掃除機の分野では近年、吸引掃除と水拭き掃除を同時に行う“2in1”モデルへの評価が高まっています。ただ、ナビゲーション技術が優秀で、自動ゴミ収集機が付く上位モデルは10万円以上します。初めて買うロボット掃除機が「10万円越え」では、やはり購入をためらってしまいますよね。
そこで今回は、いろいろなメーカーのロボット掃除機の上位モデルを試してきた筆者が、比較的手頃な5万円台で買える “2in1”のロボット掃除機「Roborock E5」を試してみることにしました。
Roborock E5
5万7200円(税込・以下同)
SPEC●最長駆動時間/駆動面積:200分/200m2●充電時間:6時間未満●吸引力:2500Pa●水拭き最大稼働面積:150m2●乗り越え可能な段差:2cm●ダスト容器容量:640ml●水タンク容量:180ml●進入禁止エリアの設定:バリアテープ(別売)設置で可能●水拭き水量設定:2段階●スマートスピーカー対応●サイズ/質量:直径350×H90.5mm/約3.0kg
5万円台でも吸引力は最上位モデルと同等
ロボロック最上位モデルの「Roborock S7+」は水拭き時にモップが振動して汚れを落としたり、レーザーセンサーで部屋を高速かつ正確にマッピングしたりと、高機能が満載。ただし、価格も16万9400円となかなかのお値段。それに比べるとE5は、機能がシンプルな代わりに価格は5万7200円とかなりお手頃です。
機能を絞りながらも、吸引力はS7+/S7と同じ2500Paで、微細なハウスダストからペットのトイレ砂まで強力除去。Wジャイロスコープやモーショントラッキングなどのセンサーで掃除しながら、室内をマッピングし、掃除済みの場所とまだ掃除していない場所を正確に把握します。スマホアプリのほか、付属のリモコンを使っての操作も可能です。
Roborock E5を操作できるMi Homeアプリとの連携手続きはカンタン。アプリの指示に従って進めればよく、かなりわかりやすかったです。
モップクロスを取り付けた水タンクを本体にセットし、スマホの清掃ボタンをタップすれば掃除を開始します。ちなみに、水拭きには水量を多めと少なめの2段階に調節できますが、最初は水量少なめで掃除しました。
清掃はコの字型に整然と行い、最後に部屋の外周を掃除して終了
掃除は最初から「コの字」型に進めていきます。特徴的だったのはテーブルの脚などに当たったとき、脚回りを一周せず、1/4周から半周ほど掃除したらエリア掃除に戻ること。掃除のし残しがありそうだと思っていたところ、室内をひと通り掃除したあとでさらに部屋の外周を念押しで掃除し、その途中でテーブルの脚回りをグルッと一周掃除していました。ちなみにE5はサイドブラシが本体右側にだけ付いているため、壁際を掃除するときはブラシが常に壁際を掃除するよう、必ず外周を反時計回りに走行します。エントリーモデルながら、こうした抜かりのない設定には感心しました。
走行スピードは意外と速く、室内をキビキビ動くので掃除が思ったより早く終わります。それでいてゴミの取り残しはほとんどなし。また、ネコのトイレ砂も跳ね飛ばす割合はかなり少なく、掃除機が通ったあとの床面にトイレ砂が残っていることはありませんでした。ホコリやハウスダストに関しても取り残しはなし。掃除後のモップクロスを見てもホコリの塊が付いていたということはないので、吸引自体は十分に強力だという証拠です。
しかし、E5はエントリーモデルだけに、障害物の回避性能は基本レベルといったところ。家具の脚が黒やダークブラウンなどの濃い色だと認識しにくいようで、減速せずぶつかることもありました。
また、コード類は吸込口に巻き込むと走行不能になるので、床上にない状態にしておく必要があります。
水拭きに関しては、水量少なめだと汚れは取れるものの、雑巾がけ後のサラッとした肌触りまでには至っていない印象。水量多めは床が濡れすぎるということはなく、かなり早めに乾いて、床のサラサラ感も増します。なお、水タンクはそこまで大容量ではないので、1~2部屋を水拭きするなら水量多め、より広い範囲を掃除するなら水量少なめで掃除するのがよさそう。
カーペット上では自動で吸引力アップ! 運転音はそこまでうるさくない
本機には、カーペットを認識して自動で吸引力をアップする機能を搭載。このときモップ付きだとカーペットが濡れるので、水トレイとモップクロスを外して吸引掃除のみ行うことになります。段差乗り越えは上位モデルと同じく2cmまでです。
運転音は、テレビをつけながら掃除させても、やや気になる程度。騒音計を使い、通常30dBほどのリビングを普通モード(バランスモード)で掃除し音量を測ったところ、50dB台後半から60dB前後でした。
Mi Homeアプリの「吸引設定」で「静音モード」をオンにすると、吸引力選択画面に新たに「やさしい」モードが出現。これで掃除すると、運転音が一段階下がります。測定値でも平均5dBほど下がりました。夜に掃除をする場合は「やさしい」モードを利用するのがよさそうです。
加えて、アプリ上では吸引力調整のほか、掃除のスケジュール予約や掃除履歴の確認などもできます。「リモート操作」を選ぶとスマホをリモコン替わりにしてE5の手動操作も可能。汚れが多い場所のみ掃除する「スポット清掃」もこの操作画面で行えます。
上位モデルのように部屋を自動で識別したり走行経路まで地図上に表示したりはできませんが、アプリ上で吸引力を選んだり、掃除させるスケジュールを簡単に組んだりできるのは便利でした。ロボット掃除機をシンプルに使いたい人には十分な機能です。
ダストボックスは水洗い可能
掃除後にたまったゴミはダストボックスのフィルターを外して捨てます。ダストボックスやフィルターは水洗い可能。ブラシで取り除きにくいダストボックス内の微粒子ゴミは、水で洗い流せば一瞬できれいになります。
一方、メインブラシはブラシ毛採用なので、髪の毛やペットの毛がからまりやすいです。ただし、本体からワンタッチでメインブラシが取り外せるので、ハサミなどを使って毛がらみ除去する際に便利でした。
水拭き用のモップクロスは洗って繰り返し使え、水トレイへの着脱も簡単。しかし、汚れを洗い流しても黒ずみ汚れが残るのはやや残念でした。モップに絡め取った汚れが水でサッと落ちる素材が採用されると、お手入れがよりラクになるのですが……。
最初の“2in1”として文句なしにオススメ!
Roborock E5は、「吸引+水拭き」掃除で室内の床面を手早くきれいにしたい人には十分の性能だと感じました。
筆者としては、基本の吸引+水拭きをしっかりやってくれるのが高評価。新型コロナにより、自宅で過ごす時間が増えたことで床の清潔さを気にする人が増えた昨今、手頃な価格でここまでしっかり床面の清潔さをキープできるなら、「お買い得」と言えるでしょう。初めてのロボット掃除機で“2in1”タイプがほしい人、これまで吸引オンリーのロボット掃除機を使っていて、お金をかけずに“2in1”に乗り換えたい人には十分オススメできるモデルだと思います。