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2016/11/1 20:29

大人気ホーロー鍋が「世界一おいしい」炊飯器に! 「バーミキュラ ライスポット」が約8万円でも安い理由

バーミキュラのホーロー鍋をご存じですか? 純国産で、使い勝手が良く、無水調理や煮物などがおいしく作れるとあって、インターネットの口コミを中心に料理好きの女性層に注目され、一時は注文から納品まで1年以上待つほどの大人気! いまでも半年待ちというから驚きです。このバーミキュラ鍋の製造・販売元である愛知ドビーが、新たに炊飯器「バーミキュラ ライスポット」を発表しました。同社の土方邦裕社長が「世界一おいしいご飯が炊ける」と胸を張る炊飯器、その実力を見るため、発表会に参加して来ました!

 

そもそもバーミキュラのホーロー鍋とは何か?

バーミキュラ ライスポットの発売日は12月1日で、11月1日から同社の公式オンラインショップで予約を開始。市場想定価格は、税別7万9800円です。バーミキュラ ライスポットは、バーミキュラの鍋とそれを加熱する熱源のIHヒーター「ポットヒーター」の2つのパーツで構成。白米は1~5合の炊飯が可能で、予約タイマー機能も備えています。

↑バーミキュラ ライスポットは、一番右のポットヒーター、その左のホーロー鍋の大きく2つの機材で構成。ライスポットのフタを立てて置くための専用スタンドも付属
↑バーミキュラ ライスポットは、一番右のポットヒーター、その左のホーロー鍋の大きく2つの機材で構成。ライスポットのフタを立てて置くための専用スタンドも付属

 

→愛知ドビーの土方邦裕社長(左)と土方智晴副社長(右)は実の兄弟。兄の邦裕社長が経営を担当し、弟の智晴副社長が開発を担当しています。80年前に祖父が起ち上げた会社を継ぎ、兄弟で開発・販売したバーミキュラにより、売上は7倍に拡大したとのこと。目の覚めるようなサクセスストーリーですね
↑愛知ドビーの土方邦裕社長(左)と土方智晴副社長(右)は実の兄弟。兄の邦裕社長が経営を担当し、弟の智晴副社長が開発を担当しています。80年前に祖父が起ち上げた会社を継ぎ、兄弟で開発・販売したバーミキュラにより、売上は7倍に拡大したとのこと

 

同社の土方邦裕社長は、本製品の開発コンセプトについて「世界一おいしいご飯が炊ける炊飯器を目指した」と述べました。このコンセプトの意味を理解するために、先にバーミキュラのホーロー鍋について簡単に説明しておきます。

 

そもそもホーロー鍋(琺瑯鍋)とは、鉄の鍋にガラスの粉末を高温で焼き付けた鋳物鍋のことをいいます。この焼き付け(ホーロー)により、ただの鉄鍋よりも腐食やサビに強くなり、煮込んだり蒸したり、ご飯を炊いたり、こねないパンを焼いたり、幅広い料理に利用できます。炒め物や揚げ物はあまり向きません。鉄鍋なのでガスでもIHでも利用可能です。

 

バーミキュラの鍋は、特に野菜の調理を重視して開発されており、フタと本体との密閉性の高さには定評があります。その精度は0.01ミリ以下を実現しているとのこと。また、バーミキュラの鍋には、同社が「トリプルサーモテクノロジー」と呼ぶ、3つの技術を組み合わせた独自の熱伝達技術を採用。素材の味を引き出すとして高い評価を得ています。そのほか、女性の指が4本入り、持ちやすいよう配慮したダブルハンドル、ホーローへのカドミウムの使用ゼロ、コンシュルジュによる長期サポートなども、人気の理由といえます。

 

ユーザーの声が炊飯器の開発のきっかけ

このバーミキュラ鍋、2010年2月に発売して以来、愛用者から「子どもがブロッコリーを食べるようになった」「外食が減った」「いい素材を選ぶようになった」「ホームパーティを開くのが楽しくなった」などの声をもらうことが多くなったといいます。しかし、そんな声の中に「ご飯がとてもおいしく炊けるけれど、火加減や水加減でときどき失敗してしまう。安定しておいしく炊けないものか」というものがあったそう。

 

そこで、炊飯器という形で熱源ごと鍋を提供しようと考えたのが本機開発のきっかけ。そのため、鍋は炊飯用にイチから設計し直し、IHヒーターも今回のライスポット用に新開発したといいます。つまり、本機はあくまで「バーミキュラの鍋ありき」で、より便利に料理するための製品なのだといえます。

 

では、次に開発のポイントを写真と一緒に確認してみましょう。まずは、鍋。鍋はライスポット用に新設計されており、トリプルサーモテクノロジーなど従来製品からの特徴は備えながら、デザインはより丸みを帯びています。なお、鍋の重量は約4.0kgと女性の細腕にはやや重いので、お米は鍋の中ではなく、別容器で研ぐほうがいいでしょう。

