ライフスタイル
2021/3/6 9:30

普段の生活のなかで災害発生に備えることが、防災への第一歩

災害大国と言われる日本で暮らす以上、地震や豪雨、台風などの自然災害は避けられない。しかし、準備をすることで、被害は最小限に抑えられる。災害の脅威に対してどんな情報を集め、どんな備えがあると生活水準を下げずに過ごせるのか、新時代の防災メソッドを探った。

※こちらは「GetNavi」 2021年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が解説します

災害危機管理アドバイザー

和田隆昌さん

災害対策全般を得意とし、自治体や企業の災害対策コンテンツを作成。著書に『中高年のための「読む防災」』など。

 

災害対策で大切なのは個人が考えて準備すること

「近年、世界的な気候変動の影響で、台風や低気圧の勢力が大きくなっています。世界じゅうで極端な気象現象が多発し、例えば日本ではこの20年間で100mm/時以上の豪雨の発生は年平均2.2回から4.8回まで増えました。日本列島は大陸からの寒気と熱帯地方からの暖気がぶつかる場所にあるため集中豪雨が発生しやすく、今後も豪雨被害や台風被害は増えるでしょう。地震災害に関しても地震学上の多発期に入っており、列島全体で地震活動が活発化しています。特に首都直下型地震、南海トラフ地震に関しては十分な対策をとっておく必要があります。

 

大規模な災害時は、公的な支援や救助等が遅れる可能性があります。まずは個人の災害準備として、家族が一週間程度支援なしに過ごせる水や食料を備蓄。家具の固定や消火器の準備などをして家屋内で二次被害に遭わないように備えましょう。電気やガスが止まったときの代替エネルギーや、連絡・情報収集に使う携帯電話の非常用電源も欠かせません」(和田さん)

 

地震だけじゃない! 日本を襲う自然災害は数知れず

【2011年】東日本大震災

3月11日に発生したマグニチュード9.0、最大震度7という国内観測史上最大規模の地震。津波や火災により1万5000人以上が亡くなり、いまでも仮設住宅で暮らす被災者は多い。

 

【2014年】広島市の土砂災害

8月19日夜から20日未明にかけて1時間に100mmを超える豪雨となり、同時多発的に土石流や崖崩れが発生。深夜ということもあって避難が遅れ、70人以上の人命が失われた。

 

【2016年】熊本地震

4月14日と16日に起きた震度7の地震をはじめ、強い揺れが断続的に続いた。被害は熊本県と大分県を中心に広がり、倒壊した家屋の下敷きになるなど270人以上が亡くなった。

 

【2018年】平成30年7月豪雨

6月28日から7月8日にかけて、台風7号と梅雨前線の影響で全国的に集中豪雨が発生。総降水量は四国地方で1800mm、中部地方で1200mmを超え、260人以上が亡くなった。

 

【2018年】北海道胆振東部地震

9月6日に発生した胆振地方中東部を震源とする地震。北海道初の最大震度7を観測し、土砂崩れや道路の液状化現象のほか、北海道全域で停電が起きるなど多くの被害が出た。

 

【2019年】台風19号による大雨

10月6日に南鳥島近海で発生した大型台風の接近・通過に伴い、10〜13日の総降水量が17地点で500mmを超える。広い範囲で大雨・暴風・高波・高潮を観測し甚大な災害になった。

 

<防災への第一歩 普段の生活のなかで災害発生に備える>

【その1】水と食べ物はローリングストックで消費しながら常備しておく

災害時の備えとして、一週間ぶんの水と食料を用意することが推奨されている。その備蓄法のひとつとして注目されているのが、普段から食べているものを多めに備蓄し、賞味期限が近づいたら食べて買い足すというローリングストック。これなら賞味期限が短い食品でも非常食に取り入れられる。

 

↑1か月に1〜2回、食べて買い足すことで常に新しい食品を備蓄できる。リーズナブルで食べ慣れたものを非常食にできるというメリットもある

 

【その2】家のなかでも危険箇所を改善しておく

災害発生時は家屋内での二次災害にも注意。事前に家の中の危険箇所をチェックしておくことが重要だ。特に大型家具は倒れるとその下敷きになる危険があるほか、避難の妨げになることもある。置き場所を工夫し転倒対策をしておきたい。窓ガラスが割れたときのガラスの飛散防止も忘れずに。

 

■家具の転倒は圧死の危険大! 転倒防止棒で固定しておく

アイリスオーヤマ

家具転倒防止伸縮棒

1408円〜6138円

天井と家具を固定し、地震の際の転倒を防ぐ突っ張り棒。接地面の面積が広いので安定感がある。

 

食器が飛び出さないように扉をロックする器具を装着

ムラコシ精工

パーフェクトロック

実売価格1580円

センサーが地震の揺れを感知し棚の扉や引き出しを瞬時にロック。揺れが収まると解除される。

 

【その3】持ち出すモノを袋にまとめてわかりやすい場所に保管

避難するときに必要なモノは、袋にまとめておくとすぐに持ち出せるので安心。荷物が大きすぎたり重すぎたりすると避難の妨げになるので、最低限必要なものをリストアップし、なるべくコンパクトにまとめるのがポイントだ。家族の誰もが使えるようにわかりやすい場所に保管しておこう。

 

非常用持出袋でなくてもOK。バックパックに入れておく

どんな袋でも良いが、両手が使えるリュックタイプが便利。避難の負担にならない大きさのものを。

 

■置く場所は家族で共有して持ち出しやすい玄関に置く

袋の保管場所は家族全員が把握しておくこと。玄関など避難するときに必ず通る場所に置くと良い。

 

【その4】危険回避や避難生活のための情報収集方法を知っておく

被災したときは正確な情報を基に動くことが大切。そのために災害情報の収集方法を確認しておこう。テレビやラジオはもちろん、停電時も使えるスマホやタブレットは情報収集に欠かせない。気象庁などのウェブサイトをチェックするほか、自治体の防災メールの配信登録や防災アプリもインストールしておきたい。

 

■被災地からの投稿の情報で正確な災害状況を入手

災害時にライフライン確認のひとつとして活用されているのがTwitter。ハッシュタグ「#減災リポート」に入った投稿から、地震や豪雨の被害状況をリアルタイムに確認できるため迅速な対応がとれる。