文房具
2020/9/24 19:00

80年代のレジェンド文房具「チームデミ」が復活! 令和バージョンの進化ポイントとは?

1984年、文房具業界にひとつのレジェンドが誕生した。それがプラスの「チームデミ」だ。コンパクトなツールを、みっしりと密度高くケースに詰め込んだ文房具セットで、だいたい40代以上の人なら、名前は知らなくても、見れば「あー、あったあった」と思うんじゃないだろうか。

 

もともと、当時世界最小と謳われた超コンパクトステープラー「デミタス」が若いOLたちを中心に人気となったことで、じゃあそのデミタスを含めた文房具セットも作ったら売れそうだよね、といった流れで作られたのだが……これがまぁ「小さーい! かわいーい!」と、とんでもない大ブレイクを果たす。

↑36年前にモンスターヒットを飛ばした「チームデミ」(初代)

 

この時代は、乗用車でもホンダ「シティ」や日産「マーチ」など、小さくて密度感が高く機能的! という要素がウケていたこともあり、その流れにもピタッとはまったのだろう。

 

当時としてもそれほどお安くはない2800円という価格ながら、とにかく売れた。累計販売数650万個というから、まぁ文房具としてはバケモノである。テレビ・雑誌の懸賞品、企業ノベルティ、ゴルフコンペの景品としても大人気だったし、のちには怪しげなパチもんも大量に出回ったり……そういうエピソードも全部ひっくるめて、バブル景気前夜時代のアイコンとすら言える文房具である。

 

そして、このレジェンダリーな文房具セットが、令和のこの時代に復活したという。しかも、ただ懐かしいだけじゃない。現代の文房具トレンドをしっかり取り込んだ、最新アップデート版なのだ。

 

伝説の「チームデミ」、令和にリボーン!

どうもおじいちゃんの長話のような導入になってしまったが、しかたがない。我々昭和生まれにとっては、本当に象徴的な文房具なのだから。

 

それくらい思い入れの強い「チームデミ」だけに、生半可なリメイクでは話にならんぞ! と、これまた老人性の頑迷さを発揮してしまうのだが、さて、新しい「チームデミ」はどうだ?

(実は、2001年にも「チームデミ・ミュゼ」というリメイク版が出たが、個人的にはちょっと受け入れられなかった)


プラス
team-demi(チームデミ)
6000円(税別)
全4色展開。デザインはプロダクトデザイナーの深澤直人による。

 

↑さすが世界の深澤デザイン。余分な凹凸をそぎ落としたフラットさが目を引く

 

うん、見た目はとてもいい。チームデミのチームデミらしさとは、文房具の小ささに加えて、それぞれの形状にカットされたウレタンにピタッと収まる、あの収納の“専用感”も重要だと思う。

 

そういった意味では、これは正しくチームデミと言えるだろう。あるべき場所にあるべきものが収まっている様子は、見ているだけで心が安らぐ。ツール配置も旧チームデミをなぞるようになっており、懐かしさもひとしおだ。

↑新旧モデル比較。ケースはほぼ同寸で、ツールの配置も完全に一致

 

さらに面白いのは、収納スペースにマグネットが内蔵されており、文房具を近づけると、シュッ、カチャッ! と吸い込まれるように収まるところ。

 

まさに、先にも述べた収納の“専用感”を最大限に味わえる素晴らしい演出だし、収まるときの手応えも非常に気持ちいい。個人的にはもう初手のこれだけで「新しいチームデミ、最高!」と喜んでしまったくらいだ。

 

また、取り出す際にも工夫があって、キチッと収まった文房具の端を指で押すと反対側が浮くように、収納スペース内に段差が設けられている。この辺りはさすが、抜かりないなという感じ。

↑隙間なくピッタリ収まったツールも、端を押すとこの通り浮き上がる

 

ちなみに、収納ケースの開閉ヒンジも実はマグネットになっており、上下で分割が可能だ。使うモノが入っている側だけ持って移動して、終わったらまたくっつけてケースを閉める……といった使い方を想定しているのだろうか……ちょっと意味は分からない。

 

開けようとフタ側を持ち上げるだけでも勝手に分割してしまうので、単に開けにくいのである。ここは普通にヒンジで良かったんじゃないだろうか。

↑ヒンジにあたる部分にマグネットを内蔵し、上下で分割できるケース。普通に開け閉めしたいだけなのにうっかり分割されてしまったりして、やや面倒くさく感じた

 

さて、いよいよ個々の中身についてなのだが……これがまた、入っているすべての文房具に語りたくなるポイントがあって、なかなか大変。一つずつ見ていこう!

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