社会人になるとどうしても、ノートとの縁が薄くなりがちだ。せいぜい、リングノートで横罫派と方眼派に分かれる程度で、学生の頃に使っていた綴じノート(お馴染み「キャンパスノート」など)が今、どういう進化をしているか、なんて知らない人が多いだろう。
例えば、そのコクヨ「キャンパスノート」が、横罫に等幅(とうはば)刻みでドットが入った“ドット入り罫”バージョンを発売したのが2008年。縦方向に文字を揃えやすいなどのメリットがある特殊罫で、「キャンパスノート」ユーザー内の比率で言えば、もはや普通の横罫よりも販売数で逆転するほどの、超人気製品だ。
また、翌2009年には、ナカバヤシが横罫の間をドット横罫で分割した“ロジカル罫”のノートを発売。こちらも今や、学生ノートの定番と言えるほど普及している。
“ドット入り罫”とか“ロジカル罫”という名称、いま初めて聞いた……という人がいたとしたら、失礼ながらインプットされた情報がかなり古い。すでに10年以上前から、綴じノートにおける横罫と方眼はレガシーと化しており、現代の学生用綴じノートは、機能性の高い特殊罫の時代に移り変わっているのだ。
そこで今回は、社会人があまり知らない特殊罫の綴じノートをいくつか紹介してみたい。
最新「ロジカル罫」は特殊罫がある条件下で浮上する仕組み
“学生の間での特殊罫ノートの定番”として先にも述べたのが、ロジカル罫の「ロジカル」シリーズ(ナカバヤシ)。今回まず紹介するのは、その最新版として2019年12月に発売された「ロジカル・Tラインノート」だ。
ナカバヤシ
ロジカル・Tラインノート
200〜400円(税別)
最初に説明しておくと、“ロジカル罫”とは、横罫の行をドット罫で3分割し、さらに等幅でタテにもドット罫を入れたというもの。考え方としては、横罫とドット方眼を混ぜたようなもの、と言えるかもしれない。
この行の3分割をうまく使うことで、英文の大文字・小文字をきれいに揃えたり、読みやすく行間を空けたり、タテのドット罫まで使って図表を作成したりと、万能に使える罫線として評価が高い。
そして最新版の「ロジカル・Tラインノート」では、ある特殊な方法で印刷することで、「必要なときは見えるけど、不要なときは見えない」という、不思議なロジカル罫を実現した。
実はこの「ロジカル・Tラインノート」は、ロジカル罫における横罫以外の部分を白インクで印刷しているのだ。
白い紙に白インクだから、通常通りに見る限りはうっすらとして、ほとんど目に入ることはない。ところが、斜め方向からデスクライトなどの照明を当てると……
この通り、光を反射して浮かび上がるという仕組みなのだ。(ただし角度がけっこう微妙なので、ライトの向きや角度は調節する必要はある)
書き込むときには、この白ガイドラインを使えば記入しやすく、見返すときやノートをスキャンする場合は気にならない。使いやすさだけでなく、後からの見やすさにまで配慮されたノートだと言えるだろう。
また、表紙もかなりシックで落ち着いた雰囲気なので、ビジネスシーンでも浮くことは少なそうだ。大人も気負わず使える特殊罫ノートとして、おすすめしたい製品である。
次のページでは、文系/理系の教科に合わせて使い分けられる特殊罫をもつノートシリーズを紹介する。