『ヒロシのソロキャンプ〜自分で見つけるキャンプの流儀〜』(ヒロシ・著/学研プラス・刊)が売れに売れている。
自身のキャンプ道具からキャンプ場選び、動画撮影テクなどヒロシさんのこだわりがつまっており、進化を続けるヒロシ流キャンプの“今”がわかる一冊だ。
だれもが気軽にSNSを通して世界に発信できる時代だが、それだけに落とし穴もある。見知らぬ人と会話を楽しめるのが利点であると同時に、意見の違いで容赦のない攻撃を受けることも0ではない。
ヒロシさんの元へもTwitterやYouTube『ヒロシちゃんねる』を通して多くのコメントが届く。多くが応援コメントだが、中には文句もあるという。
“萌え”の記録であって「啓蒙動画」ではない
「ストレスのせいなのか揚げ足をとる人が増えたように思います。芸能人が不倫をしたらいつまでもたたかれているでしょ。
僕の動画でも直火をすると“微生物が死んでしまう”としつこく文句を言われます。でも、微生物レベルまで考えると直火どころか、家を建てる、地面を歩く……人間が生きているだけでも大きな影響を与えているんじゃないかなぁと思うわけです。どこまでがよくて、どこからがダメなのか、僕にはその判断基準がよくわからない。
そういうことが続くと、昭和のおおらかな時代に生まれ育った僕は、窮屈な時代だなぁと思ってしまいます」(ヒロシさん)
ヒロシさんが困惑するもののひとつに、動画のリクエストがある。とくにキャンプのルールとマナーを啓蒙する動画を挙げてくれと言われることが多いという。
「確かにゴミを放置したまま帰るキャンパーがいて、そういう人やゴミだらけの山を見ると不愉快です。
ただ、ゴミを散らかさずに元通りにして帰るよう『ヒロシちゃんねる』で伝えるべき……という要望が届くんですが、これって僕が言うことですか? ゴミはゴミ箱へ、なんてことは親が子どもに教えることだと思うんです。
そもそも僕の動画は、僕が“萌える”ことを記録しようとはじめたもので、ゴミはゴミ箱へ捨てましょうというのはなんか違います」(ヒロシさん)
たとえば海洋汚染防止のためにエコバッグが推奨されているが、エコバッグよりレジ袋のほうが衛生的でwithコロナ時代にあっているとも言われている。ルールとマナーは時代によって変わっていくし、人によって解釈の違いもあるわけだ。
「キャンプなんて人によってやり方が違うもの。でも、直火と微生物についての指摘もそうですが、自分のやり方以外を認めない人が多いように思います。
たとえば、僕は焚き火をしたら、薪全体が灰になるまで燃やし尽くして、さらに地面に水をかけて火種が残らないようにしています。山火事は怖いですから。
でも、動画には“燃えかすも灰も残さず持ち帰るのがマナーだ”なんてコメントがつくわけです。
燃えかすは分解されずにいつまでも残ってしまうというのがその理由ですが、燃えかす=消し炭で火がつきやすいため、僕は見つけたらありがたく使わせてもらっています。
灰についてはどうなんでしょう? (アルカリ性の)灰は土壌のバランスが崩れて植物が育たなくなるとも言われていますが、僕が直火をしているのは草の生えていない土のキャンプサイトだし、キャンプ場が許可した場所でしかやっていません。
だれかの正義=みんなの正義であるとは限らないのでは。僕が言えるのは、土地の所有者であるキャンプ場の管理人が定めたルールを守りましょう、ということだけです」(ヒロシさん)
「キャンプとはこうあるべき」「焚き火はこうするべき」などと説教じみたことなんて聞きたくないし、言いたくないというヒロシさんは、一貫して自分で考え、納得のいく答えを見つけてきた。そうして生まれたのがヒロシ流キャンプ。
次回は最終回。ヒロシ流キャンプが向かう未来とは?
【書籍紹介】
ヒロシのソロキャンプ〜自分で見つけるキャンプの流儀〜
著者:ヒロシ
発行:学研プラス
YouTuberとして再ブレイク! チャンネル登録者数80万人を超え、今なお増え続ける、ソロキャンパー芸人・ヒロシによる初のキャンプ本。愛用の道具紹介、実践術、動画撮影の極意など、ヒロシ流キャンプのこだわり・楽しみ方をたっぷり公開!
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