物価の値上がりが激しい昨今、少しでもガス料金を節約したいという方は多いでしょう。ガスの契約を見直すことで料金を安くすることはできますが、無理のない範囲で使用量を抑えられれば、より出費を減らせます。
ガス代の請求書を見ると、当月のガス使用量を、前年同月や前月と比較できるようになっていることもあります。しかし、日別など、より具体的な数字がないと、節約の参考にするには厳しいところです。
この記事で紹介するのは、これから本格的に普及を進めようとしているという、LPガスのクラウド検針サービス。このサービスが導入されている家庭では、ガスをどれくらい使っているのか、Webを通してリアルタイムに知ることができます。
ガスメータと通信機をセットにし、ガスの検針・監視を自動化
パナソニックが運営する「クラウド型自動検針・集中監視サービス」は、LPガス事業者向けに提供されているIoTシステムです。このサービスを導入している事業者を通してガスを契約した家庭には、リアルタイムにガスの使用状況を測定できる最新の超音波式ガスメータと通信機がセットで設置されます。
この通信機はガス使用機器の稼働状況を約10秒ごとにクラウド送信。そのため使用状況はもちろん、LPガスボンベの残量確認・ガス漏れなどの異常検知もリアルタイムにできるというわけです。
本サービスはLPガスを各家庭に提供する事業者向けに、検針や保守などの業務を効率化する目的で生まれたものであり、一般の消費者が自分で導入することは残念ながらできません。ですが、日々のガスの使用量などのデータは消費者にも開示されますから、日々の利用状況をすぐに把握できて節約の参考として活用可能です。
たとえば「今日は長い時間煮込み調理をしたから、ガスを結構使ったかな」という日があった場合、そのときのガス使用量がすぐにわかるので、用途ごとのガス使用量をおおまかに知ることができます。
LPガスは都市ガスに比べて、どうしても料金が高くなります。そのため、ガス使用量節約の参考になるサービスの意義は大きいといえます。以前、LPガスを利用していた筆者も、そのころにこのサービスがあれば便利だったなあ……と、今回の取材を経て感じました。
災害時の復旧も効率化。クラウドならではの便利機能も
「クラウド型自動検針・集中監視サービス」は、遠隔・自動での開栓・閉栓に対応しているため、万が一のトラブルを検知した際には自動でガス栓が閉まるので安心です。そして、どのようなトラブルがあったのか、状況をクラウドに自動送信。点検・復旧に入るまでの工数・時間も短縮されます。保守作業は全国に拠点のあるパナソニックが一括して担うため、人的リソースの観点からも迅速な対応がしやすくなっています。
こういったトラブルへの強さが特に生かされるのが、地震、豪雨などの災害時。2020年に発生した熊本地震では、約2週間で、被災状況の分析、部品・作業員の手配などを完了し、個々の家庭のガス設備復旧に入れる状態になったそうです。
また、ガスの消し忘れと思われる状態があったとき、24時間、電話やメールでお知らせしてくれるサービス、外出時にガスの消し忘れが心配になったとき、スマホから閉栓操作ができる機能も付帯しています。遠隔地に住む高齢者のガス使用量をクラウド経由で確認できる「見守りサービス」があるのもユニークです。
6万件に導入済み。2030年には100万件を見込む
日常生活のなかでそれほど存在を意識することはないであろうガスメータ。そんな影の存在は、我々の生活をひっそりと支えながら、着実に進化を続けていました。
「クラウド型自動検針・集中監視サービス」は、2018年にサービスが開始され、現在導入されている件数は約6万件。2030年には、これを100万件まで拡大する目標だそうです。事業者向けながら一般消費者にも恩恵のある、このサービスの普及に期待しましょう。