ライフスタイル
2020/5/10 21:30

100円ショップアイテムで生き残れる家にする! 辻直美さん流・プチプラ防災術

【実践】さっそくリビングをプチプラ防災!

我が家の場合は、家族が一番長く過ごすリビングのテレビとパソコン、小物類をどっさりと乗せている収納棚を対策することにしました。

 

■テレビ編

最近の大型テレビは、画面が割れるととても危険。また、置型と壁掛け型によって、注意点が違うのだそうです。

 

「薄型テレビは重心が高く、真ん中の一か所だけで支えているので、すぐに倒れそうになります。まずは足元を固めましょう。そのうえで、画面が割れたときの被害を最小限にするために、飛散防止フィルムを貼ること。スプレータイプのものもあるので、探してみてはいかがでしょうか。

 

壁掛けテレビの場合は、揺れてズレてくることはないですが、大きな揺れが起こると壁自体に亀裂が入って、そのまま放物線上にテレビが飛んでくる可能性があります。もしも飛んできたときのことを考えて、テレビの前には何も置かない、避難経路をテレビの直線上にはおかないことなどが大切です」(辻さん)

 

我が家のテレビは置型なので、下に防振粘着マットを貼ることにしました。

 

いざテレビを持ち上げてみると、結構重い……。これが飛んできたらと考えたらゾッとします。

 

こんな感じで、テレビの脚の下の四隅に貼りました。

 

押しても揺らしても、足元はバッチリ。あとは、飛散防止の対策をすればOKです。

 

同様に、気になっていたキッチンの収納棚にある電子レンジやトースターの下にも防振粘着マットを貼っておきました。これでかなり安心!

  

パソコン編

デスクトップ型のパソコンは、画面が割れることを防ぐ以外に、思わぬ被害を引き起こす箇所があるので注意が必要とのこと。

 

「デスクトップPCの場合は、テレビと同じ要領でモニターの対策を。あとは、熊本地震のときに、パソコンの後ろ側にあるケーブル類が揺れでブチッと切れてしまったケースがありました。揺れが起こったら、パソコンは簡単に飛んでいくので断線は必至です。また、断線時に停電していた場合、通電火災が起こることも多いので、ケーブル類をロックするチェーンなどを利用すると良いと思います。目線より高い場所に重いものを置かない、という点も徹底しておきましょう」(辻さん)

 

筆者が仕事で使っているのはデスクトップなので、モニターの足元をテレビ台と同じように防振粘着マットを貼って固定。実際にパソコンを置いている机を激しく揺らしてみましたが、かなり安定していました。ロックチェーンは、ネットで探してみようと思います!

 

棚の収納編

つい物をたくさん置いてしまいがちな収納棚は、そのまま置いてあるだけではすべて落下するので、大惨事に! 我が家のリビングにある収納棚も、文房具から小さな家電、子どもたちの玩具など、カオスな状態です。

 

「まずは、物を減らしてスッキリさせることが一番です。不要なものを処分し、そのうえで『この場所に本当に置かないといけないか? 他の部屋に置いても問題ないか?』という点で選別していきましょう。

 

必要なものだけ残したら、すべての棚に滑り止めマットを敷いて準備はOKです。小物を種類別に、100円ショップなどで売られているプラスチックケースやカゴなどにまとめていきます。ケースの内側、そして底にも滑り止めマットを敷けば、摩擦が大きくなり、より滑らなくなりますよ」(辻さん)

 

早速、すべての棚にマットを敷きました。両面テープで固定すると、さらに安全。

 

本も、こうして滑り止めマットの上に並べることで、滑り落ちにくくなりました。小物類も分類できて、使い勝手も良くなりましたよ。

 

我が家では吊り下げ型のワイヤーラックをよく使っているのですが、そこにも滑り止めマットが使えます。ウエアラブルネックスピーカーも、しっかり保護!

 

吊り下げ部分にも、マットの端切れを挟んでおけばズレません。実際に棚を揺らしてみましたが、何一つズレたり落ちてきませんでした! 本当に、使えるアイテム!

 

 

【結論】お金をかけなくても、いますぐ手軽に防災対策できる!

今回の辻さんのお話で、自分の家をしっかり対策しておくことの大切さを痛感しました。そして、100円ショップアイテムの優秀さよ……。もっと高価なアイテムを買わなければダメだと思っていましたが、うれしい裏切りでした。

 

最後に辻さんからアドバイスが。

 

「人は、自分もしくは友人が被災したシチュエーションで地震が起こるものと思いがちです。たとえば阪神・淡路大震災を経験した人は、早朝、家族が全員揃っているときに地震が起こることを心のどこかで想定してしまっている。さらに、過去被災したときの被害がマックスだと思ってしまう傾向があります。まずは、その固定概念を外したいですね。

 

男性の場合は特に、家以外の場所にいる可能性が高いと思います。会社にいるときとも限らないし、出勤途中かもしれない。取引先の会社のエレベーターの中や出張先のホテル、もしかしたら帰りに立ち寄った居酒屋で飲んでベロベロになっているときに被災する可能性だってあるんです。

 

命からがら帰宅して、家の中が悲惨な状態だったら……と考えると、さらにダメージが大きくないですか? だからこそ、家の中、自分の巣は完璧にしておきましょう!」(辻さん)

 

我が家も引き続き、家の中を整理整頓しつつ、防災対策に励みます!

 

【お話を聞いた方】

辻 直美(つじ なおみ)さん

国際災害レスキューナース。まぁるい抱っこ®マイスター。一般社団法人育母塾 代表理事。国境なき医師団・JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)に在籍し、現在も救命救急災害レスキューナースとして活動中。被災地での過酷な経験をもとに、本当に使えた防災術を多くの人に知ってほしいと、大学での防災に関する講義・講演や、小中学校での授業を精力的に行っている。現在、大阪市防災・危機管理対策会議で防災専門家として活動中。近著に『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)がある。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)

 

  1. 1
  2. 2