【きだてたく文房具レビュー】渋色揃いの限定カラーペン
2019-2020の秋冬におけるトレンドカラーは、「ベイクドカラー」だそうだ。ベイク(Bake)=「焼く」だから、例えば「ベイクドブラウン」なら「焦げ茶」ということ。ようするに、“くすんで焦げがかかった暗めの色”が、今冬の流行りらしい。
文房具にも、もちろんこういった流行色の影響はあって、たとえば手帳業界あたりは、かなりしっかりと流行色を取り入れた展開をしている。ファッション的なことに興味の薄い人も、この時期に手帳売り場に行けば「はー、今年はこういう色が流行るのか」と、なんとなく掴むことができるはずだ。
……といったトレンドにまつわる話はさておき、色彩の嗜好というのはなかなか重要だ。筆記具を選ぶ要素として、書き味や機能よりも、軸やインクの色で選ぶという人はかなり多いだろう。近年の万年筆ブームだって、万年筆そのものよりも多彩なインクの方が注目を集めているわけで、やっぱりお気に入りの色で書きたいという欲求は強いようだ。
ちょっといやらしい話だが、「他人と違う自分を見てほしい!」という承認欲求をローコストで満たす意味でも、他の人と違う筆記色のペンを使うのはお手軽なのである。
そこで今回は、インク色が特徴的な最新の筆記具を2点紹介してみよう。どちらも、周囲の人が使っている可能性が少ないから目立つこと間違いなし。また、そういう欲目抜きでも普通にイイ色なのだ。
「プラマン」40周年限定色は渋色揃い
ぺんてるの「プラマン」といえば、樹脂製の万年筆のようなペン先チップで、その独特な柔らかい書き味は海外にまでファンが多い。
そのプラマンが2019年で発売40周年ということで、従来のブラック・レッド・ブルーに加えて、限定インク搭載モデルを発売した。
新カラーは「バーガンディ」「ブルーブラック」「ダークグレイ」「オリーブグリーン」「セピア」「ターコイズブルー」の6色。トレンドのベイクカラーっぽい渋めの暗色が揃っており、流行りの意味でもなかなかにオシャレである。
日常使いの筆記色としてなら、ブルーブラックやセピア、ダークグレイあたりがビジネスシーンでもまったく違和感がない。「黒っぽいけど、よく見ると黒じゃない」ぐらいの雰囲気で、落ち着きと品があり、それでいて独自性もある、というナイスな色合い。
特にセピアは細線と太線(プラマンは筆圧で描線の太細が書き分けやすい)で深みの変化が大きく、書いていて素直に楽しい色だ。
“ビジネスシーンでの違和感”とかそういうのを気にせずにもうちょい遊べるなら、バーガンディ、オリーブグリーンも面白い。
万年筆のインク色としてはさほど特異ではないが、ボールペン感覚で気軽に使える色としてはけっこうレア。ペンケースから取り出してサラサラッと書き出した色がこれだと、見た人も驚くんじゃないだろうか。しかも、こちらもきちんと落ち着きと品のある渋さなので、不快に思われるということはないはずだ。
ターコイズブルーは、暗色ばかりのラインナップの中ではやや異色の鮮やかさだが、これはおそらく、同じくぺんてるのゲルボールペン「エナージェル インフリー」で大人気色だったことに起因するのだろう。あの目が覚めるようなクリアさのターコイズブルーが、プラマンの書き味で使えるのは、個人的にも嬉しいところ。
現時点で売り場を見ると、やはりターコイズブルーが人気で品薄、次点がオリーブグリーンとセピア、という印象だ。40周年記念の限定版なので、気になる色があったら早めにゲットしておくことをおすすめしたい。