↑フタにの上部に取っ手がなく、洗いやすいのが特徴
↑フタにの上部に取っ手がなく、洗いやすいのが特徴

 

↑鍋の底には「リブ」と呼ばれる隆起があります。従来製品は隆起を線状に配置していますが、ライスポットの鍋はしゃもじでご飯がすくいやすく、お手入れもしやすいよう、水紋のような同心円状に配置されています
↑鍋の底には「リブ」と呼ばれる隆起があります。従来製品は隆起を線状に配置していますが、ライスポットの鍋はしゃもじでご飯がすくいやすく、お手入れもしやすいよう、水紋のような同心円状に配置されています

 

↑鍋のフタの内側。こちらも水紋状のリブ形状を採用。ダブルリッドリングと呼んでいます。鍋の内側の水蒸気が、このダブルリッドリングと中央の突起を伝って下に落ちるため、水分が溜まって鍋底のご飯がべちゃっとすることもありません
↑鍋のフタの内側。こちらも水紋状のリブ形状を採用。ダブルリッドリングと呼んでいます。鍋の内側の水蒸気が、このダブルリッドリングと中央の突起を伝って下に落ちるため、水分が溜まって鍋底のご飯がべちゃっとすることもありません

 

 

鍋の進化したポイントの中で、一番大きな変化はフローティングリッドなのだそう。バーミキュラの鍋は密閉構造が売りですが、密閉性の高い鍋はどうしても高火力調理時には吹きこぼれが問題となってしまいます。しかし、このフローティングリッドがあれば、吹きこぼれの心配もなく、安心して高火力で炊飯できるというわけなんです。土方智晴副社長は、「このような密閉性の高さと吹きこぼれの抑制を両立している鍋は、世界でも類を見ないのでは」と自信のほどを見せていました。

↑フタの一角には、フローティングリッドと呼ぶ切り欠きが設けられ、ここから水蒸気が吹き出す仕組み。吹き出し口をユーザーが自在にコントロールできます
↑フタの一角には、フローティングリッドと呼ぶ切り欠きが設けられ、ここから水蒸気が吹き出す仕組み。吹き出し口をユーザーが自在にコントロールできます

 

多めの炊飯でも均一な加熱が可能に

続いて熱源を見てみましょう。従来のバーミキュラ鍋では、4~5合の多めの量をIHで炊いた場合に炊きムラが出る問題がありましたが、新開発のポットヒーターによってこれを克服。直火のような熱分布を実現し、側面には断熱カバーを施して外気の影響を減らすことで、直火よりも均一に加熱できるようになりました。また炊飯時、上部から熱が適度に逃げたほうが、内部の熱対流が盛んになってご飯がおいしく炊けるため、断熱のフタを必要とする保温機能を搭載していません。

↑熱源となるポットヒーター。底がガラス敷きになっていて、中央に温度センサーを配置
↑熱源となるポットヒーター。底がガラス敷きになっていて、中央に温度センサーを配置

 

↑本体前面の操作パネル。スマートタッチキーになっていて、その時点で操作できるボタンだけがLEDで光るようになっています。炊飯時間は、標準では浸し30分、炊飯30分の計1時間(浸し時間はカットも可能)。タイマー予約も可能です
↑本体前面の操作パネル。スマートタッチキーになっていて、その時点で操作できるボタンだけがLEDで光るようになっています。炊飯時間は、標準では浸し30分、炊飯30分の計1時間(浸し時間はカットも可能)。タイマー予約も可能です

 

↑底面にハイパワーIHコイルを設置しており、さらに側面にもアルミヒーターを採用。鍋にトリプルサーモテクノロジーを採用するのに対し、ポットヒーターには、かまどのような立体的な加熱を実現する「ラップアップヒートテクノロジー」を採用。この2つのテクノロジーで激しい熱対流を起こし、一粒一粒のお米をムラなく加熱します
↑底面にハイパワーIHコイルを設置しており、さらに側面にもアルミヒーターを採用。鍋にトリプルサーモテクノロジーを採用するのに対し、ポットヒーターには、かまどのような立体的な加熱を実現する「ラップアップヒートテクノロジー」を採用。この2つのテクノロジーで激しい熱対流を起こし、一粒一粒のお米をムラなく加熱します

 

4つの調理モードを備え本格料理も可能

このように、おいしいご飯を炊く機能を数多く備えたバーミキュラ ライスポットですが、炊飯専用ではなく、調理モードも充実。この点が、他の家電メーカーの炊飯器と大きく異る点です。調理モードには、「中火」「弱火」「極弱火」「保温」の4つがあります。中火は炒め、焼き付け、弱火は無水調理、極弱火は煮込みに適した温度。保温は一定の温度を維持する機能で、30~95℃の任意の温度を1℃刻みで設定できます。

 

