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2020/8/29 11:30

バンクシーは一体何が凄いのか? バンクシー展で知る、世界が熱狂する匿名アーティストの作品とアート性、人物像とは

知っておきたい、バンクシーの代表作

2020年現在、日本で絶賛開催中の展覧会『バンクシー展 天才か反逆者か』。ここで実際に見ることができる、バンクシーの代表作をいくつか紹介しましょう。

『ラフ・ナウ』

2000年にブライトンのナイトクラブからの依頼で描かれた作品。もの憂げなサルがぶら下げているのは、「いまは笑うがいいさ。でもいつかは俺たちがやってやる」と書かれた広告。愚かで野蛮な存在の象徴として笑い者にされているサルに、ならず者たちのアート活動から始まったグラフィティの反骨精神を重ねています。

 

『ケイト・モス』

人々はアートではなく、ブランドや人気のあるイメージにお金を払いたい。大衆はアートを必要としない……。そんな皮肉を見事に表現したアンディ・ウォーホルによるマリリン・モンローの肖像。バンクシーはこれを制作当時のポップアイコンだったスーパーモデル、ケイト・モスに置き換え、現代版にアップデートしてみせました。

 

『DIフェイスド・テナー』

エリザベス女王がダイアナ元妃にすり替わっている偽札。「バンク・オブ・イングランド」の代わりに「バンクシー・オブ・イングランド」と書かれており、2004年にノッティング・ヒルで行われたカーニバルの当日、作成した100万枚のうち一部が群衆めがけてバラ撒かれました。

 

『モンキー・パーラメント』

2009年にブリストル美術館で開催されたバンクシーの展覧会で発表。議員たちによる経費不正申告という国民的スキャンダルを背景に制作されたもので、描かれている下院議員たちの姿はなんとサル。世の政治に対する不満の高まりとともに登場したセンセーショナルな大作です。

 

『ブレグジット』

2017年にイギリスの海辺の街・ドーバーで描かれた色鮮やかな作品。建物の壁ほぼ全体を占める巨大なヨーロッパ連合の端から、作業員が金色の星のひとつを削り取っている絵です。バンクシー作と気づかれてからは地方議会が作品を24時間体制で監視するようになり、2019年に建物のオーナーによって塗りつぶされてしまいました。

 

『パンツ』

もとは2008年にロンドン北部の薬局外壁に描かれた作品。本来、3人の子供が見上げているのはパンツではなくイギリスの巨大スーパーマーケット「テスコ」のビニール袋でした。子供が消費者として忠誠を誓っている姿を描いた非常に政治色の強い作品でしたが、後年、難民支援のためのチャリティオークションに向けて新たに制作したのが本作。有名人が自分のパンツにサインをして販売するイベントから着想を得ています。

 

『コップ・カー』

車にタイヤがなければ、警察は人を危険から守ることも、犯罪を調査することもできない……。2003年に描かれたスケッチ作品で、国民を守ってくれるはずの警察に対する不信感を表しています。

 

『ラブ・イズ・イン・ジ・エア』

活動初期から継続的にパレスチナ問題に焦点を当てているバンクシー。こちらはパレスチナ・ヨルダン川西岸地区にあるベツレヘムの建物に描かれた作品で、男性は火炎瓶ではなく花束を持っており、パレスチナ人の人権を訴えています。

 

『ラット・シリーズ』

都会に生きる労働者階級、弱者の思いを代弁する存在として描かれていると考えられる、思い思いの看板を掲げたバンクシーのネズミたち。そのルーツは、ステンシル・グラフィティの父として知られるブレック・ル・ラットの描くネズミが発端といわれています。

 

バンクシーの全貌を知れる・見られる『バンクシー展』とは?

ストリートに描かれているバンクシーのグラフィティは、特殊な方法で複製され保存されているようなものもあれば、落書きとして塗りつぶされ現存しない作品も多々あります。また、一連の版画作品のように証明書付きで販売されている作品もあり、これらは世界中の個人コレクターに所有されています。

 

2020年に横浜・アソビルで開催されている『バンクシー展 天才か反逆者か』で展示されているのは、複数の個人コレクターの協力のもと集められたオリジナル作品や版画、立体オブジェクトなど70点以上。バンクシーが題材の展覧会としては過去最大級の規模で、2018年から世界巡回をはじめ、すでに100万人以上の観客を熱狂させています。

 

作品は「政治」「抗議」「消費」といったテーマごとにまとめられており、場内にはバンクシーの世界観を追体験できる迫力の映像、インスタレーションなどもたっぷりと展示。アプリをダウンロードして、自分のスマホ+イヤホンを使って無料で楽しめる音声ガイドの内容が充実しているので、作品を深く味わうためにも会場でぜひ利用するといいでしょう。

 

チケットは予約制ですが、空きがあれば当日も購入可能です。特に夏以降は、昼間よりも16時過ぎから夜の時間帯が比較的空いていてオススメだとか。

 

美術館やギャラリーとは違う、アソビルというロケーションならではのフランクな雰囲気も、ストリート・アーティストたるバンクシーの世界観を楽しむにはちょうどいい感じ。横浜展は間もなく会期終了となりますが、秋以降は大阪での巡回展も決定しているのでお見逃しなく!

↑バンクシーの制作シーンをイメージさせるインスタレーション「アーティスト・スタジオ」。手がかりとなるいくつもの写真や映像作品などをもとに再現しています

 

↑2017年にイスラエルとパレスチナ自治区内の分離壁の近くにバンクシーがオープンさせた“世界一眺めの悪いホテル”こと『ザ・ウォールド・オフ・ホテル』。10の客室とギャラリー、同地域の歴史をたどる博物館などがあり、20点を超えるバンクシーの作品なども展示されています

 

↑イギリスで人間が監視カメラに映る回数は、1人1日あたり平均300回……。しかし監視カメラの映像で解決した犯罪は、わずか3%にすぎないのが実情といわれています。そんな現状を風刺しているのが、本展に展示されている作品『監視カメラ』。絵の横に実際のカメラとモニタが設置されており、作品を観賞している自分の姿がモニタに映し出されます

 

『バンクシー展 天才か反逆者か』
https://banksyexhibition.jp/

■横浜展
会期=2020年3月15日(日)~2020年9月27日(日)
※会期中無休
会場=アソビル
所在地=神奈川県横浜市西区高島2-14-9 アソビル2F
開場時間=平日 10:00~20:30(最終入場20:00まで)

■大阪展
会期=2020年10月9日(金)~2021年1月17日(日)
※12月31日(木)、1月1日(金)は休館
会場=大阪南港ATC Gallery(ITM棟2F)
所在地=大阪府大阪市住之江区南港北2-1-10
開場時間=平日 10:00~17:00(10月は20:00まで)/土日祝 10:00~20:00(最終入場は閉館30分前まで)

※新型コロナウイルス感染拡大の状況により延期、中止となる可能性があります。詳しくは上記のホームページを確認してください。

 

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