文房具
2017/7/11 18:40

マンガ家も絶賛した「カメレオンペン」の実力ーー絵心がないおっさんによる華麗なグラデーションを見よ!

先日Twitterを見ていたら、ちょっと面白いマーカーに関するツイートが流れてきた。これがなんと、1本で「透明→淡色→濃色」と簡単にグラデーションさせられる機能を持っているマーカーだというのだ。

 

「へー、なにそれ面白そうだなー!」ということでメーカーにお願いしてサンプルを借りて遊んでみたのだが、これが本当に面白いのである。ということで、このマーカーがどんな使い方ができて、どんな感じで面白いのかを紹介したい。

 

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ミアドリームトレーディング カメレオンペン 22本入りデラックスセット(※)/1万2960円

そのグラデーションが作れる「カメレオンペン」は、イギリス製(日本では代理店からの発売)のアルコールマーカー。絵を描く人ならお馴染みのコピックなどと同じタイプのカラーマーカーだ。

※20色+ディテールペン+トーニングペン(薄め液)のセット。ほかにも「5本」「52本」入りのセットもあり
↑カメレオンペン(上)とコピックスケッチ(下)の長さを比較
↑カメレオンペン(上)とコピックスケッチ(下)の長さを比較
↑カメレオンペンを分割した状態。大きく2つのパートに別れている
↑カメレオンペンを分割した状態。大きく2つのパートに別れている

 

キャップをした状態では「うわ長っ!」と思ってしまうが、これは下記写真のように「丸芯・ブラシ芯のツインマーカー」+「ミキシングチェンバー」の2つが合体したもの。この耳慣れないミキシングチェンバーというものこそが、グラデーションを作る秘密パーツとなっている。

↑マーカー芯の上にミキシングニブが接触。ここから薄め液がマーカー芯に移っていく
↑マーカー芯の上にミキシングニブが接触。ここから薄め液がマーカー芯に移っていく

 

カメレオンペン独自のグラデーション塗りをするには、まず芯の上にミキシングチェンバーを装着。すると、チェンバー内のミキサーニブと呼ばれる芯とマーカー芯が“ちょん”と軽く接触するようになる。このとき、必ずマーカー芯が下、ミキシングニブが上にくるようにすること。

 

すると、じわじわとマーカー芯にチェンバー内の薄め液が浸透する。それによって芯先のインクが薄くなるので、あとは程よい時間でチェンバーを外して描いていく。そうすることで、透明からマーカー本来の色へと美しいグラデーションができるというワケだ。

↑塗るだけで勝手に美しいグラデーションになる
↑塗るだけで勝手に美しいグラデーションになる
↑浸透時間を確認するために描いたチャート。あまり薄めすぎると透明な部分が伸びるだけだった
↑浸透時間を確認するために描いたチャート。あまり薄めすぎると透明な部分が伸びるだけだった

 

この薄め液の浸透時間(ミキシングチェンバーを装着している時間)によって、グラデーションの長さが変化。5秒だとあっという間に元のカラーに戻るし、20〜25秒だと透明から薄い色の長さが伸びる。あまり透明部分が長くてもしょうがないので、塗る面積にもよるが「10秒以内が実用的なところかな」という体感だ。

↑絵のクオリティはともかく、グラデーション塗りは単純に楽しい
↑絵のクオリティはともかく、グラデーション塗りは単純に楽しい

 

さて、「わー、グラデーションきれいだなー」と遊ぶだけなら絵心のない筆者でも充分に楽しめるが、せっかく1本600円+税もする高機能マーカーである。きちんと絵が描けるプロに使ってもらい、その性能をきちんと把握したい。

 

そこで、この記事でもお絵描きネタが出るたびにイラスト担当としてこっそり手伝ってもらっている、少女マンガ家の栗原まもる先生(うちの奥さん)に、実際にカメレオンマーカーを試していただいた。

↑栗原まもる先生による性能試験用イラスト

 

さすが、先ほど筆者が塗ったリンゴとは天地ほど差のあるイラストが仕上がったわけだが、どのような使用感だったのだろうか。先生に聞いてみたところ……

「濃いところから徐々にボカして薄くするんじゃなくて、薄い方から塗り始めるのが難しい。慣れが必要」(栗原先生)

ほかのカラーマーカーだと濃い色を塗って薄め液でぼかす、というやり方をするそうだ。例えば、前髪は暗い頭頂方向から明るい毛先に向けて塗ってぼかしていくのだが、カメレオンペンは逆に毛先から頭頂に向かって塗っていくことになる。そこに慣れが必要だったようだ。

↑薄→濃のグラデーション方向をきちんと把握するまでに多少の時間がかかったようだ
↑薄→濃のグラデーション方向をきちんと把握するまでに多少の時間がかかったようだ

 

「慣れてくると、ミキシングニブを装着する時間をかなり細かく調整して塗るのが楽しい」(栗原先生)

見ていると、実際に3秒や7秒など、塗り分けの面積や距離によってかなり細かく調整していた。

 

「グラデーションを短くしたい場合は、ミキシングチェンバーから外した芯先を紙に乗せて、そのまましばらく待機する。色がじわっと出始めたなーと感じた瞬間にすばやくペンを動かして塗るといい」(栗原先生)

これは実用的なテクニックだろう。眼球など細かくグラデーションを効かせたい場所はこの塗り方が必須のようだ。総合的にはかなりカメレオンペンを気に入ったようで、筆者は栗原先生から「これ、欲しいんだけど」とダイレクトにねだられてしまった。

↑52本セットはさすがの迫力
↑52本セットはさすがの迫力

 

日本ではいまのところ全50色展開。代表的なカラーマーカーであるコピックが350色以上あるのと比べると、いささか物足りない印象がある。ただ、コピックで複雑な階調を出そうとすると、赤黒い赤→濃い赤→薄い赤……といったように、複数のマーカーを切り替えつつ薄め液でぼかすという面倒な作業になる。

 

1本で濃淡が出せるカメレオンペンは、色数が少なくても充分に階調が出せるので、色数が少なくとも充分に実用になるだろう。 少女マンガ家もが欲しいと唸ったカメレオンペン。見かけた際には、ぜひ試してみてほしい。

 

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