慣れないうちはこの「保温」を見て、炊飯モードに保温機能があると勘違いしてしまいそうなので、そこだけは注意が必要。なお、保温の温度が95℃までしか上がらないのは、揚げ物は油がはねて機器が傷む可能性があるためです。なお、本機には専用のレシピブックも付属。ハードカバーで144Pのボリュームがあり、91ものレシピが掲載されているのもうれしい点です。

↑バーミキュラ ライスポットで作ったポトフ
↑バーミキュラ ライスポットで作ったポトフ。大きな素材でも中までしっかり火が通っています

 

↑ご飯を2時間おいしく温かく保温できる「ヒートキーパー」や、鍋敷きの「マグネット トリベット」、ライスポットにフィットする鍋つかみ「ポットホルダー」など、バーミキュラの純正アクセサリーがライスポットにも対応
↑ご飯を2時間おいしく温かく保温できる「ヒートキーパー」や、鍋敷きの「マグネット トリベット」、ライスポットにフィットする鍋つかみ「ポットホルダー」など、バーミキュラの純正アクセサリーがライスポットにも対応

 

いざ実食! 噛みごたえ満点で粒感がスゴイ

商品の説明が終わると、いよいよ試食タイム。テーブルに運ばれてきたライスポットのでフタを開けると、白米の何ともいえない良い香りが漂ってきます。ご飯の表面はつやつやで、カニ穴も多数。カニ穴は鍋の底から水蒸気の泡がお米を押しのけて通ったあとで、おいしく炊けたときに見られる状態です。

↑鍋のフタを開けた直後の様子。ご飯粒がふっくらと立っていてカニ穴ができているのが分かります
↑鍋のフタを開けた直後の様子。ご飯粒がふっくらと立っていてカニ穴ができているのが分かります

 

いただいてみると、ご飯の粒感がスゴイ! 外は上品な硬さ、中はほどよい柔らかさで、噛むほどに口の中でお米の弾力が感じられます。これほどお米の一粒一粒に存在感がある炊き上がりは、土鍋で炊飯してもなかなか経験できないのではないでしょうか。もし自宅でこれが炊けたら「今日は大成功!」と親指を立てる出来です。なお、今回の試食用に用意したお米は、スーパーで普通に売っている商品とのこと。

 

ご飯のお供にえのきやひじきも用意され、さらにバーミキュラで調理したポトフやミネストローネ、ローストビーフも登場。相性は抜群で、本機で炊いたご飯は、おかずと一緒に食べたときに真価を発揮するご飯になっていることがよく分かりました。

↑お茶碗にご飯をよそったところ。一つひとつが型くずれしていない、きれいなご飯粒になっています
↑お茶碗にご飯をよそったところ。一つひとつが型くずれしていない、きれいなご飯粒になっています

 

↑ミネストローネとローストビーフをおかずにご飯を試食。もはや試食の域を超えた贅沢ランチ!
↑ミネストローネとローストビーフをおかずにご飯を試食。もはや試食の域を超えた贅沢ランチ!

 

保温が不要で多めのご飯を鍋でおいしく炊きたい人に

同社の調査(※)によると、炊飯器で保温する人は20%程度しかおらず、「保温は必要ない(22.2%)」と「保温がなくても困らない(42.4%)」が、「保温は絶対必要」(35.4%)を大きく上回ったとのこと。炊き上がったご飯を保温しないのであれば、従来型の炊飯器での炊飯にこだわる必要はありません。日頃から土鍋やホーロー鍋で調理・炊飯する人はもちろん、土鍋での炊飯は難しそうだと思って手が出せずにいる人、4合や5合の多めの量を鍋でおいしく炊飯したい人などに、オススメしたい商品です。

※2016年9月に調査を実施。調査対象者は、週に1回以上自分でご飯を炊く20~69歳の女性500人

 

また、何十年も使われることを想定して作られており、鍋のホーローが剥げてきても、同社に依頼すれば、もう一度ホーロー加工し直して新品同様に生まれ変わらせるサービスも提供(別料金・ポットヒーターは3年保証)。7万9800円と決して安価ではありませんが、極上のご飯が炊けて、優秀な鍋としても使える一生モノのアイテムと考えれば、その価値は十分にあるのではないでしょうか。

 

【SPEC】

●サイズ/質量:W259(IH調理器部)/311(鍋・取手側)×D296×H208mm(鍋含む):約6.9kg(鍋:約4.0kg、IH調理器部:約2.9kg)●鍋容量:3.7L●消費電力:定格1350W●コード長:1m●炊飯モード:白米(ふつう・おこげ)1~5合、玄米(ふつう・おこげ)1~4合、白米(おかゆ)1~1.5合●調理モード:中火・弱火・極弱火・保温(※保温温度設定は30~95℃)※炊飯モードでの保温機能はなし●付属品:リッドスタンド、米用計量カップ、水用計量カップ、レシピブック