ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載「クルマの神は細部に宿る。」今回は、アウディの名車「A4」の系譜を受け継ぐ、新型「A5」を取り上げる!

アウディ
A5
599万円〜716万円
SPEC【TFSI quattro 150kW S line】●全長×全幅×全高:4835×1860×1455mm●車両重量:1800kg●パワーユニット:1984㏄直列4気筒+ターボ●最高出力:204PS(150kW)/4300〜6000rpm●最大トルク:340Nm/2000〜4000rpm●WLTCモード燃費:13.2km/L
【これぞ感動の細部だ!】5ドアハッチバック

華麗なルーフラインを持つセダン?
A5にはセダンタイプとステーションワゴンタイプがあると公式でも謳っています。しかしこの「セダン」は、通常のトランクがある4ドアセダンではなく、トランク部分からリアウインドウまで大きく開閉する5ドアハッチバックになっています。これにより、ルーフからリアエンドまでなだらかで美しいラインを獲得しています。
【GOD PARTS 01】車名

わかりにくいからアピール?
名車「A4」の後継車ですが、アウディのラインナップ編制変更の波に飲まれて、「4」から「5」へ変更されました。ドアのウインドウ間の柱(ピラー)部分に車名が書かれていますが、一緒にグレード名も書かれているのは斬新な試みですね。
【GOD PARTS 02】助手席ディスプレイ

運転席からは映像が見えない設定
インパネ中央だけでなく、助手席の目の前にもタッチパネル式のディスプレイをオプションで設置できます。オーディオなどの各種操作に加えてYouTubeなども見ることができますが、走行中は運転席から見えないように画像処理されます。
【GOD PARTS 03】スマートパノラマガラスルーフ

遊び心が楽しいストライプ柄
オプション装備となりますが、ポリマー分散液晶フィルムというものを使用して車内温度の上昇を抑制する新技術が搭載されています。ボタンひとつで、半分曇りガラスのストライプ柄に変えることもできます。
【GOD PARTS 04】ドアタッチスイッチ

各種操作をドアに集約
ドアのウインドウスイッチ前には、ピアノブラックで仕上げられたスイッチが並んでいて、ドアミラーの設定やライト、シート関連の機能を操作できます。高級感があって、必要もないのに押してしまいそうです。
【GOD PARTS 05】シフトスイッチ

四角いスイッチを前後にスライド
デジタル式のシフトコントロールは、ブランドや車種でさまざまです。レバーのものもあればスイッチのものもありますが、このA5では、消しゴムみたいなスクエア形状の埋め込み式スイッチを前後にスライドさせます。
【GOD PARTS 06】エアインテーク

穴の先が見える大きな空気穴
ワイドな顔つきを形成する一部分として、バンパー両端に備えられたボリューミーなエアインテークがあります。こういうのはたいていエンジンルームに空気を運ぶための通路なのですが、A5のこれはタイヤの前に通じています。
【GOD PARTS 07】パワーユニット

ボディとエンジンの組み合わせ多数
2種類の2.0L直列4気筒ガソリンターボと、2.0L直噴ディーゼル、合計3種類のエンジンが設定されています。セダンとワゴンでエンジン構成は同じで、少し遅れて発売されたディーゼルは、マイルドハイブリッドで低燃費性能と高い出力がサポートされています。
【GOD PARTS 08】ヘキサゴングリル

横に広がったように見える6角形
現在のアウディでは6角形の“ヘキサゴングリル”が採用されています。先代型と比べると縦方向につぶれて、ワイド感が強調されるようになりましたが、かつての“シングルフレームグリル”の頃からすると、アウディのグリルも小さくなったと実感します。
【GOD PARTS 09】ライトグラフィック変更


LEDの点灯の方法を自分好みに選べる
インパネ中央のディスプレイをいじっていると、ライトグラフィック変更画面に行き着きました。なんとここではLEDフロント&リアランプの常時点灯の仕方を、8種類から選ぶことができます。無駄なのになんだかウレシイ先進的な装備です。
エリート感満載!A5の魅力とは
安ド「殿! 今回はアウディの新型A5です!」
永福「そうか」
安ド「以前、A5って言えばクーペでしたけど、これは5ドアハッチバックですね」
永福「いや、新型A5はA4セダンのフルモデルチェンジ版で、クーペは消えている」
安ド「エエッ! なぜ4が5に?」
永福「アウディは2年くらい前、偶数の車名をEVに、奇数の車名をエンジン車にすると決めた」
安ド「そうだったんですか!」
永福「ところが大不評につき、その新方式をやめることになった。でもA4は、そのちょっと前にA5になってしまった」
安ド「取り残されたんですね!」
永福「そういうことかな」
安ド「でもこのクルマ、カッコいいですね!」
永福「まあな」
安ド「先代型より顔が天地方向に潰れた感じですけど、個人的にはワイド感があってこちらの方が好きです」
永福「アウディのアイコンであるシングルフレームグリルは、徐々に巨大化していたが、もはや顔の大部分がグリルになり、これ以上デカくできなくなった」
安ド「それで今回は潰したんですか?」
永福「たぶん。代わりにサイドのエアインテークを強調している」
安ド「それってエンジンルームに空気を入れてるのかと思いきや、タイヤより手前のところにそのまま出してるんですよ。何の意味があるのか疑問でした(笑)」
永福「昔こういうのは、フロントブレーキの冷却用だったが、A5の場合は、おそらくタイヤが起こす乱流を抑え、空気抵抗を減らすのが目的だろう」
安ド「へえー!」
永福「それより私は、インテリアのエリート感に感心したぞ」
安ド「たしかにすごくクールでカッコいいです!」
永福「助手席前のディスプレイもイカしてる」
安ド「DVDは見られます?」
永福「DVDは見られないが、YouTubeは見られるようだ」
安ド「そりゃ良いですね! ウチの子どもが大好きなんで」
永福「子どもには前の景色を見させたらどうだ」
安ド「そっちにはあんまり興味ないんです……」
永福「残念だな」
安ド「今回取材したのは、ガソリンの2.0Lターボですが、エンジンは結構おとなしいですね」
永福「エンジンは普通だ。それより乗り心地が良い」
安ド「足まわりはすごくバランスが良いと思いました! カーブで車体が傾くような感じも全然なかったです」
永福「スポーティでいて快適。ボディのしっかり感が物凄い」
安ド「まとめるとどうなります?」
永福「エリートの日常の足だな」
安ド「エリートに生まれたかったです……」
永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。
安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。
※「GetNavi」2025月9・10月号に掲載された記事を再編集したものです。