衣替えや引っ越し、整理整頓などで出たさまざまな“不要品”。数回しか袖を通さなかった洋服や読み終えた本、新しいままの文具や化粧品など、不要ではあるけれど、捨てるには“もったいない”ものってありますよね。しかも、環境保護が叫ばれる今、“捨てる”という行為には、一抹の後ろめたさがつきまといます。
これからは、“寄付”という社会貢献も選択肢に入れてみませんか?
今回は、12年前からリサイクル活動に携わり、東京都世田谷区内で不要品交換ができる場「くるくるひろば」の運営をしている伊藤万季さんに、寄付の際に注意したいことやおすすめの寄付先について教えていただきました。
寄付するときは親しい友だちにあげるつもりで
不要品を寄付するときに最も気をつけたいのは、本当にまだ使えるのか、あらためて考えること。
「不要品と言うと、どんなものでも引き受けてくれると思われがちなのですが、実際にはそうではありません。シミだらけの洋服や履きつぶしてしまった靴など、捨てるしかないものは寄付していただいても、ゴミとして回収に出すしかなくなってしまいます。
そこで、親しい友だちに差し上げるつもりで品物を選ぶとよいと思います。使い方がわかりにくいものにはメモを添えるなど、次に使う方のことを考えていただくのもいいでしょう。また、団体ごとに寄付してほしい物品があります。それに沿った寄付をすることで、しっかりと必要な人の手に渡って新たな価値を生み出すことができ、支援につながるのです」(くるくるひろば・伊藤万季さん、以下同)
それでは、どういった物を、どのような団体が引き受けているのか具体的に見ていきましょう。
1. 羽毛布団やダウンジャケットを譲りたい
「特定非営利活動法人エコメッセ(https://ecomesse.jp/)」に寄付する
都内に16店舗のチャリティーショップを持つ「エコメッセ」は、生活クラブ生協の組合員有志が立ち上げた団体です。寄付された物品を安く販売し、その売り上げを自然エネルギーの推進などに役立てています。
「中古の着物をバッグやワンピースにリメイクして販売したり、羽毛循環サイクルである“グリーンダウンプロジェクト”に参加して羽毛を回収したり、幅広く活動しています。汚れてしまった羽毛布団は捨てるしかないと思われがちですが、このような回収にまわせば、新たに蘇らせることができます。ほかに、食器や家庭雑貨、アクセサリーなどの寄付も受け付けています」
2. 家具や家電を譲りたい!
「特定非営利活動法人STORY(http://story.or.jp/)」に寄付する
アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存症からの回復を目指す人たちに対する、自立や就労継続支援B型の支援を行う団体が運営しているリサイクルセンターです。
「リサイクルセンターの運営や商品の引き取りなどを通して、依存症の方々の支援を行なっています。衣類のほかに、家具や家電、食器などの寄付物品を扱っています。引き取りを依頼できるのは世田谷区内の限定された区域だけですが、持ち込むことはできます。まだ使える家具や家電などの寄付のほかに、家具の移動、取り付けなどをお願いすることもできますから、相談してみるとよいでしょう」
3. コスメやヘアケア用品を譲りたい!
「一般社団法人colabo(https://colabo-official.net/)に寄付する
困難を抱える10代の中高生支援をしている団体“colabo”は、虐待等の被害に遭った女性たちのシェルター運営や食事提供、相談窓口として活動しています。
「女性の生活に必要なもの、スキンケア用品やメイク道具、ヘアケア用品など、新品未開封で購入から半年以内のものであれば寄付することができます。他にもレトルト食品や缶詰など、お中元やお歳暮でいただいたけれど不要、というものも受け付けていますから、webから寄付できる物品を調べてみてください」
4. 衣類を譲りたい!
「認定NPO法人フローレンス(https://florence.or.jp/)」に寄付する
子どもの貧困や虐待問題、ひとり親問題や障がい児保育問題など、子育てにまつわるさまざまな社会問題に取り組んでいる団体です。
「寄付した衣類を販売した売り上げは、障がい児支援や養子縁組などの資金に充てられます。フローレンスでは、病児保育や待機児童などの問題にも目を向け、育児をしながら働き続ける親御さんたちの労働環境をよりよくするために、自宅訪問型の病児保育や保育園の経営をしています。衣類のほかに、本やポイントなどで寄付する方法もあります」
地域の方と物々交換ができるお店
寄付という形ではなく、まだ使えそうなものを物々交換する方法もあります。
コミュニティ・マーケット くるくるひろば
https://ameblo.jp/millionseasons/
伊藤万季さんが運営している“くるくるひろば”は、元は“0円マーケット”として自宅前ではじめたガレージセールがきっかけだったと言います。
「ゴミを減らしたくて、捨てる前にどなたかに譲れる可能性はないだろうかと思ったのがきっかけです。ご自由にお持ちくださいという札を下げてはじめたところ、同じように考えていらっしゃる方がいて、毎月開催するようになりました。そのうちガレージでは入りきらなくなり、公園で開催したのち店舗という形に落ち着きました。現在は地域のボランティアが店番に立って運営しています。
子どもたちが不要なおもちゃを持ってきて、別の子どもが置いていったおもちゃと交換して帰ったり、ちょっとほつれていて自分では直せないけど欲しいなと思うものは、ミシンや繕い物が得意な地域の方が直してくださったり、地域の交流の場としても役立てていただいています。家電や家具、ベビーカーなどの大型のものは店頭に張り紙をしてもらい、そこで譲渡のやりとりができるようにしています」
片付ける際には捨てる前に、まだ使えるかどうか考えてみましょう。寄付することでゴミが減るだけでなく、社会貢献につながる活動の一員になれることがあるかもしれません。最後までモノを大切にすることで環境に負担をかけない暮らし方をしたいですね。
【プロフィール】
「くるくるひろば」運営 / 伊藤万季
子どもの喘息をきっかけに環境調査に関わるようになり、ゴミ焼却による大気汚染の深刻さを知る。まだ使えるものをゴミにせず活かすため、ガレージセールを経て世田谷区内の公園で0円マーケットを開始。集まったカンパ金で、京王井の頭線東松原駅前にコミュニティスペース「くるくるひろば」をオープンした。地域住民がボランティアで運営に参加し、今年で4年目を迎える。
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