みなさんは、あのパナソニックが便器を作っていることをご存じでしたか? 私は知りませんでした! しかも、その便器は陶器ではなく、おなじみの水を貯めるタンクもなく、便器自体が自動で汚れを防いでくれるといいます。ブランドの名は「アラウーノ」。その革新的な機能が評判を呼び、後述の「タンクレストイレ」という分野では、業界のガリバー、TOTOやLIXILを食ってしまいそうな勢いとのこと。今回、そのアラウーノが発売10周年を迎えるにあたり、愛知県幸田町にある工場見学ツアーが行われるというので、私、岡安が参加することになりました!
とはいえ、私はふだん、ゲームやVR、ドローンなどの執筆を行うデジタル系ライター。アラウーノが何なのかもよくわかりませんし、そもそも便器に詳しくありません。かといってほかに便器に詳しいライターもおらず、「体験系なら岡安かな」というわけで、白羽の矢が立った次第。というわけで、みなさんと同様、まっさらな状態でアラウーノのすごさに驚いていきたいと思います!
アラウーノには3つのポイントがある
幸田工場は、多機能便器アラウーノの生産拠点で、成形から組み立てまで一貫して行っています。まずはその工場見学の前に、セミナーでアラウーノの機能を教えていただきました。その特徴は大きく分けて3つ。第一は陶器ではなく有機ガラス素材を使っている点、第二はタンクレストイレである点、第三は泡洗浄で清潔さを保っている点です。実際、購入者の声によると、タンクレストイレを購入する際に重視する点は、清潔に使えて掃除がしやすいこと。アラウーノはこの条件を満たしているといいます。
有機ガラス素材だからミリレベルの精密な成形が可能!
まずは第一のポイント、有機ガラスを素材に使用している点から学んでいきましょう。有機ガラスとは特殊な樹脂のことで、何と水族館の水槽や航空機の窓にも使用される素材だそうです。陶器に比べて多くの利点があり、そのひとつが自由に成形できるという点です。陶器だとどうしても決まった形しか作れませんが、有機ガラス素材は図面どおりのミリレベルの精密な成形が可能。汚れが入るスキマや段差のない形が作れるため、スキマに汚れがたまってしまうこともありません。
水の飛び跳ねが便器外に漏れてしまわないよう、せき止めるような微妙な形状(下写真)にできるのも樹脂ならでは。また、有機ガラス自体が撥水性を持ち、汚れを弾く性質を持っているので、水アカがつきにくくなっているうえ、ブラシ掃除も可能です。さらに、陶器よりも軽いので、業者としては運びやすく設置しやすいとのこと。
パイプがターンして少ない水でも流しきる!
第二のポイント、「タンクレストイレ」とは、その名の通り、水を貯めるタンクがないタイプで、節水とスペースの節約に大きく役立ちます。なかでもアラウーノは、独自開発のターントラップ方式を採用。通常、便器は便器内に水をためておくために、トラップ(配水管などのU字型の部分)が上方向を向いています。この山を超えるために勢いのある水が必要になってくるわけなのですが、ターントラップ方式は、流す時だけトラップをターンさせて下方向に向けるので(下写真)、無理なく水が流れ、少ない水量でも流しきることができるのです。
2種類の泡が大小の汚れをしっかり落とす!
第三のポイントは、泡洗浄。これは、あらかじめ洗剤を補充しておけば、トイレを流す度に泡で自動洗浄をしてくれるというのです。しかも、その泡は直径約5mmの泡、ミリバブルと、直径約60µm(マイクロメートル)の泡、マイクロバブルの2種類があるというのがスゴイ。大きな汚れはミリバブルが落とし、細かい汚れはマイクロバブルがしっかり落とすというわけです。なお、補充する洗剤は、市販の台所洗剤でOKというのも便利ですね。また、この泡は男性の小便時に、便器やフタ、壁紙にまで飛び散る水跳ねを抑える効果があるそう。その他、フラッグシップモデルにはLED照明や除菌・消臭効果があるナノイー発生装置も付くといいます。その多彩な機能には驚くしかありませんね。
10周年を記念してカラバリを10色に拡充
さて、このアラウーノですが、10周年を記念してキャンペーンを行います。キャンペーンとは、トイレのトップカバーのカラーバリエーションの大幅な拡充。現行の3色から1色を外したうえ、新たに8色を追加して、何と10色ものラインナップを揃えるといいます。10色のカラバリは、落ち着いた風合いが印象的な「Japanese」(3色)、クールで洗練された「Stylish」が(4色)、やさしい色合いの「Casual」(3色)に分かれており、ライフスタイルに合わせて選べるのが魅力。この発想は、トイレを空間として捉えているパナソニックならでは。また、あらゆる常識を覆してきたアラウーノだけあって、今度は「便器は白い」という固定概念に挑戦する点にも「らしさ」が感じられます。ちなみに、こうしたカラバリができるのも有機ガラスを素材に使用しているからこそ。
しかし、いままでトイレの機能といえば、暖房便座やシャワートイレくらいかと思っていましたが、知らないところで進化していたんですね。まさか、汚れを落とし、タンクをなくし、色も選べる便器が存在していたとは。いろいろと勉強になりました。さて、今回はここまで。次回はいよいよアラウーノの製作現場へと突入いたします。お楽しみに!