文房具
2017/6/12 20:00

定規で測った長さは本当に正しい? コクヨ「本当の定規」は理屈好きなら“買い”な秀作だった!

筆者は理論ありきで作られた道具が好きだ。

 

例えば、筆者の愛用しているメガネのフレームはリムの一部が板バネになっており、蝶番を通してテンプルに一定の圧力をかけつづける。この圧力で適度に顔を押さえつけるので、メガネがずれにくいという理屈だ。

 

すばらしい。メガネ屋で見つけたときは、その理屈っぷりが良すぎて飛びついて買ってしまった。あと、鼻当ての代わりにテンプルから頬骨に当たるパッドがついているメガネもある。鼻の上に荷重がかからないので軽くて快適、という理屈だ。これも非常に良い理屈である。

↑右が板バネ式フレーム、左が鼻当てなしフレーム。どちらも理屈がすばらしい
↑右が板バネ式フレーム、左が鼻当てなしフレーム。どちらも理屈がすばらしい

 

とにかく、こういう理論優先の小賢しいとんがった感じがとても好きなのだ。さらにその理屈で「おお!」と納得なんかさせられちゃったら、もうシビれるぐらいうれしくなる。

 

で、先日のこと、まさにこういう理屈がイイ感じに効いた定規を見つけたので紹介したい。

 

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コクヨ 本当の定規 1080円

これは、コクヨが毎年開催しているコクヨデザインアワードという文房具デザインのコンペにおいて、2014年度の優秀賞案が製品化されたもの。一見、単なるステンレス定規にしか思えないが、目盛りをよく見ていただきたい。本来なら刻み線が入っている部分に、黒い帯と隙間が交互に等間隔で並んでいる。

 

 ↑本当の定規の目盛り(上)。帯と隙間はそれぞれ1㎜幅となっている
↑本当の定規の目盛り(上)。帯と隙間はそれぞれ1mm幅となっている

 

これがどういう理屈の製品なのか? 作者であるデザイナーの坂井浩秋さんのコンペ応募コメントから引用して紹介しよう。

 

「一般的な定規のように『太さがある線』ではなく、幾何学の定義でいうところの線=『太さがない線』で目盛りを表現できれば、長さを計る道具という定規の本質により近づくことができると考えました。 等間隔に並べた面と面との間に生まれる『境界線』で位置を示し、より正確な長さを計ることができる定規です」

 

従来の定規にある目盛りの刻み線は、実際には0.2〜0.3mmほどの線幅がある。それで10cmを測ったとして、線自体にそれだけ幅があったら、その10cmは実は10.02cmかもしれないのだ。

 

しかし、この「本当の定規」の目盛りは帯と隙間の境目……境界線なので、幅や太さという概念が存在しない。これで測って10cmなら、間違いなくぴったり10cmなのだ。

↑横91mmの名刺を測ってみた。感覚的に目盛りを読み取りやすい
↑横91mmの名刺を測ってみた。感覚的に目盛りを読み取りやすい
↑こちらは従来のアルミ定規。……拡大して見ると、たしかに刻み線のどこで読み取ればいいのか少し迷うかも
↑こちらは従来のアルミ定規。……拡大して見ると、たしかに刻み線のどこで読み取ればいいのか少し迷うかも

 

つい「小賢しいわ!」と叫び出したくなるギリギリのところを突いた、それでいて「なるほど!」と膝を打つ納得感。ああ、とてもいい理屈だ。この理屈はすばらしい。

 

1mm以下に関しても、刻み線幅の誤差を考慮に入れなくて、直感的に「だいたいコンマ何mmだな」という見当がつけやすい。もう少し正確に測りたければ、反対側に0.5mm間隔の帯が並んでいるので、こちらで見ればよい。

↑反対側は0.5mm刻み。これもわりと読み取りやすい
↑反対側は0.5mm刻み。これもわりと読み取りやすい

 

あと、例えば紙工作をする際に、あらかじめ紙の長さを測って、切るところに目安をいれて……という作業がよくあるが、この目安が目盛りの刻み線の幅のせいでわずかにズレる、ということはある。とはいえ、所詮は紙工作であって、コンマ2mmや3mmのズレぐらいなんとでもなる。そこまで理屈に準じてキリキリする必要はないだろう。

 

この定規はあくまでも「理論上、本当に正しい定規」という、理屈遊びの産物のようなものである。だって、実際にいままでの定規でみんな不便不自由なくやってこれたんだもの。それでも、やはりこの理屈の正しさにはうならされてしまうし、他人にも「この定規の目盛りはね……」と物知り顔で自慢したい。そんな人にはマストバイな“いい理屈”であった。

 

ちなみに販売は、コクヨの公式オンラインショップ「コクヨショーケース」か、千駄ヶ谷に今年の5月にオープンしたコクヨのライフスタイルショップ&カフェ「THINK OF THINGS」でのみとなっている。“いい理屈”とはどういうことか、実際に使って試してみてはどうだろうか。

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