強粘着なのにスパッとしたキレがあるテープのり
今年の2月末に発売されたプラスの「ノリノコロ」は、粘着力が同社従来比で1.8倍、という強力さが売りのテープのりだ。
ここしばらく、テープのりは各メーカーともギミック競争的に新機能を持った製品を投入しているが、ノリノコロは見た目どおり、機能はシンプルそのもの。使い切りタイプでキャップ別体。ギア周りもごく普通だし、ヘッドもローラーだけの固定型。のりパターンもドットではなくフラットな帯状になっている。スペック的には一見、10年前ぐらいの製品? という印象だ。
もちろん、それは意味あってのこと。まずペンケースに入れて持ち運べるサイズなのに、テープ長12mとたっぷり(同サイズの他製品だと8~10mが普通)で、さらに価格も税抜230円とかなりお手頃になっている。
つまりギミックを省略した分、ユーザーがまず気になるテープ長と価格で値打ちを出してきた、ということだろう。
それだけでは新製品としてちょっと面白みがないなー、と思うだろうが、さにあらず。先に述べたように、ノリノコロはその粘着力の強さと、そのわりにスパッと心地よい“のりギレ”の良さがポイントとなっているのだ。
粘着力に関しては、最近の主流派であるドットではなく、フラットな帯状にすることで、のりの面積を稼いで強化している。これは、ドットパターンのテープと貼り比べれば誰でも体感できるほど、確かに強い。
ではなぜ、ドットパターンがテープのりの現在の主流になっているのかというと、帯状ののりはドットよりものりギレが悪く、ヘッドを引き上げた際にニチャーッと糸を引く傾向が強いからなのである。
この糸引きが仕上げの悪さだったり、次に使うときののり付け不良につながったりするため、帯状ののりは現在では不人気になっているわけだ。
そこでノリノコロは、のりテープに微細な針状のカーボンファイバーを配合。硬いカーボンファイバーが、ヘッドを引き上げる際にのりの層を突き破って切り口を作るため、スパッとしたキレの良さが得られる、という仕組みになっている。
理屈は分かったけれど本当か……? と試してみたが、なるほど、ヘッドを紙面から離した瞬間に、端がきれいにまっすぐ切れて、かなり糸を引きにくいようになっている。これだけ強粘着だと、従来品ではまず確実に糸引きを起こすので、これはやはりカーボンファイバーがいい仕事をしているんだな、と感じられる。
テープのりの純粋な性能として「強い粘着力が安定して使える」という点では、とても優れたものだろう。細かい便利ギミックはないが、でもコスパがいいんだから文句はつけられないな。